「a nasty piece of work」の意味と使い方|『メンタリスト』S01E13で学ぶ英会話

「a nasty piece of work」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

「あの人には気をつけたほうがいい」と、誰かにそっと耳打ちされる場面があります。理由まではっきり聞かされなくても、その一言だけで身構えてしまうものです。詳しく尋ねるのがためらわれるほど、声の調子が低いこともあります。

そんな警告に使われる「a nasty piece of work」を、犯罪捜査ドラマ『メンタリスト』シーズン1第13話の前半、捜査班が浮上した容疑者候補の経歴を読み上げる場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「a nasty piece of work」の意味とニュアンス

a nasty piece of work
意味:たちの悪いやつ、性根の腐った人物

piece of work は、もともと「作品」「仕上がったもの」を指す言い方です。a work of art(芸術作品)の work と同じで、誰かの手で作られた一つの品物を表します。それを人に向けると、その人の人格を製品のように眺める響きが生まれます。この出来上がり方はひどい、という品評です。

nasty がつくと、評価の幅が定まります。単に扱いにくい、面倒な相手ということではなく、他人を傷つけることをためらわない危うさを指す言い方になります。関わるべきではない相手だ、という警告として働く表現です。人物ファイルを読み上げるような、少し距離のある評し方になります。

使い方には制約があります。第三者について語るための言い方であり、本人に面と向かって投げつける表現ではありません。また、イギリス英語で特によく使われる言い回しで、アメリカ英語でも通じますが、日常会話での頻度はやや下がります。

【ここがポイント!】

  • 核にあるのは、工房から出てきた欠陥品を眺めるような視線
  • 面倒な相手ではなく、危険な相手を指し示す一言
  • 本人の前では使わず、その場にいない相手について語るときに限るのがコツ

『メンタリスト』S01E13のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

盗まれたのは、競売で高額の値がついた一枚の絵。美術の専門家への聞き込みで、この絵を競り負けた人物としてロシアの石油王アーロフの名前が挙がります。CBIのオフィスに戻ったチームは、彼の経歴を洗い直します。表向きの顔と実態が食い違う人物だと分かったところで、報告の口火を切る一言がこれです。

Cho: Arlov is a nasty piece of work. He has a legit front as an oilman, but he’s a super rich gangster, basically.
(アーロフはとんでもない悪党だ。石油業者という表向きの顔はあるが、実態はただの大金持ちのギャングだ)

Jane: Sounds like our kinda guy.
(こちらの好みに合いそうな人物じゃないか)

Lisbon: Talk to the organized crime boys upstairs. Find out who Arlov’s connections are in California and where they were last night.
(上の階の組織犯罪班に話を通して。カリフォルニアでのアーロフの繋がりと、その連中が昨夜どこにいたかを洗って)

Rigsby: You got it, boss.
(了解です、ボス)

The Mentalist Season1 Episode13(Paint It Red)

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シーン解説と心理考察

報告の一文目に、この表現が置かれています。経歴の詳細や証拠より先に、人物の危険度が告げられる。捜査の現場で何が優先されるのかが、この語順に表れています。

続く説明は、対比の形で組み立てられています。表向きは石油業者、実態は資産を持つ犯罪者。合法的な顔と裏側の顔が並べられることで、a nasty piece of work という評価に裏づけが与えられていきます。

そこへジェーンが「こちらの好みに合いそうな人物じゃないか」と軽口を返します。危険であるほど面白がる彼の性分が、この落差ににじむ場面です。一方のリスボンは、間を置かずに組織犯罪班との連携を指示する。同じ報告を聞いて、一人は興味を示し、一人は手続きに入る。短いやり取りのなかに、二人の距離が表れています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

工房から運び出されてきた品物を思い浮かべてみてください。職人が仕上げたはずなのに、継ぎ目は歪み、塗りはむらだらけ。それを手に取った誰かが「これはひどい出来だ」とつぶやく。その視線を、そのまま人間に向けたのが a nasty piece of work です。

覚え方の鍵は、work が「働くこと」ではなく「作られたもの」を指している点にあります。英語では作品を a work of art と言います。その言い方を裏返すと、できそこないの一品という評価になります。

