海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
自分では直接会えない相手に、良い印象を届けておきたい。知り合いに「ひとつよろしく言っておいて」と頼んだ経験はありませんか。長い推薦文ではなく、たった一言で十分だったりします。
そんなときに使える「put a good word in for」を、『メンタリスト』シーズン1第12話の終盤、CBIの廊下でジェーンが帰り際のタムジンに声をかける場面から、一緒に見ていきましょう。
「put a good word in for」の意味とニュアンス
put a good word in for
意味:〜のために口添えする、〜のことを良いように言っておく
直訳すれば「〜のために、良い一言を差し入れる」。決定権を持つ相手に対して、第三者が横から一言を添えて評価を後押しする、という構図を表しています。
大切なのは、これが正式な手続きではないという点です。推薦状のように責任を伴うものではなく、あくまで非公式な一押し。だからこそ頼みやすく、頼まれた側も引き受けやすい言い方になります。頼む側でも引き受ける側でも、どちらの立場からでも使えます。
標準的な語順は put in a good word for someone です。劇中のように in を後ろへ送る形も口語では現れます。相手を明示したいときは with を足して、put in a good word for me with your manager のように「誰のために、誰へ」を一度に示せます。
【ここがポイント!】
- 核は「良い一言を、扉の隙間からそっと差し入れる」という絵
- 推薦状のような責任は伴わない、非公式な一押しを表す一言
- for(誰のために)と with(誰へ)を足して、届け先まで示せるのがコツ
『メンタリスト』S01E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
事情聴取を終えたタムジンが帰っていきます。ジェーンは廊下で彼女を見送りながら、ある人物に近づかないほうがいいと忠告を残しました。返ってきたのは「女神のお告げに従う」という答え。会話はそこで終わってもよかったはずですが、ジェーンは思い出したように彼女を呼び止めます。
Jane: Well, look after yourself, and if I were you, I’d stay very clear of Brad Elkins for a while.
(まあ、お気をつけて。僕なら、しばらくブラッド・エルキンスには近づかないでおくけどね)Tamzin: Hmm. I’ll do as the Goddess tells me.
(ふうん。私は女神のお告げに従うだけよ)Jane: Whatever. Oh, listen, next time you speak to her, could you, uh, put a good word in for me?
(ご自由に。ああ、そうだ。今度その方と話すとき、僕のこと、ひとつよろしく言っておいてもらえます?)Tamzin: I will.
(そうするわ)The Mentalist Season1 Episode12(Red Rum)
シーン解説と心理考察
超能力や霊的なものを一貫して否定してきた人物が、相手の信じる女神への口添えを頼む。噛み合わないはずの二つの態度が、この一言のなかで同居しています。
面白いのは、これが皮肉として突き刺さらない点です。「ご自由に」と受け流したあと、間を置いて呼び止め、少し口ごもりながら頼む。その運び方が、からかいの角を落としています。信じてはいないけれど、相手の世界観を正面から壊しにもいかない——そういう距離の取り方が表れています。
慇懃無礼と評されることの多いジェーンですが、ここでの軽口は攻撃ではなく愛想として響きます。事件の重さが増していく終盤に置かれた、ひと呼吸の場面と言えます。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
審査が始まる前の会議室。扉は閉まっていて、中には入れません。その隙間から、メモを一枚だけそっと差し入れる——そんな絵を思い浮かべてください。
put(置く)、in(中へ)、a good word(良い一言)、for me(私のために)。語の並びがそのまま動作になっています。差し入れるのは分厚い書類ではなく、たった一枚。だからこの表現は、正式な手続きではなく非公式な後押しを指します。
劇中のジェーンも、自分では会いにいけない相手への一言を、間に立てる人に託していました。届かない場所へ、一言だけ運んでもらう。この「扉の隙間」の絵を覚えておけば、頼む場面でも引き受ける場面でも言葉が出てきます。
例文で覚える「put a good word in for」
この表現は、頼む側と引き受ける側のどちらからでも使えます。三つの例文で、その両方を見ていきましょう。
Could you put in a good word for me with the hiring manager?
(採用担当の方に、私のことをひとつよろしく言っていただけませんか)
知人に紹介を依頼する場面です。for と with を両方使うことで、誰のために誰へ届けてほしいのかが一度に伝わります。
She put in a good word for me, and I got the interview.
(彼女が口添えしてくれて、面接まで進めた)
経緯を人に説明する場面です。過去形で結果とセットにすると、報告として収まりがよくなります。
A: Do you know anyone at that studio?
B: I do. I’ll put in a good word for you.
(A:あのスタジオに知り合いいる?)
(B:いるよ。ひとつ言っておいてあげる。)
友人への頼み事のやり取りです。引き受ける側が使うと、快諾のニュアンスが自然に出ます。
あわせて覚えたい関連表現
vouch for someone
(〜の身元や人柄を保証する)
「間違いない」と責任を持って保証する行為で、外れたときの責任も引き受ける重さがあります。put a good word in for は好意的に紹介するだけで、保証までは含みません。
go to bat for someone
(〜のために体を張って擁護する)
野球で代打に立つ動きが元とされる表現で、反対や批判があるなかで相手をかばう積極的な行動を指します。こちらは反対のない場面でも使える、軽い後押しです。
recommend someone
(〜を推薦する)
書面でも口頭でも、正式な推薦に使える中立的な動詞です。put a good word in for のほうは、あくまで非公式な一言という限定が入ります。
Note|口添えを頼むときの、温度の選び方
ジェーンの頼み方が軽やかに聞こえるのは、選んだ表現そのものに理由があります。同じ「口添えを頼む」でも、語を替えると相手にかかる負担が変わるからです。
いくつか並べてみます。Could you put in a good word for me? は、頼まれた側が「機会があればね」と流しても角が立ちません。頼んでいるのは一言だけで、結果の責任も求めていないからです。
これが Would you be willing to recommend me? になると、正式な推薦の依頼に変わります。名前を出して評価を保証する行為なので、引き受ける側には相応の覚悟が必要です。さらに Would you vouch for me? まで進むと、保証人になってほしいという依頼になり、断りにくさも一段上がります。
反対方向に振ると Can you hook me up? があります。極端にくだけた言い方で、親しい間柄でなければ不躾に響きます。put a good word in for は、この両端のちょうど中間に位置しています。
つまりこの表現が使いやすいのは、意味が便利だからというより、相手に逃げ道を残しているからです。断られても関係が壊れない。引き受けても重荷にならない。ビジネスの場でも友人同士でも通用するのは、その設計のおかげです。
劇中のジェーンも、相手が断りようのない形では頼んでいません。「機会があれば」の余白を残したまま、軽く一言を託していきました。
頼み方の温度は、言葉を選んだ時点で決まっています。
まとめ|ジェーンの軽口が残していったもの
put a good word in for は、決定権を持つ相手へ、第三者が横から良い一言を届けることを表す言葉でした。正式な推薦ではなく、扉の隙間に差し入れる一枚のメモ。その軽さが核にあります。
就職や紹介の相談、社内での後押し、友人への頼み事。相手に断る余地を残したまま依頼できるので、関係を保ったまま話を進められます。for と with を足せば、届け先まで一度に示せます。
信じていない相手の女神にまで、抜け目なく一言を託していったジェーン。事件の重さの合間に置かれた、軽やかなひと呼吸の場面でした。


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