「have one’s work cut out for one」の意味と使い方|『メンタリスト』S01E07で学ぶ英会話

「have one's work cut out for one」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

引き継いだ仕事の資料を開いた瞬間に、これは相当な量になりそうだと分かってしまう。そんな場面が、職場には時々あります。

その感覚をそのまま言い表すのが「have one’s work cut out for one」で、大変な仕事を抱えている、という意味です。『メンタリスト』シーズン1第7話の序盤、CBIでの事情聴取で、クリスティナがジェーンの内面を言い当てたうえでリズボンにかける一言として登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「have one’s work cut out for one」の意味とニュアンス

have one’s work cut out for one
意味:大変な仕事を抱えている、骨が折れそうだ

やるべきことがすでに目の前に用意されていて、しかもその量や難しさが相当である。その状態を表す表現です。単に忙しいという意味ではなく、これから待ち受ける困難の大きさに焦点があります。

one’s と for one の部分は、主語に合わせて形を変えます。You have your work cut out for you. が最もよく耳にする形で、He has his work cut out for him.、We have our work cut out for us. のように主語と揃えて使います。会話では You’ve got your work cut out for you. と have got を使う形も一般的です。

使われるのは、多くの場合は自分ではなく相手についてです。難しい任務を任された人、手のかかる相手を担当することになった人に向けて、大変だねと声をかける。同情と励ましが半分ずつ混ざったような、少し距離のある温かさを持つ言い方になります。

書き言葉から日常会話まで幅広く使え、ビジネスの場でも角が立ちません。

【ここがポイント!】

  • 核は「裁断済みの布が作業台に積み上がっている」という光景
  • 忙しさではなく、これから待つ作業の量そのものを指す一言
  • 相手をねぎらう場面で使うと、同情と励ましがちょうど半分ずつ伝わる

『メンタリスト』S01E07のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

CBIに場所を移しての事情聴取です。霊能者を名乗るクリスティナに対して、ジェーンは料金分の腕前を見せてみろと挑発します。ところが彼女はためらいなく応じ、彼の外面と内面のずれを次々に言い当てていきました。聴取される側が主導権を握り返したところで、彼女の視線が同席していた上司のリズボンへ移ります。

Kristina: I think it’s important to love one’s self. How do you feel about yourself?
(自分を愛することは大切だと思います。ご自分のことは、どう感じていますか)

Jane: Oh, you tell me. And forget about the $500 an hour. I’m on civil service pay.
(それはそちらが教えてくれよ。時給500ドルは勘弁してくれ。こっちは公務員の給料でね)

Kristina: Okay, for free then. I think you act assured and arrogant, but inside you are troubled with deep guilt and self-loathing. A recent trauma in your past perhaps? But you’re more than a little unstable. You have your work cut out for you.
(では無料で。あなたは自信家で傲慢に振る舞っているけれど、内側は深い罪悪感と自己嫌悪に苦しんでいる。近い過去に心の傷でも? かなり不安定な方ね。あなたのほうこそ、骨の折れる相手を抱えているわ)

Van Pelt: You are good.
(本当にすごい)

The Mentalist Season1 Episode7(Seeing Red)

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シーン解説と心理考察

無料でいい、と言いながらクリスティナが差し出したのは、値札のつかない鋭さでした。自信家で傲慢な外面、その内側にある罪悪感と自己嫌悪、近い過去の傷。読み当てられていく側のジェーンが、めずらしく黙って聞いている構図がここにはあります。

注目したいのは、最後の一言の宛先です。ジェーンに向かって不安定だと言い切ったあと、彼女は視線をリズボンへ移して、骨の折れる相手を抱えているわね、と続けました。批判の矛先を本人からそらし、彼を預かる立場の人間への同情という形に着地させています。

正面から人をけなすより、その人を支えている誰かをねぎらうほうが、はるかに角が立ちません。それでいて、扱いにくさという評価はしっかり残ります。この迂回のうまさが、彼女の話法をやわらかく見せています。

そして、ヴァン・ペルトが思わず漏らした相づち。ジェーンの扱いにくさがチーム全員の共通認識であることが、この短い一言で裏づけられる場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

仕立て屋の作業台を思い浮かべてみましょう。型紙に沿って裁断された布が、袖、身頃、襟と、きれいに切り分けられて積み上がっています。まだ一針も縫っていません。けれど縫うべき布は、もうすべてそこに用意されています。

cut out は「切り抜かれた」状態、for you は「あなたのために」。逃げ場のないこの眺めが表現の核です。忙しいのではなく、これからやることが目に見える形で積まれている、という感覚です。

