「take the law into one’s own hands」の意味と使い方|『メンタリスト』S03E09で学ぶ英会話

「take the law into one's own hands」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

大切な人がひどい目に遭わされたと知ったとき、警察や裁判を待つより自分の手で決着をつけたい、という気持ちがこみ上げてきたことはありませんか。

そんな衝動を戒めるときに使われる「take the law into one’s own hands」を、『メンタリスト』シーズン3第9話の序盤、婚約者を亡くした青年の自宅でリズボンが言葉を選びながら語りかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「take the law into one’s own hands」の意味とニュアンス

take the law into one’s own hands
意味:法の手続きを飛ばして、自分で制裁を加える

直訳すると「法を自分自身の手の中に取り込む」となります。前提にあるのは、法を執行する権限は警察や裁判所といった公の機関にあり、個人の手元にはない、という感覚です。その権限を誰かが勝手に引き受けてしまう。それがこの表現の描く絵です。

日本語の「仕返しをする」と重なる場面もありますが、射程は少し違います。仕返しは当事者間のやり返しに焦点がありますが、この表現は「社会の仕組みを飛び越えた」という批判的な文脈で使われることが多い言い方です。そのため、否定形や忠告の形がよく見られます。誰かの行動を止めるとき、あるいは報道が私的制裁を論じるときに選ばれます。

主語は個人でも集団でも構いません。one’s の部分は主語に合わせて your / his / their などに変わります。手を意味する hands が複数形で固定されている点も、そのまま覚えてしまうのが早道です。

【ここがポイント!】

  • 核は「本来あちらにあるはずの法を、こちらの手に取り込む」という絵
  • 単なる仕返しではなく、公の手続きを飛び越えたという批判を含む一言
  • 否定形や忠告の形で登場することが多いので、その型ごと覚えるのがコツ

『メンタリスト』S03E09のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

現場で「犯人は生かしておかない」と口走った青年トッドの自宅を、リズボンとジェーンが訪ねます。落ち着きを取り戻したと告げるトッドに、リズボンは捜査官として釘を刺します。ところがその横から、ジェーンがまったく別の角度で口を挟みます。二人の立場の違いが、短いやり取りの中ではっきり形になります。

Lisbon: WE’RE VERY SORRY FOR YOUR LOSS. AND I’M GLAD YOU SEE IT THAT WAY. THERE’S NO UPSIDE TO TAKING THE LAW INTO YOUR OWN HANDS. REVENGE TRULY DOESN’T WORK.
(お悔やみ申し上げます。そう考えてくださって助かります。法を自分の手で執行しても、いいことは何もありません。復讐は本当に割に合わないんです)

Jane: WELL, THAT’S JUST A SWEEPING STATEMENT, ISN’T IT? I’M SURE WE CAN ALL THINK OF EXAMPLES WHERE REVENGE HAS WORKED SPLENDIDLY.
(ずいぶん大ざっぱな言い切りだね。復讐が見事にうまくいった例なら、誰でもいくつか思いつくはずだ)

Lisbon: THANKS FOR YOUR INPUT.
(ご意見どうも)

Jane: JUST SAYIN’.
(言ってみただけ)

The Mentalist Season3 Episode9(Red Moon)

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シーン解説と心理考察

リズボンの言葉は、遺族に向けた捜査官としての定型の忠告として発せられています。ただし、この場にはもう一人、私的な復讐を長年の目的に据えている人物が立っています。ジェーンです。リズボンが「復讐は割に合わない」と言い切った瞬間、その言葉が誰に向けられているのかが二重になるところに、このシーンの仕掛けがあります。

ジェーンの切り返しは、遺族を励ますためのものでも、場を和ませるためのものでもありません。復讐がうまくいった例もある、と言い添えることで、自分の立場をその場で表明しています。THANKS FOR YOUR INPUT という短い返しに、リズボンの苛立ちと、これが初めてのやり取りではないことがにじみます。

この直後、二人は車内でこの話題を正面から続けます。序盤に置かれた短い応酬が、エピソード全体を貫く軸になっていることが伝わってくる場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

