「wouldn’t put anything past someone」の意味と使い方|『メンタリスト』S04E16で学ぶ英会話

「wouldn't put anything past someone」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

証拠は何もない。それでも、あの人だけはやっていてもおかしくない、と全員が思ってしまう。そんな空気が流れる瞬間が、ドラマには時々あります。

その空気を一言で言い表す「wouldn’t put anything past someone」を、犯罪捜査ドラマ『メンタリスト』シーズン4第16話の中盤、三十年前の死をめぐる荒唐無稽な証言をチームが検討するCBIの執務室から、一緒に見ていきましょう。

目次

「wouldn’t put anything past someone」の意味とニュアンス

wouldn’t put anything past someone
意味:あの人なら何をしてもおかしくない

直訳すると、その人を越えたところに何一つ置かないだろう、となります。鍵になるのは past で、ここでは「〜より向こう側」という位置を表しています。

人にはそれぞれ、さすがにここから先はやらないだろう、という線があります。その線の向こう側に、ある行為を置いてみる。それが put something past someone という言い方です。これを否定して、何一つ向こう側に置けない、と言えば、この人には越えない線がない、という意味になります。

つまり、その人物にとって想定外の行為が存在しない、という評価です。常に否定文で使われ、肯定形で put it past someone とだけ言うことはまずありません。

証拠がないまま相手を疑う場面でよく使われますが、深刻な話に限りません。親しい相手が突拍子もないことをしそうだと軽くからかうときにも、同じ形が登場します。断定していないぶん、告発にはならずに済むのが便利なところです。

【ここがポイント!】

  • past は「〜より向こう側」。人ごとに引かれた見えない線をまたぐイメージが核
  • 「線の外に置ける行為が一つもない」と言うことで、底が見えない相手を表す一言
  • 常に否定文で使い、anything を it に替えれば特定の行為を名指しできるのがコツ

『メンタリスト』S04E16のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

元信者への聞き込みから、驚くような話が持ち帰られます。三十年前に事故死した宗教団体の創設者は事故で死んだのではなく、報告書を書いた保安官も、その件を調べていた今回の被害者も、同じ人物に消されたのではないか。あまりに突飛な筋書きに、チームの反応が分かれます。

Cho: Randal Parker says no, Stiles killed Farragut and the cop that made the accident report — and Meadows, who was investigating the whole thing.
(ランドール・パーカーは違うと言っています。スタイルズがファラガットを殺し、事故報告書を書いた警官も殺した。そして、その全部を調べていたメドウズもだと)

Van Pelt: That’s crazy.
(そんなの、おかしいですよ)

Lisbon: I don’t know. I wouldn’t put anything past Stiles.
(どうかしら。スタイルズなら、何をしてもおかしくないわ)

Rigsby: Well, one thing’s for certain. We can’t prove it.
(まあ、確かなことが一つ。証明はできません)

The Mentalist Season4 Episode16 (His Thoughts Were Red Thoughts)

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シーン解説と心理考察

リズボンのこの返しは、パーカーの説を支持しているわけではありません。証拠がないという判断はそのまま保留したうえで、この人物についてだけは可能性の枠を狭められない、とだけ言っています。捜査を続ける理由としてはそれで足り、しかも誰かを犯人だと決めつけてもいない。そのバランスの取り方が、この表現の働きそのものです。

ルールを重んじるリズボンが、証拠のない段階でここまで踏み込むのは珍しいと言えます。それだけスタイルズという人物が、彼女の中で測れない存在になっているという空気があります。

直後にリグスビーが、証明はできません、と現実に引き戻すのも効いています。疑いは共有された、けれど手段はない。捜査ものが繰り返し描いてきた行き詰まりが、三つの短い台詞だけで組み上がっている場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

人の足元に、一本の線が引かれている絵を思い浮かべてみてください。線のこちら側はその人がやりそうなこと、向こう側はやらないはずのこと。ある行為をつまみ上げて、線の向こうへ置いてみる。これが put something past someone です。

