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規則を守っているだけなのに、なぜか面白みがないと言われてしまう。そんな役回りを引き受けた覚えはありませんか。
その役回りにつけられた名前が「a goody-two-shoes」です。『メンタリスト』シーズン4第20話、校内での行動が問題になって校長室に呼び出されたジェーンとリズボンが、待合の椅子で軽口をたたき合う場面から、一緒に見ていきましょう。
「a goody-two-shoes」の意味とニュアンス
a goody-two-shoes
意味:優等生ぶった人、品行方正すぎる人
規則をきちんと守り、羽目を外さない人を指す呼び名です。goody は good に -y をつけた子どもっぽい語形で、そこに two-shoes(靴が二足)が続く、少し風変わりな作りをしています。
注意したいのは、これが純粋な褒め言葉ではないという点です。正しさそのものを否定してはいないものの、まじめすぎて面白みがない、という軽い揶揄が乗ってきます。そのため、初対面の相手や目上の人に向けて使う言葉ではありません。友人同士のからかいや、学生時代の思い出話のように、遠慮のいらない間柄で出番が来ます。
冠詞をつけて a goody-two-shoes と名詞で使うほか、Don’t be such a goody-two-shoes. のように such a と組み合わせる形もよく見かけます。表記は goody two-shoes、goody-two-shoes、goody two shoes と揺れがあり、どれも通用します。
【ここがポイント!】
- 核は「正しさが服を着て歩いている人」。褒めるより、からかう側に傾く呼び名
- 面白みのなさをつつく言い方なので、使えるのは気心の知れた相手だけ
- such a や boring と一緒に使われることが多い、と押さえておくのがコツ
『メンタリスト』S04E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
校内でのジェーンのふるまいが問題視され、二人そろって校長室の前で待たされることになります。所在なく並んで座るうち、話題は自然と学生時代へ。呼び出された経験などないと胸を張ったリズボンに、ジェーンが言葉を投げます。ところが返ってきた一言で、形勢がひっくり返ります。
Lisbon: 11 years in Catholic school, and I never got sent to the principal’s office once.
(カトリック校に11年通って、校長室に呼ばれたことなんて一度もなかったわ。)Jane: Well, that’s because you’re a boring goody-two-shoes.
(そりゃあ君が、退屈な優等生だったからだよ。)Lisbon: I didn’t say I never did anything bad. I just never got caught.
(悪いことをしなかったとは言ってない。捕まらなかっただけよ。)Jane: Touché.
(一本取られたな。)The Mentalist Season4 Episode20(Something’s Rotten in Redmund)
シーン解説と心理考察
読み違えたのはジェーンのほうだった、という構図がこの短いやり取りに表れています。人の性格を一瞬で言い当てるのが仕事の男が、目の前の相棒については「退屈な優等生」という手垢のついた型に当てはめてしまった。その油断が、直後に返されています。
リズボンの返しが二文に分かれているのも効いています。前半で誤解を訂正し、後半で新しい事実を差し出す。この間の取り方が、会話の温度をゆっくり反転させています。
締めくくりの Touché は、フェンシングで一本取られたときの言葉です。負けを認める合図であると同時に、認めるに足る相手だという評価でもあります。冒頭の車内では受け身に回っていたリズボンが、ここでは一枚上手をとっている。学校という場所が、二人を一時的に学生時代の言い合いへ引き戻している場面と言えます。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
靴が二足、という奇妙な形をそのまま入り口にしてみてください。靴を一足しか持っていなかった子どもが、二足目を手に入れて周りに見せて回る。そんな絵柄が、この呼び名の出発点にあるとされています。
正しく生きていれば報われる、という分かりやすい筋書きが、あまりに分かりやすいがゆえに少しばかりからかわれるようになった。その傾きを覚えておくと、褒め言葉として使うと空振りする理由まで一緒に納得できます。校長室の前で胸を張ったリズボンに、ジェーンがこの言葉を差し出す場面を思い出せば、どんな相手に向けられるのかも見えてきます。
例文で覚える「a goody-two-shoes」
からかう側でも、からかわれる側でも使える呼び名です。3つの例文で立ち位置の違いを見ていきましょう。
Don’t be such a goody-two-shoes. One late night won’t hurt.
