海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
内緒にしていたはずの計画やサプライズが、どういうわけか相手に知られてしまっていた——そんなヒヤリとした経験はありませんか。誰かに漏らしたわけでもないのに、情報がどこからか伝わってしまう、あの落ち着かない感覚です。
そんな場面で使える「get wind of」、つまり(秘密や計画などを)それとなく察知する・嗅ぎつけるという意味の表現を、『CHUCK/チャック』シーズン4第7話の中盤、拘束された母メアリーが、20年におよぶ潜入任務の危うさをチャックに語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get wind of」の意味とニュアンス
get wind of
意味:〜を嗅ぎつける、〜を(それとなく)察知する・耳にする
get wind of は、公にされていない情報・秘密・噂を、間接的に、あるいは偶然に知ることを表す表現です。多くの場合、「本来知られては困ること」が漏れ伝わる文脈で使われ、警戒や不安のニュアンスを伴います。
直訳すると「〜の風(wind)を受け取る」となります。風に乗って漂ってくる匂いを嗅ぎ取るように、はっきりした情報源からではなく、それとなく気配を察する——そんなイメージが、この表現の核にあります。
if the press gets wind of this(マスコミがこれを嗅ぎつけたら)のように、しばしば「もし〜に知られたら困る」という条件節で使われるのも特徴です。単に「知る(find out / learn)」よりも、「漏れ聞く」「察知される」という間接性と緊張感が加わります。
【ここがポイント!】
- 核は「風に乗った匂いを嗅ぎ取るように、それとなく情報を察知する」こと
- 多くは「知られては困ること」が漏れる、警戒の文脈で使われる表現
- find out より「間接的に嗅ぎつける」ニュアンスが強いのを押さえるのがコツ
『CHUCK/チャック』S04E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
メアリーは、自分が20年にわたって危険な組織に潜入してきた深層の任務を、初めてチャックに明かします。「連絡先を教えてくれれば解決する」と単純に申し出るチャックに、彼女は情報漏洩の恐ろしさを突きつけます。
Chuck: Just tell me who to call, and I’ll fix all of this.
(誰に連絡すればいいか教えてよ。そうすれば、全部僕が何とかするから。)Mary: It’s not that simple. A 20-year mission will be wasted if he gets wind of any of this.
(そう単純じゃないの。20年がかりの任務が、これを少しでも彼に嗅ぎつけられたら、すべて無駄になってしまう。)Chuck Season4 Episode7(Chuck Versus the First Fight)
シーン解説と心理考察
たった一度の情報漏洩で20年の潜入が崩れる——その張り詰めた警戒感が、get wind of という一言ににじむ場面です。
チャックが「連絡すれば解決する」と考えるのは、彼が善良で、事態を単純に捉えているからです。一方メアリーは、敵がどこに耳を持っているか分からないスパイの世界を生き抜いてきました。「嗅ぎつけられたら終わり」という彼女の緊張感と、母を助けたい一心のチャックの楽観とのギャップが、この短いやり取りの温度を変えています。get wind of が持つ「気配を察知される」不安が、そのまま母子のすれ違いとして表れています。
『CHUCK/チャック』流・覚え方のコツ
風上から漂ってくる匂いに、動物が鼻をひくつかせて危険や獲物を察知する——そんな光景を思い浮かべてください。get wind of の wind は、まさにこの「情報を運んでくる風」のイメージです。
劇中では、メアリーが「これを彼に嗅ぎつけられたら20年が無駄になる」と、鋭く警戒します。獲物であり、同時に狩る側でもあるスパイが、情報の「風の匂い」に神経を尖らせる——この緊張感ごと覚えておくと、get wind of の「それとなく嗅ぎつける」という核が、鮮明に頭に残ります。
例文で覚える「get wind of」
秘密やサプライズ、機密情報まで、「漏れる」を語れるこの表現を、3つの場面で見てみましょう。
If the press gets wind of this, it’ll be a disaster.
(もしマスコミがこれを嗅ぎつけたら、大惨事になる。)
情報漏洩やスキャンダルを警戒する場面です。劇中と同じく「知られては困る」という典型的な使い方です。
Somehow she got wind of the surprise party before we could tell her.
(どういうわけか、伝える前に彼女はサプライズパーティーを嗅ぎつけてしまった。)
秘密が思わぬ形でバレてしまう、日常的な場面です。過去形 got を使った軽い調子の例です。
A: How did the competitors know about our launch date?
B: I have no idea. They must have gotten wind of it somehow.
(A:競合はどうやって我々の発売日を知ったんだ?)
(B:さっぱりだ。どこかで嗅ぎつけたに違いない。)
機密情報の漏洩を話し合うビジネスの会話です。「どこからか察知された」という不穏さが会話ににじみます。
あわせて覚えたい関連表現
catch wind of
(〜を嗅ぎつける、耳にする)
catch wind of は get wind of とほぼ同じ意味で使えます。get wind of のほうが使用頻度が高く一般的ですが、どちらも「風の匂いを捉える」という同じイメージを共有しています。
hear through the grapevine
(風の噂で聞く、人づてに耳にする)
hear through the grapevine は「口コミ・人づて」という情報の経路を強調します。get wind of は経路を問わず「それとなく察知する」ことに焦点がある点で異なります。
find out
(調べて/偶然に知る、判明する)
find out は中立的に「知る」全般を表します。get wind of は「本来知られるはずのないことを間接的に嗅ぎつける」という警戒のニュアンスを伴う点で、色合いが異なります。
Note|狩りの「風を嗅ぐ」から生まれた表現
get wind of の背景には、動物や狩猟にまつわる古い感覚があるとされています。なぜ「風」が「情報を知る」ことにつながるのか、その由来をたどってみましょう。
動物は、風上から運ばれてくる匂いによって、遠くにいる獲物や近づく捕食者の存在を察知します。鹿が鼻を上げて風を読み、猟犬が匂いを追う——こうした「風の匂いから相手の気配を知る」動作が、get wind of の原イメージだと言われています。狩りの現場では、風向きは死活問題でした。風下にいれば匂いで気づかれ、風上を取れば相手を先に察知できる。この「風の匂いを先に嗅ぎ取ったほうが有利」という感覚が、やがて「秘密や計画を人より早く嗅ぎつける」という比喩へと転じていったと考えられています。だからこそ get wind of には、単なる「知る」にはない、警戒と駆け引きの気配がつきまといます。
劇中でメアリーが敵に「嗅ぎつけられる」ことを恐れるのは、まさにこの狩りのイメージそのものです。スパイの世界では、彼女自身が狩る者であり、同時に狩られる者でもあります。風向きひとつで立場が入れ替わる緊張が、この一言に凝縮されています。
風の匂いを先に読む——そう捉えると、この表現の張り詰めた感覚が伝わってきます。
まとめ|スパイの警戒に学ぶ「嗅ぎつける」の一言
get wind of は、秘密や計画、噂などを、間接的に・それとなく察知することを表す表現です。多くは「知られては困ること」が漏れる、警戒をはらんだ文脈で使われます。
この一言を知っておくと、「どこからか情報が漏れて、相手に知られてしまった」という状況を、緊張感まで含めてひとことで言い表せるようになります。find out よりも「嗅ぎつけられた」という間接性が効くのが、この表現ならではの持ち味です。
20年の任務を守ろうと神経を尖らせるメアリーの警戒とセットで、この表現を会話のレパートリーに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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