「get around to」の意味と使い方|『メンタリスト』S04E07で学ぶ英会話

「get around to」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

やらなければと思いながら何か月も手をつけられずにいる用事が、家の中にひとつやふたつある。そんな場面が、誰にでもあるはずです。

そういうときにぴったりの「get around to」を、『メンタリスト』シーズン4第7話の中盤、被害者の父親がジェーンを娘の部屋へ案内するシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「get around to」の意味とニュアンス

get around to
意味:(先延ばしにしていたことに)ようやく手をつける

後ろには名詞か動名詞が続きます。get around to it、get around to cleaning のように使い、「やっと取りかかる」という到達の瞬間を表します。

この表現の特徴は、やる気の有無を問題にしていないところです。前提にあるのは、やるつもりはずっとあったということ。ただ他の用事に押されて順番が回ってこなかった。around という語が「ぐるりと回って」という動きを担っているので、待ち行列の後ろに置かれていたものに、ようやく自分の番が来た、という時間の感覚が生まれます。

そのため、遅れた理由を自分の怠慢としてではなく、状況の側に置いたまま話せます。返信が遅れたときの詫び、放置していた家事の話、積んだままの本の話。どれも責める調子にならずに切り出せるのは、この構造のおかげです。never got around to と否定形にすると、「結局やらないままだった」という結末を、あきらめまじりに伝えられます。

【ここがポイント!】

  • 順番待ちの列に並んでいたものに、やっと番が回ってきた感覚が核
  • 「やる気がなかった」ではなく「手が回らなかった」と伝えられる言い方
  • finally や never と組み合わせると、待った長さや結末まで一息で出せるのがコツ

『メンタリスト』S04E07のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

連続殺人犯の最初の被害者とされる少女の実家を、ジェーンが訪ねています。事件から2年近くが経っても、両親は捜査の進展を追い続けていました。動機は最初の被害者に宿るという見立てから、ジェーンは娘の部屋を見せてほしいと申し出ます。母親が夫に案内を頼み、階段を上がった先で父親が口にした一言に、このフレーズが置かれています。

Jane: You think I could take a look at Molly’s bedroom?
(モリーさんの部屋を見せていただけますか)

Molly’s mother: Of course. Tom, will you show him upstairs?
(ええ。トム、上へ案内してあげて)

Tom: Sorry about the mess. We really should get around to cleaning it up. Truth is, neither of us has the heart for it.
(散らかっていてすまない。そろそろ片づけないととは思ってるんだが。正直なところ、どちらもその気になれなくてね)

The Mentalist Season4 Episode7 (点滅するレッドランプ)

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シーン解説と心理考察

「そろそろ片づけないと」という言い方は、来客への社交辞令の形をとっています。散らかった部屋を詫び、いずれ手をつけるつもりだと添える。ここまでは、どの家庭でも交わされるやり取りです。

ところが次の一文で、その体裁が崩れます。どちらもその気になれない、と父親が言い足すことで、順番が回ってこないのではなく、順番を回していないのだという事情が表に出る。片づけの話が、そのまま家族の時間の止まり方を示すものに変わる、という空気があります。

部屋は2年前のまま残されています。ジェーンはそれを見て回りながら、少女がどんな人物だったかを組み立てていきます。踏み込んだ質問をせず、父親のほうから語り出すのを待つ姿勢をとっているのが、この場面の見どころです。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

用事が一列に並んでいる様子を思い描いてみてください。買い物、書類、返信、そして押し入れの片づけ。列の後ろに回されたものには、なかなか自分の番が来ません。around はその「ぐるりと回る」動きを担う語です。get around to は、回ってこなかった順番がようやく届いた瞬間を切り取っています。

だからこの表現は、遅れの理由を怠けたことではなく、列の長さのほうに置きます。

劇中の父親は、2年間そのままの部屋を前に「そろそろ片づけないと」と口にしました。順番が回ってこないという言い方の内側に、順番を回したくない気持ちが畳まれている。その落差ごと覚えておくと、この語が持つ言い分の温度まで一緒に残ります。

例文で覚える「get around to」

詫びにも言い訳にも、そして振り返りにも使える表現です。3つの場面で見ていきましょう。

I finally got around to replying to your email. Sorry for the delay.
(ようやくメールに返信できました。遅くなってすみません)
返信が数日空いてしまったときの一文です。finally と組み合わせると、待たせた自覚まで含めて伝わります。

I never got around to watching that series everyone was talking about.
(みんなが話していたあのシリーズ、結局観ないままです)
話題についていけないと打ち明ける場面です。never を入れると、やる気はあったのに結局やらなかった、という結末が出ます。

A: Did you ever fix that squeaky door?
B: No, I still haven’t got around to it.
(A:あのきしむドア、直した?)
(B:いや、まだ手が回ってなくて)
家族や同居人とのやり取りです。まだ順番が来ていないという言い方にすることで、責められる前に事情を差し出す形になります。

あわせて覚えたい関連表現

find the time to
(〜する時間を作る)
どちらも遅れを説明できますが、こちらは時間そのものが足りないという話になります。get around to が問題にしているのは時間の量ではなく順番です。

put off
(先延ばしにする)
get around to と対になる表現で、先延ばしにする行為そのものを指します。

get to something
(〜に取りかかる)
around が抜けると「回り道の末に」という含みが消え、単に順番が来たという事務的な響きになります。詫びの前置きとして使うなら around がある形が向いています。

Note|「そのうちやる」と get around to が見ているもの

先延ばしを語る言葉は、日本語にも英語にもあります。ただ、二つの言語が見ている場所は同じではありません。

日本語の「そのうちやる」「いずれ片づける」は、時期をぼかす言い方です。いつになるかを言わないことで、約束の重さを軽くしています。焦点は時間軸のどこかにある一点で、それが手前か奥かをはっきりさせない。一方 get around to がぼかしているのは、時期ではなく順番です。用事が列をなしていて、その列のどこに置かれているかを言わない。だから「まだ順番が来ていない」と言えば、いつになるかを明かさずに、しかも列があること自体は認めたことになります。似た機能の英語表現を並べると、この違いはさらにはっきりします。put off は自分の意志で列の後ろへ動かす行為、find the time to は列に入れる時間そのものが足りない状態、そして get around to は列の順番が届いた瞬間です。三つとも「まだやっていない」を語れますが、責任の置き場所が少しずつ違います。

劇中の父親が「そろそろ片づけないと」と言ったとき、彼は順番の話をしていました。けれど本当は、その用事を列に並べてすらいなかったのかもしれません。そう考えると、直後の「その気になれない」という一言の重さが変わって聞こえます。

順番の話にすると、人はいくらでも待てるようになります。

まとめ|止まったままの部屋が語っていたこと

get around to は、やる気の有無ではなく順番の話として先延ばしを語る表現です。責任を自分の性格に置かず、状況の側に預けられるところに、この言い方の使いやすさがあります。

返信が遅れたとき、家の用事が滞っているとき、この一言があれば言い訳が言い訳らしくならずに済みます。finally や never を添えるだけで、待った長さや結末まで一息で伝えられます。

そろそろ片づけないと、と言いながら2年が過ぎた部屋。順番の言葉の裏側に、動かせない気持ちが静かに置かれていた場面でした。

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