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『フレンズ』シーズン5第18話では、ベンが受けることになったCMのオーディションに、ジョーイも父親役で加わります。やがてジョーイは、ロスに「自分は身を引く」と言い出しますが、その申し出はあっさり受け入れられてしまいます。
本気ではない申し出が、そのまま通ってしまう。そんなときの返し方と、本音の明かし方、後で話をまとめ直すやりとりを見ていきます。
「That’s it?」身を引くと言ったのに、あっさり受け入れられたとき
二次審査の場で、ジョーイとベンはそれぞれ別の組に分けられ、同じCMの役を争うことになりました。チャンドラーとジョーイの部屋で、帰ってきたジョーイは、ロスにベンと張り合うことになった件を持ち出し、こう切り出します。
Joey: So… I think I’m just going to step aside. I’m going to tell them that I won’t audition.
(だから……俺は身を引こうと思う。オーディションは受けないって伝えるよ。)
Ross: Wow, uh… Joey, that’s… that’s great. Thanks, man.
(わあ、えっと……ジョーイ、それは……それはありがたい。ありがとな。)
Joey: That’s it? You-you’re going to let me do this? This is my career we’re talking about here.
(それだけ? お、お前、俺にそんなことさせる気か? 俺のキャリアの話をしてるんだぞ。)
Friends Season5 Episode18(The One Where Rachel Smokes)
step aside は「わきへどく」が元の意味で、競争や役目から「身を引く、譲る」という意味で使われます。I think I’m just going to ~ は「〜しようと思う」と、決めたことを控えめに伝える形です。just が入ることで、「それだけのこと」という軽さが加わります。
ロスは Thanks, man. と、その申し出をそのまま受け取ります。これに対するジョーイの That’s it? は「それだけ?」と、相手の反応が予想より短いことに驚く一言です。続く You’re going to let me do this? の let は「〜させる、〜するのを許す」という意味で、「止めないのか」と相手に問い返す形になっています。
This is my career we’re talking about here. は、「今話しているのは俺のキャリアのことだ」と、話題の重さを強調する一言です。「This is ~ we’re talking about.」の形で、軽く扱われたくない話題を前に出すときに使われることがあります。身を引くと言った本人が、引き止めなかった相手に、自分の申し出の重さを持ち出して問い返す流れになっています。
「If anyone should step aside, it should be Ben.」本音を明かす
ロスが何か言いかけたところで、ジョーイは身を引くと言った理由を明かします。
Joey: I just said that so you wouldn’t let Ben do it.
(お前がベンにやらせないように、ああ言っただけだ。)
Joey: Look, Ross, if anyone should step aside, it should be Ben.
(いいか、ロス、身を引くべき奴がいるとしたら、それはベンだ。)
Friends Season5 Episode18(The One Where Rachel Smokes)
I just said that so ~ は「〜させるために、そう言っただけだ」と、自分の発言が本気ではなかったことを明かす形です。so のあとには目的が続き、ここでは you wouldn’t let Ben do it(ロスがベンにやらせないように)が入っています。ロスにベンを降ろさせるための申し出だったことが、ジョーイ自身の言葉で分かります。
If anyone should ~, it should be … は「〜すべき人がいるとしたら、それは…だ」と、役目を相手の側に押し返す言い方です。anyone を使うことで「誰かがやるなら」という仮定の形になり、そのうえで it should be のあとに名前を置いて、話の矛先をはっきりさせています。
このあと2人は、どちらが役にふさわしいかで言い合いになります。最初の step aside が、ここでは自分ではなく相手の子に向けられています。同じ句動詞が、申し出から要求へと向きを変えて使われている点が分かります。
「You lost me.」相手の見方に乗って話をまとめる
ジョーイは二次審査の場でうまくいきませんでした。パーティーの場で、ロスはジョーイにオーディションの結果を気づかう言葉をかけます。そのやりとりの中で、ジョーイはこう返します。
Joey: Yeah, well, look, Ross… you don’t have to, okay? It’s not your fault I suck.
(ああ、いいか、ロス……そんなふうに思わなくていい、な? 俺が下手なのはお前のせいじゃない。)
Friends Season5 Episode18(The One Where Rachel Smokes)
you don’t have to のあとには、相手の気づかいの中身が省かれています。「そうしなくていい」と、相手が気に病む必要はないと返す形です。するとロスは、別の見方を差し出します。
Ross: Hey, you know what? Maybe… maybe you didn’t mess up your audition because you suck. Maybe you messed up because you care more about your godson.
(なあ、いいか? もしかしたら……お前が下手だからオーディションをしくじったんじゃないのかも。名付け子のほうが大事だから、しくじったのかもしれない。)
Friends Season5 Episode18(The One Where Rachel Smokes)
ジョーイがどういう意味かと聞き返し、ロスが説明しかけると、話は次のように進みます。
Joey: Whoa-whoa. You lost me.
(おいおい、話についていけないよ。)
Ross: I think on some level you-you sabotaged your own audition so Ben would get the part.
(心のどこかで、お、お前はベンが役をもらえるように、自分のオーディションをわざとだめにしたんだと思う。)
Joey: Well, your way sounds a lot better than mine. Yeah. Yeah. It’s not that I’m a bad actor…
(まあ、お前の言い方のほうが俺のよりずっといいな。そうだ、そうだよ。俺が下手な役者ってわけじゃなくて……)
Friends Season5 Episode18(The One Where Rachel Smokes)
You lost me. は「話についていけなくなった」と伝える言い方です。lose は「見失う」で、相手の話の途中で自分が置いていかれたことを表します。on some level は「心のどこかで、ある意味では」と、断定を和らげる前置きです。ジョーイの your way sounds a lot better than mine は、相手の説明の仕方を自分のものより「ずっといい」と受け入れる返しで、It’s not that ~ は「〜というわけではない」と言い直す形です。
まとめ|申し出が通ってしまったときの英語
step aside と言ってみせたあとの That’s it?、本音を明かす I just said that so ~、話についていけないときの You lost me. を見てきました。申し出と本音、言い直しの英語が、一つの張り合いの中で使われていました。
身を引くと言ったジョーイと、それを真に受けたロスのやりとりに注目しながら観ると、同じ台詞の働きがよりはっきり見えてきます。
この回のほかのコラムやフレーズ記事でも、別の場面の英語を取り上げています。


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