海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ダメ元で頼んでみたものの、やんわり断られて、照れ隠しの一言で場をやり過ごした経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「can’t blame a guy for trying」を、『フレンズ』シーズン6第9話の中盤、レイチェルの誤解に話を合わせたロスが、軽い一言で会話を切り上げる場面から、一緒に見ていきましょう。
「can’t blame a guy for trying」の意味とニュアンス
can’t blame a guy for trying
意味:試しただけで責めないでくれ、ダメ元でやってみただけさ
can’t blame a guy for trying は、断られたり、うまくいかなかったりしたあとに、「試みたこと自体は責められないだろう」と、軽い自嘲や照れ隠しを込めて添える言い方です。blame は「責める」、guy は「男、やつ」、try は「試みる」で、直訳すると「男が試みたことを責めることはできない」になります。
guy は特定の誰かというより、一般的な人を指す言い方で、話し手が自分のことをこう言う使い方が典型です。自分を第三者のように呼ぶことで、真剣な弁解ではなく、肩をすくめるような軽い口調になります。
構文としては、can’t blame + 人 + for + ~ing の形です。人の部分を you に変えれば、「あなたが~したのも無理はない」という別の意味になります。文頭の I は省かれることが多く、今回のシーンでも can’t から始まる形で登場します。
【ここがポイント!】
- 「can’t blame a guy for trying」の核は、断られたあとの軽い自嘲と照れ隠し
- guy は話し手自身を指す、一般的な人としての言い方
- 人の部分を you などに変えると、相手を責めない意味に変わる
『フレンズ』S06E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ロスは、レイチェルのデザートの出来を気づかせないよう、ジョーイから「レイチェルの気をそらしてくれ」と頼まれ、レイチェルを外に呼び出します。ロスが感謝祭の話題や「今日はきれいだね」といった雑談で時間を稼ぐと、レイチェルはそれを復縁の申し出と受け取り、二人でやり直すことはできないと先に伝え、今は一人でいるのがつらい時期だろうと気遣います。ロスは「君だって一人だ」と切り返しますが、レイチェルに恋愛の意味での「ひとり」だと言い直されます。最後の一言が、この表現の登場です。ロスは誤解を解かず、断られたふりで話を合わせて会話を切り上げます。
Rachel: And it’s probably really hard for you to be alone right now.
(それに、今ひとりでいるのは、きっとすごくつらいでしょ。)Ross: You’re alone.
(君だって一人じゃないか。)Rachel: No, I-I live with Phoebe. I mean, you’re alone alone. You know? And I just… it’s just not the time for us. I’m sorry.
(ううん、私はフィービーと住んでるの。そうじゃなくて、あなたは本当にひとりでしょってこと。わかるでしょ? ただ……今は私たちの時期じゃないの。ごめんなさい。)Ross: Oh, well. Can’t blame a guy for trying.
(ああ、まあいいさ。ダメ元だったんだ。)Friends Season6 Episode9(The One Where Ross Got High)
シーン解説と心理考察
ロスの雑談を復縁の申し出と受け取ったレイチェルの言葉は、断りの気持ちを直接ぶつけるのではなく、相手の状況を気遣う形で少しずつ核心に近づいていきます。「I know the holidays can be rough」に続く「really hard for you to be alone」は、ロスが今つらい時期にいることを前提にした言い方で、相手の気持ちを傷つけないための配慮がにじむ運びです。
これに対するロスの「You’re alone.」は、レイチェル自身も一人ではないかと返す一言です。ところがレイチェルは「I live with Phoebe」と、同居人がいることを示し、さらに「alone alone」と言い直します。ここでの alone alone は、同居人の有無ではなく、恋愛の相手がいないという意味での「ひとり」を指しています。言葉を重ねて意味を絞り込む言い方に、誤解の余地を残さないようにするレイチェルの丁寧さが表れています。
ロスは誤解を解かず、「Oh, well.」で一度話を区切ってから「Can’t blame a guy for trying.」と続けます。本来は断られたあとに添える一言を借りて、申し出をしたふりのまま会話を切り上げています。自分を「a guy」と呼ぶことで、真剣な弁解ではなく、肩をすくめるような軽さを保っています。
短い一言に、誤解を解かないまま話を合わせ、場を重くしすぎずに切り上げるロスの機転が重なっています。
レイチェルの最後の「I’m sorry.」と、ロスの「Oh, well.」が並ぶことで、本気で断ったつもりのレイチェルの申し訳なさと、話を合わせて切り上げるロスの切り替えが、ひとつの会話の中で同居しています。言葉数が少ないほど、二人の距離感が浮かび上がる場面です。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
断られて肩をすくめ、両手を軽く広げながら「まあ、聞くだけタダだったし」と笑う様子を思い浮かべてみましょう。責める側と責められる側の間に、ひとつ軽い笑いを挟んで、空気をやわらげる感覚が、この表現の芯にあります。
ロスの場面では、レイチェルの断りを受けた直後に「Oh, well.」と話を区切り、そのまま軽い一言で会話を終えています。重い空気を残さないための、いわば会話の緩衝材のような役割を、この一言が果たしています。
覚えるときは、blame を「指をさして責める」動作と一緒に思い浮かべるのも一つの方法です。can’t は「その指を下ろす」という動きで、責める指がふっと引っ込む絵を頭に置くと、意味が定着しやすくなります。
例文で覚える「can’t blame a guy for trying」
自分を指して使う場合と、別の人を指して使う場合の両方を、3つの例文で確認していきましょう。
I asked for a discount and they said no. Oh, well. Can’t blame a guy for trying.
