海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン11第11話では、ジェイが幼い息子のジョーに、商売の心得を順番に教えていきます。その教えは、のちにジョー自身が大人を相手にする値段交渉の場面で生かされることになります。
値段交渉の英語は、何を言うかと同じくらい、どんな構えで臨むかが表れます。必死さを見せない心得から、席を立つそぶりで相手を引き止めさせる流れまで、3つの場面で追っていきます。
「never look desperate」交渉で必死さを見せない
ジョーは犬をほしがり、家の手伝いを50時間やるからと頼み込みます。その頼み方を見たジェイは、ここで商売の教えを始めます。
Jay: Whoa.
(おいおい。)
Jay: Sales lesson number one never look desperate in a negotiation.
(商売の教えその1。交渉では、決して必死に見せるな。)
Jay: No emotion.
(感情は出すな。)
Modern Family Season11 Episode11 (Legacy)
desperate は「必死な」「切羽詰まった」で、look desperate は「必死に見える」です。交渉の場で「どうしてもほしい」という気持ちが相手に伝わると、こちらから条件を上乗せしてしまったり、相手に足元を見られたりしやすくなります。ジェイは、犬をほしがるジョーの頼み方を見て、その場で心得を説き始めます。
never ~ で始まる命令文は「決して〜するな」という強い言い方で、教えや心得を伝えるときによく使われます。No emotion. は動詞のない短い形ですが、「感情を見せるな」という指示として働いています。
Sales lesson number one は「商売の教えその1」という見出しのような言い方で、このあとに続く教えの始まりを示す合図です。仕事の場面で後輩に心得を伝えるときにも、Lesson number one: ~ と切り出す形が使えます。
「always be willing to walk away」いつでも席を立つ構え
ジェイの教えはさらに続き、最後に次の一言にたどり着きます。
Jay: Final lesson always be willing to walk away.
(最後の教えだ。いつでも手を引く覚悟でいろ。)
Modern Family Season11 Episode11 (Legacy)
walk away は「歩き去る」が元の意味で、交渉の場では「条件が合わなければ話を打ち切って席を立つ」ことを指します。be willing to ~ は「〜する気がある」「〜するのをいとわない」で、always と合わせて「いつでも話を打ち切れる構えでいろ」という心得になります。
1つ目の教えの never look desperate と、この always be willing to walk away は、表と裏の関係にあります。必死さを見せないためには、この取引がだめでもかまわないという余裕が必要で、その余裕が「席を立つ」という形で表に出ます。
| 表現 | 意味 | 働き |
|---|---|---|
| never look desperate | 必死に見せない | 弱みを見せない心得 |
| No emotion. | 感情を出さない | 短く念を押す |
| be willing to walk away | 手を引く覚悟がある | 交渉の主導権を保つ |
ところが、相手との話は思うように進みません。ジェイも I can’t give these things away.(ただでも引き取ってもらえない)と弱気な一言をもらします。give ~ away は「ただで譲る」で、「ただでも無理」と言うことで、売り込みの難しさを強調する言い方です。
「Don’t walk away」引き止めと逆提案
そこで口を開いたのがジョーです。父の代わりに、相手に取引を持ちかけます。
Joe: Hey, mister, my dad was about to give you the deal of a lifetime 100 dog beds for a hundred bucks, so you can give one away with each new dog.
(ねえ、おじさん、パパは一生に一度のお買い得を持ちかけるところだったんだ。犬用ベッド100個で100ドル。新しい犬1匹ごとに1個ずつ付けてあげられるよ。)
Lon: A hundred bucks, huh?
(100ドルねえ。)
Joe: I can see you’re not serious.
(本気じゃないみたいだね。)
Joe: Slow down that tail, buddy.
(しっぽ、落ち着けって。)
Joe: This is leaving with me.
(これは持って帰るよ。)
Modern Family Season11 Episode11 (Legacy)
the deal of a lifetime は「一生に一度の掘り出し物」という売り文句で、for a hundred bucks の bucks は dollars のくだけた言い方です。相手が「100ドルねえ」と乗り気でない反応を見せると、ジョーは I can see you’re not serious.(本気じゃないのは分かった)と言って、話を切り上げるそぶりを見せます。
I can see ~ は「見れば分かる」という言い方で、相手の態度から判断したことを示しています。値段を下げて食い下がるのではなく、自分から引く側に回るところが、ジェイの最後の教えと重なります。
すると相手のほうから、こう声がかかります。
Lon: Wait, wait.
(待った、待った。)
Lon: Don’t walk away.
(行かないでくれ。)
Lon: Would you do 50 bucks?
(50ドルでどうだい?)
Modern Family Season11 Episode11 (Legacy)
Wait, wait. Don’t walk away. は、立ち去ろうとする相手を引き止める決まった形です。相手はそのうえで、Would you do 50 bucks? と金額を示してきます。Would you do + 金額? は「その値段でどう?」と条件を打診する言い方で、ここでは買う側が値段を下げた逆提案になっています。売る側なら I could do 80.(80ドルならいいよ)のように、同じ do で金額を示して返す形もあります。ジェイの最後の教えどおり、席を立つ構えが、相手を交渉のテーブルに呼び戻す流れです。
まとめ|引く構えが交渉を動かす
never look desperate で必死さを見せない心得を、always be willing to walk away で手を引く覚悟を、Don’t walk away と Would you do 50 bucks? で引き止めと逆提案を見てきました。交渉の構えを英語で表す手がかりになります。
親子の商売の場面を観ながら、心得がやりとりに変わる瞬間を追うと、この回がより身近になります。
同じ回のほかのコラムでは、思い出話の記憶の食い違いを確かめる英語や、横からさらわれたときの英語も扱っています。


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