「a long shot」の意味と使い方|『フレンズ』S05E03で学ぶ英会話

「a long shot」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

まず無理だろうと分かっていても、ダメ元でお願いだけはしてみる——そんな一か八かの挑戦をした経験はありませんか。

そんな場面で使える「a long shot」を、『フレンズ』シーズン5第3話の終盤、かなわなかった願いをフィービーが静かに受け止めるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「a long shot」の意味とニュアンス

a long shot
意味:見込みの薄い試み、成功率の低い賭け、ダメ元

成功する可能性は低いと分かっていながら試すこと、あるいはその試み自体を指す表現です。もともとは「遠くの的を狙う射撃は当たりにくい」ことに由来すると言われ、そこから「当たれば大きいが、まず当たらない賭け」を意味するようになりました。場面に応じて「ダメ元」「一か八か」「大穴」といった訳が当てられます。It’s a long shot, but ~(望み薄だけど、〜してみる)という形で、無理筋のお願いや提案をやわらかく切り出すときによく使われます。

【ここがポイント!】

  • はるか遠くの的を一発で狙うような、「当たりにくい賭け」が核のイメージ
  • 「ダメ元」「一か八か」「大穴」と、場面に応じて訳し分けられる表現
  • It’s a long shot, but ~ で、無理な頼みをやわらかく切り出せるのが実用のコツ

『フレンズ』S05E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

三つ子のうち1人を自分の手元に残したい——そんなフィービーの願いを、レイチェルがそれとなく弟夫婦に打診していました。出産を終えたフィービーが、戻ってきたレイチェルに結果を尋ねる場面に、このフレーズが登場します。

Rachel: So Frank and Alice wanted me to tell you they’re still outside, making phone calls.
(フランクとアリスが、まだ外で電話してるって伝えてって)

Phoebe: Oh. But, um, I mean did you talk to them about… you know?
(あ、そう。でも、その……あの件、話してくれた?ほら、あれ)

Rachel: Yeah. Um… No, honey.
(うん。えっと……だめだったの、フィービー)

Phoebe: Oh, okay. It was a long shot.
(あ、そっか。まあ、ダメ元だったしね)

Friends Season5 Episode3(The One Hundredth)

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シーン解説と心理考察

It was a long shot は、「もともと成功の見込みは薄かった」と自分に言い聞かせる一言です。フィービー自身、無理なお願いだと分かっていた——だからこそ、断られた瞬間に、この表現で気持ちに折り合いをつけようとします。叶わなかった願いを、あえて軽く言うことで自分を納得させる、その静かな強がりが、この短いセリフに重なっています。三つ子を1人でも手元に残したいという本心は、決して軽いものではありませんでした。それでも「ダメ元だったしね」と受け流してみせる。そのけなげさと切なさが、フィービーらしい温度で表れています。多くを語らない一言だからこそ、彼女の心の揺れが行間ににじむ場面です。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

はるか遠くにある的に向かって、銃や弓を一発だけ撃つ場面を思い浮かべてみてください。的が遠ければ遠いほど(long)、その一発(shot)が当たる確率は下がっていきます。だから a long shot は「当たりにくい賭け」。当たればお見事、でもまず外れる、という距離感です。劇中では、フィービーの「三つ子を1人もらう」という願いが、まさに遠すぎる的でした。撃つ前から当たらないと薄々分かっていた一発だからこそ、断られても「It was a long shot」と静かに受け止められる。遠い的に放つ一発のイメージと、かなわなかった願いを重ねると、記憶に残ります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「a long shot」

「望み薄だけど、やってみる」という状況で活躍するこのフレーズを、3つの場面で確かめてみましょう。

Applying to that scholarship is a long shot, but I’ll try anyway.
(あの奨学金に応募するのは望み薄だけど、とにかく挑戦してみる)
進路の挑戦を語る場面です。It’s a long shot, but ~ の形で、「まず無理だろうけど、それでも」という前向きな一歩を表せます。

Winning the contract was a long shot, so we were thrilled when we got it.
(その契約を取れる見込みは薄かったので、獲得できたときは本当に嬉しかった)
仕事の成果を振り返る場面です。過去形にすれば「まず無理だと思っていた大穴が当たった」喜びを語れます。

A: Do you think they’d give us a refund after all this time?
B: It’s a long shot, but it’s worth a try. Let’s just ask.
(A:今さらだけど、返金してくれると思う?)
(B:望み薄だけど、聞くだけ聞いてみる価値はあるよ。とりあえず頼んでみよう)
半ばあきらめつつ相談する会話です。劇中のフィービーの「ダメ元」という受け止め方に、最も近い温度感の使い方です。

あわせて覚えたい関連表現

a shot in the dark
(当てずっぽう、一か八かの推測)
同じ shot を使いますが、a long shot が「見込みは薄いが根拠はある挑戦」なのに対し、a shot in the dark は「根拠のない当てずっぽう・推測」に寄ります。暗闇に向けて撃つイメージです。

worth a shot
(試してみる価値はある)
同じ shot でも、こちらは前向きに背中を押す表現です。「ダメ元でもやってみよう」という気持ちを表し、It’s a long shot, but it’s worth a shot. のように組み合わせても自然です。

slim chance
(わずかな可能性、望み薄)
可能性の低さを直接的に表す言い方です。a long shot が「試み・挑戦そのもの」も指せるのに対し、slim chance は「可能性の度合い」を表す点が違います。

Note|”It’s a long shot, but…” という前置きの文化

a long shot は、単独で「ダメ元だったね」と振り返るだけの表現ではありません。実は、お願いごとの「前置き」として使われる場面がとても多い言葉です。

英語では、無理筋のお願いや提案を切り出すとき、”It’s a long shot, but…”(望み薄なのは分かってるんだけど……)と前置きするのが定番です。たとえば “It’s a long shot, but could you check if there are any tickets left?”(ダメ元だけど、チケットがまだ残ってないか見てもらえる?)のように使います。この前置きには、二つの働きがあります。ひとつは、相手の負担を軽くすること。「断ってくれて構わない」というシグナルをあらかじめ出しておくことで、相手はプレッシャーなしに答えられます。もうひとつは、自分の期待値を下げておくこと。うまくいけば儲けもの、だめでも想定内——そんな心の保険として働きます。日本語の「ダメ元で聞くんだけど」「無理を承知でお願いなんですが」とよく似た、会話のクッションの役割です。断られる前提を先に共有してから頼む、という気配りの型が、英語にもしっかりあるわけです。

劇中のフィービーは、この表現を「事後」に使いました。頼む前ではなく、断られた後に It was a long shot. と過去形でつぶやく——前置きの定番表現を、自分をなぐさめる締めの一言に転用しているのです。前置きにも、締めにも使える。この幅を知っておくと、使いどころがぐっと広がります。

ダメ元、と先に言っておく優しさが、この表現には宿っています。

まとめ|かなわなかった願いの受け止め方

a long shot は、「成功の見込みは薄いと分かったうえでの試み」を表す表現です。「まず当たらない一発」というイメージを核に、「ダメ元」「一か八か」「大穴」と、場面に応じて柔軟に訳し分けられます。

この表現を知っていれば、無理筋のお願いや挑戦を、It’s a long shot, but ~ という前置きでやわらかく切り出せます。断られる前提で相手のハードルを下げる、そんな気配りの一言としても役立ちます。

かなわないと分かっていた願いを、「ダメ元だったしね」とそっと受け止めるフィービー——その静かな一場面が、フレーズの意味とともに心に残る瞬間でした。

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