(値引きをお願いしたら断られた。まあいいさ。ダメ元でやってみただけだ。)
買い物で断られたあとの受け流しです。Oh, well. を先に置くと、ロスの場面と同じ軽い流れになります。
A: You asked the boss for a raise?
B: Yeah, he said no. Can’t blame a guy for trying.
(A:上司に昇給をお願いしたの?)
(B:うん、断られたよ。ダメ元だったんだ。)
結果が出なかった挑戦を振り返る友人同士の会話です。結果は残念でも、試みた自分を軽く肯定する言い方になっています。
She didn’t get the job, but nobody could blame her for trying.
(彼女は採用されなかったが、挑戦したこと自体を責められる人はいなかった。)
第三者の挑戦について述べる場面です。guy が her に変わり、話し手以外の人の試みを認める言い方になります。
あわせて覚えたい関連表現
it was worth a shot
(やってみる価値はあった)
it was worth a shot は、試みた価値を振り返る言い方です。can’t blame a guy for trying は、責めないでくれと相手に向けて添える言い方で、向かう先が異なります。
can’t hurt to try
(試して損はない)
can’t hurt to try は、試す前に背中を押す言い方です。can’t blame a guy for trying は、試したあとに使う点が異なります。
I can’t blame you for ~ing
(~したのも無理はない)
blame の相手が you に変わると、話し手が相手の行動を責めない意味になります。同じ構文で主語の向きだけが変わる形です。
Note|「責めないでくれ」と「責めない」を分ける、blameの向き
can’t blame a guy for trying は、日本語にすると「責めないでくれ」とも「責められない」とも訳せます。英語の形は同じでも、人の部分に入る語で、向きが変わる表現です。
分かれ目は、guy が誰を指すかです。a guy が話し手自身なら、「試しただけの自分を責めないでくれ」という、自分を守る言い方になります。たとえば I asked for a discount. Can’t blame a guy for trying. と言えば、話し手が自分の試みを軽く弁護する形です。一方、人の部分が you や him に変わると、たとえば I can’t blame you for asking. は「聞いたあなたを責められない」という、相手を許す言い方になります。同じ can’t blame でも、前者は自分に向け、後者は相手に向けています。
ロスの場面は前者の形が借りられています。ロスは実際には申し出をしていませんが、レイチェルの誤解に合わせて、断られた人の受け流しとして言っています。「責められないだろ」と訳すと、レイチェルがロスを責めているような場面に読めてしまうため、「責めないでくれ」「ダメ元だったんだ」のように、話し手が自分を軽く弁護する訳が合います。
同じ英語でも、人の部分が誰かで、責めない相手が変わります。
まとめ|断られたあとに残す、軽い一言
can’t blame a guy for trying は、断られたり、うまくいかなかったりしたあとに、試みたこと自体は責められないだろうと、軽く添える言い方です。guy は話し手自身を指すのが典型で、真剣な弁解ではなく、肩をすくめるような軽さが持ち味です。
人の部分を you などに変えると、相手の行動を責めない意味に変わります。日常の頼みごとから職場の挑戦まで、結果が振るわなかったときに空気をやわらげる一言として使える表現です。
ロスの一言は、レイチェルの誤解に話を合わせながら、会話を重くしすぎずに切り上げる工夫でもありました。うまくいかなかった試みを軽やかに受け流したい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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