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『フレンズ』シーズン5第15話で、ロスは新しい部屋に越してきた直後、同じ建物の住人から、退職する便利屋へのお礼として100ドルを出してほしいと頼まれます。ロスはこれを断り、その理由を言葉で説明しようとします。
お金を出す話を断るのは、日本語でも言い方に迷う場面です。事情を理由にする断り方と、話を打ち切る返事、そして友達からの鋭い指摘を順に見ていきます。
「I just moved in.」頼みを否定せずに事情で断る
ロスが荷ほどきをしている部屋には、引っ越し祝いを持ってきたフィービーが来ています。そこへ向かいの部屋の男性が入ってきて、住人の委員会(tenants committee)の会長スティーブだと名乗ります。
スティーブの用件は、建物の便利屋ハワードのことでした。ハワードが来週退職するので、住人がお礼に100ドルずつ出している、小切手で、今でなくてもドアの下に入れてくれればいい、という話です。ロスは最初は「それはいいね」と応じますが、小切手で、と言われたところで話が変わります。
Ross: No, no, it’s not that. It’s just, I… I-I just moved in.
(いや、そうじゃないんだ。ただ、俺……俺、越してきたばかりでさ。)
Steve: Well, the guy’s worked here for 25 years.
(でも、彼はここで25年働いてきたんだ。)
Ross: Yes, but I’ve lived here for 25 minutes.
(ああ、でも俺はここに住んで25分だ。)
Steve: Okay. I get it.
(そうか。わかったよ。)
Friends Season5 Episode15(The One with the Girl Who Hits Joey)
It’s not that. は「そういうことじゃない」と、相手が思い浮かべていそうな理由を先に打ち消す形です。ここでは、今すぐでなくてもいいと言われたことに対して、時期の問題ではないと打ち消しています。続く It’s just ~ で、本当の事情を差し出します。頼みそのものを悪く言わずに、自分の側の事情を理由にする形です。
スティーブの 25 years に、ロスは 25 minutes で返しています。相手の言い方の型をそのまま借りて、数字の単位だけを入れ替える返しです。スティーブは Okay. I get it.(わかった)と言って帰りかけます。
「Okay, fine. Whatever.」言葉遊びの返しと、話を打ち切る返事
スティーブが帰りかけたところで、ロスは呼び止めて言い直します。
Ross: I’m sorry, it’s just I’ve never even met… Howard. I mean, I don’t know Howard.
(悪いね、ただ、ハワードには会ったこともないんだ。つまり、ハワードのことを知らないんだよ。)
Steve: Howard’s the handyman?
(ハワードは便利屋だろ?)
Ross: Yes, but to me he’s just… man.
(ああ、でも俺にとっては、ただの……マンだ。)
Steve: Okay, fine. Whatever.
(わかった、もういい。好きにしな。)
Steve: Welcome to the building.
(この建物へようこそ。)
Friends Season5 Episode15(The One with the Girl Who Hits Joey)
I’ve never even met ~ の even は「〜すら」と、会ったこともないことを強める語です。I mean, ~ で言い直して、「知らない人にお金は出せない」という理由をはっきりさせています。冒頭の I’m sorry, it’s just ~ は、謝ってから事情を添える前置きです。最初の断りで使った It’s just ~ が、ここでも繰り返されています。
ロスの返しは、handyman(便利屋)を handy と man に分けた言葉遊びです。自分にとってはただの man(男の人)だ、と言って、会ったこともない相手だという理由をもう一度示しています。
スティーブの Okay, fine. Whatever. は、相手の言い分をこれ以上聞かずに会話を終わらせる返事です。Whatever. は単独で使うと、投げやりに聞こえることがある語です。最後の Welcome to the building. は、スティーブが部屋に入ってきたときの最初のあいさつと同じ言葉で、それを残してスティーブは出て行きます。
「I thought it was about ~」話の焦点がずれていると指摘する
場面がチャンドラーとジョーイの部屋に移り、ロスはチャンドラーとレイチェルに、ケチだと言いふらされて建物中に嫌われたと話します。そして、住人全員を呼んでパーティーを開き、自分が悪い人間ではないと説明するつもりだと言います。
Ross: I’m just a guy who-who stands up for what he believes in, a man… with principles.
(俺はただ、自分の信じることのために立ち上がる男……信念を持った男なんだ。)
Chandler: Sounds like a fun party.
(楽しそうなパーティーだな。)
Rachel: Look, Ross, if you want your neighbors to like you why don’t you just pay the hundred bucks? A party’s going to cost you way more than that.
(ねえ、ロス、ご近所に好かれたいなら、100ドル払えばいいじゃない?パーティーのほうがずっとお金がかかるわよ。)
Ross: That doesn’t matter. It’s my principles. We’re talking about my principles!
(そんなの関係ない。俺の信念の問題だ。俺の信念の話をしてるんだよ!)
Rachel: Okay. I thought it was about your neighbors liking you.
(そう。ご近所に好かれたいって話だと思ってたけど。)
Ross: Oh, they’ll like me once they come to my awesome par-tay.
(ああ、俺のすごいパーティーに来れば、みんな俺を好きになるさ。)
Friends Season5 Episode15(The One with the Girl Who Hits Joey)
stand up for what one believes in は「自分の信じることを貫く」という意味で、ロスは自分を信念の人として語っています。チャンドラーの Sounds like a fun party. はレイチェルに向けた一言で、信念を説明するために開くパーティーが楽しいはずがない、という皮肉として働いています。
レイチェルの why don’t you just ~? は「〜すればいいじゃない」と、手っ取り早い解決を勧める言い方です。さらに I thought it was about ~ で、「〜の話だと思っていた」と、ロスの話の焦点がずれていることを指摘します。ロスが言う「信念」と、本来の目的だった「好かれたい」がかみ合っていないことを、責めずに示す言い方です。ロスは par-tay と party をくだけた形にして返し、名札を買いに出かけます。
まとめ|断る理由と、焦点のずれを伝える英語
It’s not that. It’s just ~ で頼みを否定せずに事情を伝え、Okay, fine. Whatever. で話が打ち切られ、I thought it was about ~ で目的とのずれを指摘される流れを見てきました。断る側と、断られる側・見ている側の言い方がひと続きで分かります。
ロスの言葉遊びにも耳を傾けながら観ると、この回の言い合いがより楽しめます。
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