「have the guts to」の意味と使い方|『フレンズ』S02E24で学ぶ英会話

「have the guts to」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

普通なら怖くて足がすくむような場面に、それでも踏みとどまって立ち向かう人がいます。そんな姿を見て、思わず「よくそこまでの度胸があるな」と感心した経験はありませんか。

そんなときにぴったりの「have the guts to」を、『フレンズ』シーズン2第24話の後半、披露宴のスピーチでレイチェルの勇気が引き合いに出されるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「have the guts to」の意味とニュアンス

have the guts to
意味:〜する度胸がある、〜する勇気がある

普通なら怖くてためらうようなことを、あえてやってのける気概を表します。guts はもともと「内臓・腸」を指す語ですが、口語では「勇気・肝っ玉」の意味で使われます。have the courage to よりも砕けて、力強い響きがあります。

この表現は、体を張るような泥臭い勇気によく合います。気まずさや恐怖を押して前に出る、その踏ん張りを評価したり、ときに挑発したりする場面で登場します。否定形の not have the guts to(〜する度胸がない)も頻出で、「そこまでの勇気はないだろう」とけしかける響きになります。

It takes guts to do のように、It takes を主語にした形もよく使われます。こちらは「〜するには度胸がいる」と、行為そのものの難しさに焦点を当てます。

【ここがポイント!】

  • 核は「腹に力を込めて怖いことをやってのける」泥臭い勇気のイメージ
  • courage より砕けて力強い、体を張る気概に合う一言
  • 否定形・It takes guts to の形も頻出、セットで押さえるのがコツ

『フレンズ』S02E24のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

場面は、ある結婚式の披露宴です。この会場には、かつて花婿との自分の結婚式から逃げ出したレイチェルにとって、居心地の悪い因縁があります。乾杯のスピーチに立ったベストマンが、そんなレイチェルの「度胸」を、称賛するふりをしながら持ち出します。

Best man: I’d like to propose a toast. And also, if you’ll indulge me, to the courage of a certain young lady. There aren’t a lot of women who would have the guts to come back here tonight.
(乾杯の音頭を取らせてください。それともう一つ、お許しいただけるなら、とある女性の勇気に。今夜ここに戻ってくる度胸のある女性なんて、そういるもんじゃない)

Rachel: Oh, God.
(ああ、もう)

Ross: I’d like to add something to that. It did take a lot of courage for Rachel to come here tonight.
(僕からも一つ言わせてください。レイチェルが今夜ここに来たのは、本当に勇気のいることだったんです)

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シーン解説と心理考察

ベストマンの have the guts to は、表向きはレイチェルへの賛辞です。ところが実際には、過去の気まずい出来事を大勢の前で蒸し返すための前振りになっている。「勇気」という言葉が、そのまま皮肉の刃に転じる構造が見どころです。

称賛の体裁をとっているだけに、たちが悪いとも言えます。真正面から非難すれば角が立ちますが、「よくぞ戻ってきた」と持ち上げる形をとることで、当てこすりが笑いの衣をまといます。会場の視線が一斉にレイチェルへ集まり、彼女は逃げ出したい衝動と戦うことになります。

レイチェルの Oh, God. という短い一言に、その居心地の悪さが凝縮されています。褒められているのに追い詰められる。この居たたまれなさが会話の温度を変えています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

have the guts to は、怖い場面で「お腹にぐっと力を込める」あの身体感覚で覚えると定着します。緊張すると胃(gut)がきゅっと縮み、逆に腹を据えると内臓が座る。英語は勇気を、この「腹・内臓」に宿るものと捉えます。

日本語の「肝が据わる」「腹をくくる」とほぼ同じ発想です。披露宴の会場で、逃げ出したい衝動を腹に力を込めてこらえ、席に留まろうとするレイチェル。彼女こそ have the guts to come back を体現しています。腹に力を込めて踏みとどまる、あの身体の感覚ごと思い浮かべておくと、この表現の「泥臭い勇気」というニュアンスまで一緒に身につきます。