劇中では、チームがアーロフの経歴を書類として読み上げていきます。犯罪歴も資産も、机の上に並べられた一つの仕上がり品として扱われる。書類越しに人を値踏みするあの場面と重ねると、この言い回しの冷たさが体に入ってきます。

例文で覚える「a nasty piece of work」

第三者について語るときに使う表現です。警告する場面、過去を振り返る場面、率直な評価を求められた場面で見てみましょう。相手との距離の取り方が、少しずつ違います。

Stay away from him. He’s a nasty piece of work.
(あの男には近づかないほうがいい。相当たちが悪い)
友人に人物への警告を伝える場面です。Stay away from と組み合わせるのが、最も自然な形になります。口に出す側の警戒心が、そのまま相手に伝わる言い方です。

Her former landlord was a nasty piece of work.
(彼女の前の大家は、ひどい人物だった)
過去に迷惑をかけられた相手について話す場面です。当事者がいないところでこそ成り立つ言い方になります。評価を過去形に収めることで、いまは離れていることも示せます。

A: What’s the new manager like?
B: Honestly? A nasty piece of work.
(A:新しい部長ってどんな人?)
(B:正直に言う? かなりたちが悪いよ)
同僚に率直な評価を求められた場面です。Honestly? を挟むと、言いにくいことを打ち明ける調子が出ます。短く言い切るぶん、忠告としての重みが増します。

あわせて覚えたい関連表現

a piece of work
(一筋縄ではいかない人、扱いにくい人)
nasty が抜けたぶん、呆れや苦笑が中心になります。厄介ではあっても危険とはかぎらず、a nasty piece of work ほど強い警告にはなりません。呆れ半分で口にされることが多く、笑いの余地が残ります。

bad news
(関わると厄介な相手)
He’s bad news. の形で人に使う口語です。危険を知らせる点は近いものの、理由を示さずに漠然と遠ざける言い方になります。関わらないほうがいい、とだけ伝えたいときに便利です。

a bad apple
(周囲を悪くする一人)
集団の中の一人という前提があり、周りへの影響に焦点が置かれます。a nasty piece of work は、その人単体の性質を述べる表現です。組織の話をするときに選ばれやすい言い方です。

Note|イギリス英語の色が濃く残る人物評

a nasty piece of work は、英語圏ならどこでも同じ頻度で耳にする表現ではありません。人を悪く言うときの語彙は、地域によってかなり形が違います。

この言い回しは、イギリスやアイルランド、オーストラリアなどで日常的に使われる人物評として知られ、辞書によっては英国用法の注記が添えられています。イギリスの犯罪ドラマや新聞記事では、悪質な人物を短く指し示す定型として繰り返し登場します。

一方アメリカ英語では、同じ場面で別の語が選ばれる傾向があります。He’s bad news.、He’s a real jerk.、He’s trouble. といった言い方のほうが日常的で、a nasty piece of work は少し改まった響きを帯びます。アメリカの作品でこの表現が出てくるとき、話し手が教養のある人物や年長者であることが多いのは、この温度差と関わっています。

劇中では、捜査班の報告という公的な場面でこの語が使われています。感情的な悪口としてではなく、記録として読み上げられる人物評として置かれているわけです。英国由来の少し硬い響きが、その場面によく合っています。

悪口ひとつにも、話し手の育った場所が透けて見えるものです。

まとめ|警告として置かれる一言

a nasty piece of work は、人を「仕上がったもの」として眺め、その出来のひどさを言い当てる表現です。扱いにくいという程度ではなく、他人を平気で傷つける危うさを指すため、警告としての重みを持ちます。

自分から口にする機会は多くないほうがいいものの、聞き取れるかどうかは別の話です。海外ドラマや小説では、危険な人物が登場する場面でこの一言が置かれることがよくあります。意味を知っていれば、その人物がこれからどう扱われようとしているのかを、早い段階で読み取れます。

人の性格を、作品の出来として語る。英語のこうした発想を知ると、悪口ひとつの中にも文化の形が見えてくるのですね。

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a nasty piece of work

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