海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『メンタリスト』シーズン4第17話には、捜査の状況を報告し合う場面と、事件の扱いをめぐる別の場面があり、「手元に何もない」「まだ終わっていない」という言い方が出てきます。
くだけた一言の zip と、何が足りないかを具体的に言う zero solid evidence はどう違うのか。この二つを軸に、二つの場面の台詞を取り上げ、言い分けのコツを順に見ていきます。
「So we’ve got zip.」手元に何もないと言い切る一言
状況を報告し合う流れの中で、まとめにあたる一言が出てきます。続く二つの発言も、あわせて見てみます。
— So we’ve got zip.
(つまり、手元にあるのはゼロです。)
— If we can’t make a connection to Philo, maybe we should look elsewhere?
(フィロとのつながりが示せないなら、ほかを当たったほうがいいのでは?)
— No. N–Philo is all we have. If we don’t bust him, he busts us.
(いや。フィ……フィロしかない。こっちがやり込めなければ、向こうにやり込められる。)
The Mentalist Season4 Episode17 (Cheap Burgundy)
zip は、くだけた会話で「ゼロ、何もない」の意味に使われる語です。we’ve got ~ は we have got ~ の短縮で、「手元に〜がある」という言い方になります。つまり we’ve got zip は、手元にあるのはゼロだ、という報告です。文頭の So が、前に出た内容を受けて結論に進む合図になっています。
次の If we can’t make a connection to ~ は、「〜とのつながりを見つけられないなら」という条件です。maybe we should ~? と疑問の形にすると、断定を避けた控えめな提案になります。look elsewhere は「ほかを探す」という意味です。
続く発言は No. で始まり、all we have で範囲を絞ります。all we have は「それしかない」という言い方で、zip が「数えたらゼロだった」と言うのに対し、「残っているのはそれだけだ」と見るものを絞っています。後半の If we don’t bust him, he busts us. は、同じ動詞の bust を、主語と目的語を入れ替えて対にした形です。bust は「摘発する」のほか、くだけた場面で「やり込める」に近い意味でも使われる語です。
「With zero solid evidence」何が足りないのかを具体的に言う
状況を報告し合う場面は、調べる範囲を挙げる発言へと続きます。
— Let’s dig deep into Gary Philo, see if we can get any leverage–
(ゲイリー・フィロを徹底的に調べて、何か有利な材料が得られないか探そう。)
— Medical records, bank accounts, legal filings…
(医療記録、銀行口座、法的書類……)
— With zero solid evidence, we’re never gonna get warrants for all that.
(確かな証拠がまったくない状態では、それだけの令状はまず取れません。)
— See if you can call in any favors. Improvise.
(貸しを返してもらえそうな相手がいないか当たってみて。臨機応変に。)
The Mentalist Season4 Episode17 (Cheap Burgundy)
dig deep into ~ は「〜を掘り下げて調べる」という言い方です。see if we can ~ は「〜できるかどうか確かめる」で、leverage は交渉などで使える有利な材料を指す語です。発言は途中で切れ、次の発言が Medical records, bank accounts, legal filings… と名詞を並べて、調べる範囲を示しています。
With zero solid evidence, の with は、「〜がない状態では」と状況を示す使い方です。zero は形容詞のように solid evidence を修飾し、solid は「確かな、しっかりした」の意味です。その結果として we’re never gonna get warrants と、令状が取れない見通しにつながります。all that は、直前に並べた記録類を指しています。
ここで zip と並べると、違いが見えてきます。zip は「何もない」を一語で言い切るくだけた要約です。zero solid evidence は、足りないものを「確かな証拠」と名指しし、令状が取れないという結果まで続けて説明しています。この二つの場面の範囲では、前者が要約、後者が説明という使い分けに見えます。
最後の call in any favors は、貸しのある相手に頼みを聞いてもらう、という意味合いの言い回しです。Improvise. は命令形の一語で、工夫するよう求めています。
「The case isn’t closed.」終わりを告げる言い方と、待ったをかける言い方
場面が移った別のやり取りにも、終わりを告げる言い方と、それを止める言い方が並んで出てきます。
— Hmm. Okay. Case closed, then. Lovely working with you.
(うーん、わかりました。では、これで一件落着ですね。ご一緒できてよかったです。)
— Wait a minute. The case isn’t closed. We have to wait for the blood and D.N.A.
(ちょっと待ってください。事件はまだ終わっていません。血液とDNAの結果を待たなければ。)
The Mentalist Season4 Episode17 (Cheap Burgundy)
Case closed は、動詞を省いた名詞句で、「一件落着」と手短に締めくくる言い方です。後ろの , then は「それなら」と、前の話を受けて結論に進む語です。Lovely working with you. は It was lovely working with you. の頭が省かれた形で、切り上げの挨拶として使われることが多い言い回しです。
続く発言では、Wait a minute. で流れを止めてから、The case isn’t closed. と続けています。closed は前の発言と同じ語で、isn’t を付けて、まだその状態にないと打ち返す形です。We have to wait for ~ は「〜を待たなければならない」で、the blood and D.N.A. は、ここでは検査の結果を指すと読み取れます。
どちらの場面にも共通するのは、いまの段階を言葉で示している点です。we’ve got zip は手元の状況を、the case isn’t closed は事件の進み具合を伝えています。
まとめ|「何もない」と「まだ終わっていない」の言い方
「何もない」は、要約の zip と、足りないものを名指しする zero solid evidence で言い分けられました。絞り込みには all we have、区切りの一言には Case closed, then.、待ったには The case isn’t closed. が使われています。
状況をどの細かさで言うかによって、語の選び方が変わって見えてきます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事にも、場面ごとの英語がまとまっています。


コメント