例文で覚える「have the guts to」

have the guts to は、体を張るような勇気を評価したり、挑発したりする場面で使われます。称賛から後悔まで、3つの使い方を見ていきましょう。

She had the guts to quit her job and start over.
(彼女は仕事を辞めてやり直す度胸があった)
大きな決断をした人を称える場面です。肯定形で勇気を評価する、最も基本的な使い方になります。

I never had the guts to tell her how I felt.
(彼女に気持ちを打ち明ける勇気が、僕にはずっとなかった)
できなかったことへの後悔を語る場面です。否定形にすることで、踏み出せなかった心残りがにじみます。

A: Do you have the guts to say that to his face?
B: …Maybe I’ll just text him.
(A:それ、面と向かって言う度胸あるの?)
(B:…やっぱりメッセージで送っとくよ)
相手をけしかける会話です。疑問形にすると、「本当にできるのか」と挑発する響きが生まれます。

あわせて覚えたい関連表現

have the nerve to
(〜する度胸がある、図々しさがある)
勇気の意味も持ちますが、しばしば「よくもそんな厚かましいことを」という非難の含みで使われます。guts はより純粋に勇気寄りで、非難のニュアンスは薄めです。

have the courage to
(〜する勇気がある)
最もフォーマルで中立的な言い方です。guts が口語的で体を張る泥臭さを持つのに対し、スピーチや文章では courage のほうが収まります。

pluck up the courage
(勇気を奮い起こす)
「今まさに勇気を振り絞る」プロセスに焦点があります。have the guts to が勇気を「備えている」状態を指すのとは、力点が異なります。

Note|なぜ「内臓」が勇気を意味するのか

ベストマンが口にした guts は、もとをたどれば「腸・内臓」を指す語です。なぜ体の内側の臓器が、「勇気」や「肝っ玉」を意味するようになったのでしょうか。

背景には、勇気や感情の座を腹部に置く、古くからの身体観があります。西洋では長らく、恐怖や勇気といった強い情動が内臓のあたりで生じると感じられてきました。その感覚は、guts が「気概」を指す用法だけでなく、gut feeling(直感)、gut-wrenching(断腸の思いの)といった表現にも残っています。頭で考えるより先に、腹が反応する。理屈を超えた反応の在りかとして、内臓が選ばれてきたわけです。興味深いのは、この発想が英語圏に限らないことです。日本語にも「肝が据わる」「腹をくくる」「断腸の思い」があり、勇気や決意、深い悲しみを腹部に結びつけます。感情を内臓に宿すという捉え方は、文化を越えて共有されているようです。頭は考える場所、腹は覚悟を決める場所。その役割分担が、言葉の奥に静かに刻まれています。

この身体観を知ると、have the guts to の手ざわりが変わります。それは頭で計算した勇気ではなく、腹の底から湧く踏ん張りを指す言葉です。レイチェルが会場に留まれたのも、理屈ではなく、腹に力を込めて耐えたからでした。

勇気は、頭ではなく腹に宿るのかもしれません。

まとめ|腹に力を込めて留まった人

have the guts to は、普通なら怖くてためらうことを、あえてやってのける度胸を表す表現です。guts が「内臓」を指すことを思えば、この言葉が頭ではなく腹から湧く、泥臭い勇気を指すことも見えてきます。courage より砕けて力強く、nerve のような非難の含みもありません。

この表現を使えるようになると、誰かの体を張った行動を、実感のこもった言葉で称えられるようになります。理屈を超えて踏みとどまる勇気を、そのまま言い当てる一言です。

称賛の形を借りた当てこすりに耐え、それでも会場に留まったレイチェル。腹に力を込めて踏みとどまる姿が、この表現の意味そのものだった場面でした。表現の引き出しに加えてみてください。

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