海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン4第5話には、気まずい出来事のあとで相手に声をかける場面が2つあります。ひとつは昼間のことを謝るチャンドラー、もうひとつはエンディングの場面でレイチェルに話しかけるガンターです。
どちらも相手との関係を気にしていますが、使う英語の向きは違います。自分のしたことを謝る言い方と、関係が大丈夫かを確かめる言い方を、二つの場面で比べてみます。
「I’m sorry about this afternoon」前のことを持ち出して謝る
チャンドラーとジョーイの部屋で、夜中の2時半に起き出したチャンドラーは、テレビを見ていたキャシーと鉢合わせします。キャシーは、チャンドラーが昼間にカフェで声をかけた相手で、ジョーイの恋人です。少し話したあと、チャンドラーは昼間のことを持ち出します。
Chandler: Hey, listen, I’m sorry about this afternoon. You know, if I had known you guys were… I never would’ve…
(なあ、昼間のことはごめん。ほら、二人が……って知ってたら、俺、絶対に……)
Kathy: Oh, please!
(もう、いいってば!)
Friends Season4 Episode5(The One With Joey’s New Girlfriend)
I’m sorry about ~ は「〜のことはごめん」と、謝る対象を about のあとに置く形です。ここでは this afternoon を置いて、「昼間のこと」とだけ言っています。何をしたかを細かく言わなくても、相手に伝わる出来事であれば、時間を表す語だけで謝る対象を示せます。
続く If I had known ~, I never would’ve ~ は、過去の事実と違う仮定を表す形で、「〜と知っていたら、絶対に〜しなかった」という意味になります。チャンドラーはどちらの部分も最後まで言わず、… で切っています。二人が付き合っていると知っていたら声をかけなかった、という中身を、言い切らずに伝える形になっています。
キャシーの Oh, please! は、ここでは「やめてよ」「気にしないで」と、謝罪を軽く流す返しとして使われています。please は頼みごとに使う語として知られていますが、Oh を付けて強く言うと、相手の言葉を打ち消す働きになることがあります。
「I don’t know if you heard about ~」言いにくい話の切り出し方
エンディングの場面は、カフェのセントラルパークです。フィービーの歌が終わったあと、ガンターがレイチェルに話しかけます。この回の途中で、フィービーがガンターにキスをする場面がありました。
Gunther: Rachel?
(レイチェル?)
Gunther: I don’t know if you heard about what happened between me and Phoebe the other day.
(この前、僕とフィービーの間にあったこと、聞いたかどうか分からないけど。)
Rachel: No.
(ううん。)
Friends Season4 Episode5(The One With Joey’s New Girlfriend)
I don’t know if you heard about ~ は、「〜のことを聞いたかどうか分からないけど」と、相手がすでに知っている可能性を残しながら話を切り出す形です。いきなり本題に入らず、前置きとして使われることの多い言い方です。the other day は「先日」「この前」で、具体的な日付を言わずに少し前の出来事を指します。
レイチェルの答えは No. の一言で、何も聞いていないと分かります。ガンターはそれでも話を続け、キスのことを、自分から始めたわけではないが止めもしなかったと説明します。
このあとの流れが、前の場面の謝罪とは違うところです。チャンドラーは自分のしたことをキャシーに謝っていましたが、ガンターは「I’m sorry」とは言わず、自分の気持ちを伝えたうえで、レイチェルとの関係を確かめる方向へ話を進めます。ガンターはレイチェルに好意を寄せている人物として描かれてきました。
「Are we cool?」関係にひびが入っていないか確かめる
ガンターの話は、こう締めくくられます。
Gunther: I’ve been feeling guilty.
(ずっと気がとがめてて。)
Rachel: Okay.
(そう。)
Gunther: So, um…
(それで、その……)
Gunther: Are we cool?
(僕たち、大丈夫かな?)
Rachel: Okay.
(ええ。)
Gunther: I knew you’d understand.
(分かってくれると思ってた。)
Friends Season4 Episode5(The One With Joey’s New Girlfriend)
I’ve been feeling guilty. は現在完了進行形で、「しばらく前からずっと気がとがめていた」と、気持ちが続いていることを伝えます。Are we cool? は、くだけた会話で「私たち、大丈夫?」と、二人の関係にわだかまりが残っていないかを確かめる言い方です。cool はここでは「問題ない」「わだかまりがない」という意味です。
レイチェルの返事は2回とも Okay. だけです。ガンターはそれを了解と受け取り、I knew you’d understand. で話を終えます。I knew you’d ~ は「あなたなら〜すると思っていた」と、相手の反応が自分の予想どおりだったと伝える形で、would の過去の推量が「〜するだろう」と思っていた気持ちを表します。付き合っているわけではないレイチェルに関係の確認を求めるガンターと、短く返すだけのレイチェルの間には、受け止め方のずれがあります。
| 表現 | 向いているもの | 作中の場面 |
|---|---|---|
| I’m sorry about ~ | 自分のしたことへの謝罪 | チャンドラーが昼間のことを謝る |
| Oh, please! | 謝られた側の「気にしないで」 | キャシーの返し |
| Are we cool? | 相手との関係の確認 | ガンターがレイチェルに尋ねる |
まとめ|謝る英語と確かめる英語
I’m sorry about ~ は自分のしたことに向けた謝罪、Are we cool? は相手との関係に向けた確認です。Oh, please! や I don’t know if you heard about ~ とあわせて、気まずさのあとにかける言葉の違いが見えてきます。
二つの場面を見比べると、同じ「気まずさ」でも声のかけ方がずいぶん違うことが分かります。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事も、この回の会話を別の角度から扱っています。


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