海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かに「本当だから信じて」と言われても、証拠がないと素直にうなずけない——そんな経験はありませんか。相手を疑いたくはないけれど、言葉だけを丸ごと信じるのはためらってしまう、あの微妙な心の揺れです。
そんな場面で使える「take someone’s word for it」、つまり(証拠なしに)〜の言葉をそのまま信じるという意味の表現を、『CHUCK/チャック』シーズン4第7話の中盤、拘束された母メアリーが、疑うチャックに裏付けとなる証言者を示すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take someone’s word for it」の意味とニュアンス
take someone’s word for it
意味:(証拠なしに)〜の言うことをそのまま信じる、〜の言葉を鵜呑みにする
take someone’s word for it は、証拠や裏付けなしに、相手の発言だけを根拠にして信じることを表す表現です。someone の部分には my / your / his など所有格が入り、take my word for it なら「私の言葉を信じて」となります。
この表現は、肯定形と否定形で少し役割が変わります。肯定形の Take my word for it. は「私を信じて」と相手に信用を求める言い方。一方 You don’t have to take my word for it. は「私の言葉を鵜呑みにしなくていい(自分で確かめて)」と、あえて検証を促す言い方になります。
word が「(その人の)言葉・発言」を指しているのがポイントです。証拠の書類ではなく、相手の「ひとこと」そのものを信用の担保として受け取る——そんな行為を、この表現は的確に言い表します。
【ここがポイント!】
- 核は「証拠ではなく、相手の言葉だけを根拠に信じる」こと
- take my word for it は「信じて」、don’t take my word for it は「確かめて」と方向が反転する
- 所有格を入れ替えて his / her word for it のように応用できるのが便利な一言
『CHUCK/チャック』S04E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
裏切り者と疑われて拘束された母メアリーに、チャックは「潔白を証明する、今度こそ本当のことを」と迫ります。メアリーは自分の言葉を押しつけるのではなく、裏付けとなる人物を示します。その差し出し方に、この場面の巧みさがあります。
Chuck: I’m gonna prove you’re innocent. But if I’m gonna help you, I need the truth this time.
(君の潔白は僕が証明する。でも手伝うなら、今度こそ本当のことが必要なんだ。)Mary: There’s one person who can confirm everything I’m telling you. You don’t have to take my word for it. Go to him, and give him this code.
(私の話がすべて本当だと裏付けられる人物が一人いるの。私の言葉を鵜呑みにしなくていい。彼のところへ行って、この合言葉を伝えて。)Chuck Season4 Episode7(Chuck Versus the First Fight)
シーン解説と心理考察
メアリーが「私の言葉を鵜呑みにしなくていい」とあえて口にするところに、この場面の巧妙さがにじむ場面です。
自ら検証手段を差し出すことで、かえって自分の誠実さを印象づける——「信じて」と押すのではなく「確かめていい」と引くことで、疑い深いチャックの警戒をほどこうとする計算が、この一言に重なっています。母を信じたい気持ちと、簡単には信じられない状況とのあいだで揺れるチャックの表情も、母子のすれ違いをやわらかく見せています。信頼と疑念という、この回全体を貫くテーマが、短いやり取りに凝縮された場面と言えます。
『CHUCK/チャック』流・覚え方のコツ
差し出された「言葉(word)」を、そのまま手のひらに受け取る(take)——書類でも証拠でもなく、相手のひとことを信用の担保として握りしめる、その動作を思い浮かべてください。
劇中では、メアリーが「私の言葉を鵜呑みにしなくていい」と言いながら、裏付け役への合言葉をチャックに手渡します。言葉だけでなく「裏を取る手段」まで差し出すこの流れごと覚えておくと、take someone’s word for it の「言葉そのものを信じる/信じさせる」という核が、記憶に残りやすくなります。
例文で覚える「take someone’s word for it」
「信じて」から「確かめて」まで、方向を変えて使えるこの表現を、3つの場面で見てみましょう。
You don’t have to take my word for it—check the reviews yourself.
(僕の言葉を鵜呑みにしなくていいよ、自分でレビューを確かめてみて。)
お店や商品を勧めつつ、押しつけないようにする場面です。劇中のメアリーと同じ否定形で、「自分で確かめて」と促すニュアンスが出ています。
I know it sounds crazy, but take my word for it—it really works.
(信じがたいのはわかるけど、僕を信じて。本当に効くんだ。)
にわかには信じられない話を、相手に信用してほしい場面です。肯定形の基本的な使い方です。
A: Are you sure this shortcut is faster?
B: Trust me, take my word for it. I drive this route every day.
(A:この抜け道、本当に速いの?)
(B:信じて、僕の言うことを信じてよ。毎日この道を運転してるんだから。)
経験を根拠に相手を説得する会話です。会話の中で「信じてほしい」と押すときの自然な使い方が見えます。
あわせて覚えたい関連表現
take it from me
(経験者の私が言うんだから、信じて)
take it from me は「自分の経験・知識を根拠に」信じてほしいときの表現です。take someone’s word for it が「相手の発言」を信じる行為なのに対し、こちらは「自分」を根拠にする点で向きが異なります。
take at face value
(額面どおりに受け取る)
take at face value は「深読みせず表面のまま」受け取ることです。take someone’s word for it は対象が「言葉」に限定され、証拠なしに信じるという点により焦点があります。
give someone the benefit of the doubt
(疑わしいけれど、ひとまず信じてやる)
こちらは「疑いつつも好意的に信じる」姿勢を表します。take someone’s word for it は「発言をそのまま信用する」という行為そのものを指す点で異なります。
Note|word が背負う「約束・保証」の重み
take someone’s word for it の word は、単なる「単語」ではありません。ここには、英語の word が古くから帯びてきた「約束・保証」の重みが関わっています。
英語には、word を「誓い・約束」の意味で使う表現が数多くあります。keep one’s word(約束を守る)、break one’s word(約束を破る)、a man of his word(約束を守る人)、give one’s word(誓う)。どれも word を「口に出した以上は守るべき保証」として扱っています。この感覚は古く、口約束が契約と同じ重みを持った時代の名残とも言われます。文字による証文がなくても、「言った言葉」そのものが信用を担保していたのです。take someone’s word for it は、まさにこの「言葉=保証」という発想の延長線上にあります。証拠の代わりに、相手の word を受け取って信じる、というわけです。
劇中でメアリーが「私の言葉を鵜呑みにしなくていい」と言うのは、この「言葉の重み」を逆手に取った動きとも読めます。自分の word だけに頼らせず、裏付けを差し出すことで、かえって言葉の信用を高めているのです。
言葉が保証そのものになる——その感覚をつかむと、この表現の重みが実感として伝わってきます。
まとめ|メアリーの差し出し方に学ぶ「言葉を信じる」の一言
take someone’s word for it は、証拠なしに相手の発言だけを信じることを表す表現です。take my word for it なら「信じて」、don’t take my word for it なら「確かめて」と、方向を変えて使える柔軟さがあります。
この一言を知っておくと、「証拠はないけど、あなたの言葉を信じる」という微妙な心の動きを、ひとつの表現で言い表せるようになります。所有格を入れ替えれば、他人の言葉についても同じように語れます。
「私の言葉を鵜呑みにしなくていい」とあえて引いてみせたメアリーの一手とセットで、この表現を会話のレパートリーに加えてみてください。
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