(そんなに優等生ぶらないでよ。一晩くらい夜更かししたって平気だって。)
友人を誘うときの軽口です。such a と組み合わせる形が最もよく使われます。
He was the class goody-two-shoes who never missed a single assignment.
(彼はクラスの優等生で、課題を一度も落とさなかった。)
学生時代の同級生を紹介する場面。第三者の描写として使うと、揶揄の度合いはやや薄まります。
A: You actually told the teacher we had homework due?
B: Someone had to. Fine, call me a goody-two-shoes.
(A:宿題の締め切りがあるって、本当に先生に言ったの?)
(B:誰かが言わなきゃでしょ。はいはい、優等生って呼べば。)
言われる側が先回りして受け止める会話です。call me ~ の形にすると、開き直りの軽さが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
teacher’s pet
(先生のお気に入り)
教師に取り入る態度に焦点があり、使える場所は学校に限られます。goody-two-shoes は誰かに気に入られるかどうかとは無関係な点が違います。
a straight arrow
(品行方正な人)
こちらは肯定的に使われることが多く、揶揄の含みが弱い呼び方です。褒めたいのか、からかいたいのかで選び分けられます。
a stickler for the rules
(規則にうるさい人)
自分だけでなく他人にも規則を守らせようとする人を指します。goody-two-shoes は自分が守る側にとどまるため、押しつけの有無で線が引けます。
Note|靴が二足になった女の子の話
なぜ靴なのか。しかも、なぜ二足なのか。この呼び名を初めて見た人が必ずつまずくところですが、由来をたどるとその奇妙さには理由があります。
出どころとしてよく挙げられるのが、18世紀のイギリスで出版された子ども向けの物語です。主人公は貧しく、靴を片方しか持っていない少女。やがて二足そろった靴を手に入れ、喜んで周囲に見せて回る。この場面が題名にもなり、少女の呼び名がそのまま英語に残ったと説明されます。作者が誰であったかについては諸説あり、当時の出版事情もあって確定していません。物語の中の少女は、まじめに働き、善い行いを重ねて報われる存在として描かれていたとされます。つまり、この呼び名はもともと否定的なものではなかったことになります。
ではどこで傾いたのか。ひとつの見方は、教訓があまりに分かりやすかったことにあります。善い行いは報われるという筋書きが繰り返し語られるうち、その真面目さ自体が少し古くさく、少し滑稽に感じられるようになった。称賛の言葉が使われすぎて皮肉に転じる現象は英語に何度も起きていて、awful がかつて「畏敬の念を起こさせる」に近い意味を持っていたと言われる例などが知られています。goody-two-shoes も、同じ道をたどった一語と考えると位置づけやすくなります。
こう見てくると、この呼び名が親しい相手にしか使えない理由もはっきりします。相手の行いを否定しているのではなく、その真面目さを微笑ましく眺めている。距離が近くないと成立しない種類の言葉なのです。
靴が二足あることを喜んだ少女の姿が、三百年近くたっても呼び名の中に残っています。
まとめ|校長室の前で交わされた一本
a goody-two-shoes は、規則を守り羽目を外さない人につけられる呼び名です。正しさそのものではなく、そこから生まれる面白みのなさをつつく言葉だという点を押さえておくと、使いどころを外しにくくなります。
友人をからかうときにも、自分の学生時代を語るときにも使えます。ただし相手との距離が近いことが前提なので、そこだけは意識しておきたいところです。
見た目どおりの人だと思っていたら、実はそうでもなかった。そういう発見が、会話をいちばん面白くするのかもしれません。


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