法律という分厚い一冊の本が、本来は裁判所の机の上に置かれている、という絵から入ってみてください。それを誰かが黙って持ち出し、自分の両手で抱え込んでしまう。抱え込んだ人は、自分でページをめくり、自分で判決を下します。この「机の上から自分の手元へ移す」動きが、そのまま into your own hands です。

劇中では、両手で抱え込もうとしている青年を、リズボンが言葉でそっと押しとどめます。抱えさせない、という手つきで覚えておくと、この表現が忠告や否定の形で登場しやすい理由まで一緒に残ります。

例文で覚える「take the law into one’s own hands」

忠告として使われることが多い表現です。止める側、報じる側、振り返る側という三つの立場から見てみましょう。

Don’t take the law into your own hands. Call the police and let them handle it.
(自分で片をつけようとしないで。警察に連絡して任せて)
友人が怒りにまかせて動き出しそうなときに、はっきり止める言い方です。この否定命令形が最もよく使われる形なので、まずこの一文ごと覚えてしまうと応用が利きます。

Frustrated by the slow response, some residents have started taking the law into their own hands.
(対応の遅さにしびれを切らし、自ら制裁に乗り出す住民も出てきている)
ニュース記事や報告書で見かける進行形の使い方です。主語が個人ではなく集団になると、社会問題として論じるトーンに変わります。

A: He wrecked my car and just drove off. I know where he lives.
B: Don’t even think about it. Taking the law into your own hands never ends well.
(A:あいつ、俺の車をぶつけて走り去ったんだ。住んでるところは知ってる)
(B:考えるのもやめときな。自分で制裁を加えて、いい結果になったためしがない)
怒っている相手を押しとどめる会話です。never ends well を添えると、劇中のリズボンの言い方にかなり近い響きになります。

あわせて覚えたい関連表現

vigilante justice
(自警団による私的制裁)
制裁行為そのものを指す名詞句です。今回のフレーズが行為を動詞で描くのに対し、こちらは現象として名指しします。劇中でもトッドが vigilante nonsense と言い、リズボンが動詞句で応じており、二つの言い方が並んで登場します。

get even with someone
(〜に仕返しをする)
私怨の清算に焦点があり、法や制度は視野に入りません。今回のフレーズが「公の手続きを飛ばした」点を問題にするのに対し、こちらは相手との貸し借りの話に収まります。

settle the score
(借りを返す、決着をつける)
スコアを均すという比喩で、こちらも当事者間の話です。制裁の是非を論じる響きはなく、日常の軽い場面から使えます。

Note|「法」を自分の手に移すという比喩

take the law into one’s own hands の辞書義の核は、法を破った人を罰す権限がないのに、自分で罰そうとすることです。単に「自分で問題を解決する」という中立的な自主性ではありません。

the law はここで、個人の気持ちではなく、公的な権限と手続きを表します。それを one’s own hands に移すという形によって、誰が罰す権利を持つのかという境界が見える言い回しです。

vigilante justice は、このような私的制裁を現象として名指すときに使われる関連表現です。ただし、米国の自警団の歴史が take the law into one’s own hands の起源だという因果は確認できません。語の記録は米国開拓期より前にもあるため、起源と関連用法は分けて扱います。

劇中でリズボンは、青年の怒りそのものを否定するのではなく、制裁を公的な手続きに任せるよう釘を刺しています。表現の焦点が感情の強さではなく、行使する権限の所在にあることが分かる場面です。

誰の手に法を置くのか。その境界を一言で示すのが、この表現です。

まとめ|越えてはいけない線を示す一言

take the law into one’s own hands は、怒りの大きさを語る表現ではありません。その怒りを、誰の手で処理するのかを問う表現です。法を机の上に置いたままにするのか、自分の手元に引き寄せるのか。焦点はそこにあります。

この一言を知っていると、英語のニュースで私的制裁が論じられる場面や、ドラマで捜査官が遺族に語りかける場面の温度が、はっきり読み取れるようになります。止める側の言葉としても、そのまま使えます。

怒りを持て余している誰かに、どう声をかけるか。その引き出しのひとつとして加えてみてください。

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