海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何かを決めてしまう前に、「一応この人に確認しておいた方がいいかな」と、まわりの誰かに一言通しておきたくなること、ありませんか。
そんなときにぴったりの「run it by」を、『フレンズ』シーズン1第16話の中盤、勢いで動こうとするジョーイをロスが引き止めるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「run it by」の意味とニュアンス
run it by(run ~ by someone)
意味:(意見や許可を求めて)~に話を通す、確認を取る
run it by は、何かを決めたり実行したりする前に、関係者や上司に内容を伝えて、意見や了解をもらうことを表します。「勝手に進めず、一度通しておく」という配慮のニュアンスがあり、ビジネスでも日常でも頻繁に使われます。
it の部分には this idea(この案)や the plan(その計画)など具体的な名詞も入り、run this by you(これをあなたに確認する)のように使えます。by の後ろには「確認してもらう相手」が来ます。
【ここがポイント!】
- 決める前に相手へ「見せて通す」のが核のイメージ
- by の後ろに来るのは「確認してもらう相手」
- 勝手に進めず一言通す、という配慮がにじむ表現
『フレンズ』S01E16のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジョーイが、フィービーの双子の姉アースラに一目惚れし、勢いで誘おうとしています。それを常識人のロスが「その前に、本人に一言通しておけよ」と引き止める場面です。
Ross: Before you do anything Joey-like, you might wanna run it by, uh.. Pheebs?
(お前がいつものジョーイっぽいことをやらかす前に、ちょっと話を通しといた方がいいんじゃないか……フィービーに?)Joey: Do you think it would be okay if I asked out your sister?
(なあ、お前の姉さんを誘ってもいいと思う?)Friends Season1 Episode16(The One with Two Parts, Part 1)
シーン解説と心理考察
ロスは、姉妹の関係のデリケートさを察して「勝手に進めるな、まず本人に確認を」と助言しています。run it by の by の後ろに来る相手が、ロスの言い淀みのあと「Pheebs?」と示されるところに、気まずさとおかしみがにじむ場面です。
グループの中で常識人の役回りが多いロスらしく、ジョーイの勢いにブレーキをかける気遣いが、この一言に重なっています。run it by という表現が持つ「勝手に決めず、関係者に一度通しておく」という配慮の感覚が、シーンの空気とよく噛み合っています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
run it by someone は、自分のアイデアや計画を紙に書いて、相手の目の前を「スーッと通して(by)見せる」動きをイメージすると覚えやすくなります。相手のチェックポイントの横を通過させて、OKをもらう感覚です。
このシーンのように、ロスが「フィービーの前をまず通しておけ」とジョーイを止める様子を思い浮かべてみてください。「本人チェックを通してから進め」という動きと結びつけておけば、by の後ろに来るのが「確認してもらう相手」だと、迷わず思い出せます。
例文で覚える「run it by」
run it by は、職場での確認から家族への相談まで幅広く使えます。3つの例文で見ていきましょう。
Let me run it by my boss before we finalize the plan.
(計画を最終決定する前に、上司に確認を取らせてください。)
職場で承認や確認を求める場面です。run it by の最もよく使われるビジネスの形です。
Did you run it by your parents before booking the trip?
(旅行を予約する前に、ご両親に一言確認した?)
家族への相談を確認する場面です。劇中の「まず身内に通しておけ」という文脈に最も近い使い方です。
A: I was thinking of repainting the office wall blue.
B: Sounds good, but run it by the team first.
(A:オフィスの壁を青く塗り直そうかと思ってて。)
(B:いいね、でもまずチームに一言通しといて。)
職場での相談の会話です。「勝手に進めず、関係者に通しておく」という run it by の配慮がそのまま表れています。
あわせて覚えたい関連表現
check with someone
(~に確認する)
単に「確認する」ことを表します。run ~ by someone は「案や原稿など具体的な内容を見せて意見をもらう」と、通す対象がはっきりしている点が違います。
clear it with someone
(~の許可・了承を取る)
「正式な許可を取る」という承認寄りの強い表現です。run it by は「意見を聞く・一応通す」と、もう少し軽く柔らかい響きになります。
get someone’s take on it
(~の意見・見解をもらう)
相手の見方を求める点は近いですが、run it by は「決定や実行の前の確認」という手順のニュアンスが強い表現です。
Note|アメリカの職場で run it by が果たす「一言通す」文化
run it by は、英語圏の職場でとてもよく耳にする表現です。その裏には、仕事の進め方についての一つの感覚があります。
英語圏のビジネスの現場では、何かを決めるときに、いきなり実行するのではなく、まず関係者に run it by ~ しておくことが円滑な進め方のマナーとされています。たとえば新しい企画を思いついたとき、上司やチームに「ちょっとこれ通しておくね(Let me run this by you)」と一声かけてから動く。この一手間が、後のトラブルを防ぎ、周囲との信頼関係を保つ働きをします。これは日本語の「根回し」や「一言通しておく」という感覚にとても近いものです。国や言語が違っても、人間関係を壊さずに物事を進める工夫は共通しているのだと分かります。
劇中でロスがジョーイに run it by を促したのも、まさにこの「勝手に進めず、まず本人に通す」という配慮でした。ビジネスの場だけでなく、友人同士の場面でも同じ感覚が生きているのが見てとれます。
一言の背景には、人づきあいの知恵が詰まっています。
まとめ|決める前の「一言通す」を英語で
run it by は、何かを決めたり実行したりする前に、関係者に内容を伝えて意見や了解をもらうことを表す表現です。「勝手に進めず、一度通しておく」という配慮が、この一言には込められています。
この表現を知っておくと、職場でも家庭でも、周囲との関係を保ちながらスムーズに物事を進める言い回しが一つ増えます。by の後ろに確認したい相手を置くだけで使えるので、応用もしやすい表現です。
大事なことを決める前のワンクッションとして、会話のレパートリーに加えてみてください。


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