そして、何一つ向こうへ置けない、と言えば、その人には線そのものがない、という意味になります。リズボンが証拠もないまま名前を口にしたあの一瞬を思い出せば、断定ではなく、この人だけは例外という保留のニュアンスまで戻ってきます。線が引けない相手、という絵で覚えるのがいちばんの近道です。

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例文で覚える「wouldn’t put anything past someone」

人物への評価にも、軽い冗談にも使えます。三つの場面で確かめてみましょう。

Given his record, I wouldn’t put anything past him.
(これまでの経歴を考えれば、彼が何をしても驚かない)
過去の実績を根拠に人物を評価する場面。劇中のリズボンの使い方にいちばん近い形です。

I wouldn’t put it past him to take credit for someone else’s work.
(彼なら、人の仕事を自分の手柄にするくらいやりかねない)
職場の人物評を同僚と交わす場面。anything を it に替え、to 不定詞で具体的な行為を名指しした形です。

A: She’d never keep a secret from you, right?
B: Of course not. Though I wouldn’t put it past her to plan a surprise party.
(A:彼女が君に隠しごとなんてしないよね)
(B:もちろん。まあ、サプライズパーティーを企てるくらいはやりかねないけど)
親しい相手を軽くからかう会話。悪意のない文脈でも自然に成立することがわかります。

あわせて覚えたい関連表現

I wouldn’t be surprised if…
(〜でも驚かない)
意味はよく似ていますが、こちらは出来事全般に使えます。人物そのものへの評価という含みが薄く、書き言葉や改まった場面でも収まりがいい言い方です。

That’s just like him.
(いかにも彼らしい)
すでに起きたことへの感想です。今回の表現がまだ起きていない可能性を測るのに対し、こちらは起きた後から振り返ります。時間の向きが逆になります。

He’s capable of anything.
(彼は何でもやりかねない)
同じ趣旨をずっと直接的に言う形です。婉曲さがないぶん冗談には使いにくく、警告や糾弾の場面に寄ります。

Note|「線の向こう側」で人を測る英語の発想

日本語で「あの人ならやりかねない」と言うとき、語られているのは人の性質です。あの人はそういう人だ、という判断がまずあって、そこから行為の可能性が出てくる。中心にあるのは、人の中身のほうです。

英語のこの表現は、まったく別の測り方をします。past という位置を表す語を持ち出し、人ごとに引かれた見えない線を想定する。そして、ある行為をその線の外側に置けるかどうかで判断します。中心にあるのは人の中身ではなく、人と行為の位置関係です。

同じ発想は英語のあちこちに残っています。beyond belief は信じられる範囲の外、over the line は越えてはいけない線の向こう、out of character はその人らしさの枠外。いずれも、人や物事に境界を設定して、対象がその内側にあるか外側にあるかで評価しています。抽象的な判断を、空間の言葉で処理しているわけです。

この見方に慣れると、wouldn’t put anything past someone が単なる「やりかねない」の言い換えではないことが見えてきます。この人には線がない、境界を引けない、と言っている。だから、悪い人だという非難よりも、底が見えないという不気味さのほうが強く出ます。

リズボンが証拠もないまま口にしたのは、まさにその不気味さでした。

まとめ|「あの人ならやりかねない」を英語で

「wouldn’t put anything past someone」は、証拠を示さないまま相手への警戒を口にできる表現です。断定していないので告発にはならず、それでいて、この人だけは別だという評価はしっかり伝わります。

使えるようになると、人物評の解像度が上がります。悪い人だと決めつけるのでもなく、疑いを飲み込むのでもなく、可能性の枠を開いたままにしておく。会話の中でこの中間地点を確保できるのは、思いのほか便利です。

線の向こう側に、何一つ置けない相手。そういう人物を静かに名指しする表現と言えます。

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