扱いにくい相棒を預かったリズボンの前にも、これから続く苦労がまとめて置かれている。クリスティナはそう言いました。裁断済みの布の山と結びつけておくと、骨が折れそうだという含みが体感として残ります。

例文で覚える「have one’s work cut out for one」

主語に合わせて one’s と for one の形が変わるので、そこも一緒に確認していきましょう。三つの例文で、人称と場面の幅を見ていきます。

You have your work cut out for you with this project.
(このプロジェクト、なかなか骨が折れそうだね)
同僚が難しい案件の担当になったと聞いた場面です。with を添えると、何が大変なのかを一息で示せます。軽い同情をこめた相づちとして自然に置ける形です。

The new coach has his work cut out for him.
(新監督は苦労することになりそうだ)
低迷しているチームの新監督就任を、ニュースで知った場面です。三人称にすると、外から状況を評する言い方になります。スポーツ記事の見出しでも見かける言い回しです。

A: If you want to finish by Friday, you’ve got your work cut out for you.
B: Don’t remind me.
(A:金曜までに終わらせたいなら、相当がんばることになるよ。)
(B:言わないでよ。)
締め切りの厳しさを指摘された会話です。have got の形にすると、口語らしいくだけた響きが出ます。相手の大変さを認めたうえで、突き放さずに笑いに変えるやり取りになっています。

あわせて覚えたい関連表現

have one’s hands full
(手いっぱいである)
今すでに余裕がない状態を指します。今回の表現がこれから待つ困難を見ているのに対し、こちらは現在進行中の状態を見ている点が違います。子育てや繁忙期の忙しさを説明する場面でよく登場します。

be up against it
(困難に直面している)
逆境に立たされている状況を表し、やや深刻な響きがあります。作業量というより、状況そのものの厳しさに焦点が置かれます。

a tall order
(難しい注文だ)
人ではなく依頼や条件のほうを主語に立てて、その無理さを評する言い方です。今回の表現が「その人が抱える大変さ」を言うのに対し、こちらは「頼まれた内容の難しさ」を言います。It’s a tall order, but we’ll try. のように、but でつないで前向きに続ける形が定番です。

Note|裁ち板の上に積まれた布

cut out という言い方には、もともと布を裁つという意味があります。この表現の背景には仕立ての現場の光景がある、と説明されることが少なくありません。

服を一着仕立てるとき、工程はまず裁断から始まります。型紙を布の上に置き、袖、身頃、襟、それぞれの形に切り分けていく。この段階が終わると、作業台の上には縫うべき布がすべて積み上がった状態になります。まだ一針も縫っていないのに、これから何時間かかるかは、その山の高さでだいたい分かってしまう。have one’s work cut out for one が「やるべきことがすでに用意され、しかも相当な量がある」という意味を持つのは、この光景から来ているという説明が広く見られます。

興味深いのは for one という部分です。誰かが自分のために裁っておいてくれた、という受け身の含みがあります。自分で選んで引き受けた仕事ではなく、気づいたら目の前に積まれていた仕事。この表現がしばしば同情の色を帯びるのは、そのあたりに理由がありそうです。

ただし、成立の時期や初出については辞書によって記述が分かれます。裁縫由来という説明は多くの資料に見られるものの、断定できるところまでは確認できていません。

劇中でクリスティナがこの言葉を向けたのは、ジェーンではなくリズボンでした。自分で選んだわけではない相手を、それでも預かって働いている人。for you という部分が、ここでは静かに効いています。

誰かのために裁たれた布の山を、黙って引き受けている人がいます。

まとめ|預かった側へのねぎらい

have one’s work cut out for one は、やるべきことがすでに目の前に用意され、しかもその量や難度が相当である状態を指す表現でした。忙しさではなく、これから待つ困難の大きさに焦点がある点が特徴です。

難しい案件を任された同僚、手のかかる相手を預かることになった友人。そうした人に声をかけるとき、この一言なら、大げさな同情にも突き放した励ましにもなりません。相手の状況を正しく見積もっている、という姿勢がそのまま伝わります。

ジェーンの不安定さを言い当てたクリスティナが、最後にその矛先をリズボンへのねぎらいに変えた一言。人を評するのではなく、その人を支える側に光を当てる表現と言えます。

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