海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第7話では、10Kのレースに出たクレアが、途中で本来のコースを外れたまま「勝った」と喜びます。5キロ地点で見ていた娘のアレックスに指摘されても、クレアはすんなりとは認めません。
ずるを指摘された人は、どんな言葉でぼかし、かわし、言い張るのでしょうか。クレアの台詞を順に追いながら、その三つの段階で使われる英語を拾っていきます。
「コースを外れた」をぼかして語る言い方
レースを振り返るクレアは、自分の走った道筋をこう説明します。
Claire: From that point on, I was no longer on the actual race course.
(そこから先、私は本来のレースコースを走っていなかったの。)Modern Family Season9 Episode7 (Winner Winner Turkey Dinner)
no longer は「もう〜ではない」という意味で、I’m no longer on the team.(もうチームの一員じゃないんだ。)のように、それまでの状態から外れたことを表します。actual は「実際の、本来の」で、走っていたのが正式なコースではなかったことをはっきりさせる語です。from that point on は「その時点から先」と、変化の始まりを示します。
クレアの説明は、こう続きます。
Claire: I guess I hit a point where I funneled back onto the course.
(たぶん、どこかでコースに戻ってきたのね。)Claire: I did notice that I seemed to have more energy than the few people in front of me, but I didn’t I didn’t think much of it.
(前にいる数人より元気が残ってるみたいだとは気づいたけど、あ、あまり気にしなかった。)Modern Family Season9 Episode7 (Winner Winner Turkey Dinner)
funnel は「じょうご」のことで、動詞では「狭いところへ流し込む、流れ込む」を表します。funnel back onto the course は、人の流れに沿ってコースへ戻ったという言い方で、自分から道を選んだとは言っていない点が特徴です。
I didn’t think much of it. は「深く考えなかった」で、He said something strange, but I didn’t think much of it.(彼が妙なことを言ったけど、あまり気にしなかった。)のように使います。気づいてはいたと認めたうえでこの一言を添えると、わざとではなかったという言い分の形になります。
指摘を「moral compass」で受け止めてかわす
ゴールしたクレアは、勝ったと声を上げます。そこへアレックスが答えます。
Claire: I did it! I won! I won! Did you see that, honey? I won!
(やった! 勝った! 勝ったわ! 見てた? 勝ったのよ!)Alex: Uh, no, you didn’t.
(えっと、勝ってないよ。)Alex: I was standing at the 5K mark and never saw you.
(5キロ地点に立ってたけど、ママの姿は一度も見なかった。)Claire: What?
(え?)Modern Family Season9 Episode7 (Winner Winner Turkey Dinner)
no, you didn’t は、相手の I won! をそのまま打ち消す短い返しです。never saw you と続けて、自分が見ていた事実を根拠として添える形です。
アレックスの指摘は、さらに具体的になります。
Alex: There’s not gonna be any footage of you running past Pritchett’s Closets because you cut two miles out of a six-mile race.
(6マイルのレースで2マイルも省いたんだから、プリチェッツ・クローゼットの前を走る映像なんてないよ。)Alex: Better tell Grandpa you didn’t win.
(おじいちゃんには、勝ってないって言ったほうがいいよ。)Claire: Oh, you are my moral compass.
(あら、あなたは私の良心の羅針盤ね。)Claire: Which is why I don’t want to talk to you for the rest of the day.
(だから今日はもう、あなたと口をききたくないの。)Modern Family Season9 Episode7 (Winner Winner Turkey Dinner)
cut A out of B は「BからAを削る」で、距離や手順を省いたことを指す言い方です。Better tell ~ は You’d better tell ~ の You’d を省いた口語で、「〜したほうがいい」と強めに勧める言い方です。
moral compass は「道徳の羅針盤」、つまり正しい方向を示してくれる人や価値観を指します。She’s always been my moral compass.(彼女はずっと私の良心の支えだった。)のように使えます。クレアはまず相手を持ち上げる言い方で指摘を受け止め、Which is why ~(だからこそ〜)と前の文を受けて、今日は話したくないと会話を打ち切ります。認めるような言葉が、そのまま会話を終わらせる言葉としても働きます。
写真を見せて言い張り、偽物と見抜かれる
このあとクレアはルークに、プリチェッツ・クローゼットの前を走る自分の写真の加工を頼みます。家族が集まった場で、クレアはその写真を見せます。
Claire: I have a picture of it.
(写真があるわ。)Claire: Luke? And there you go.
(ルーク? ほら、これ。)Claire: That is me clearly running in front of Pritchett’s Closets.
(どう見ても、プリチェッツ・クローゼットの前を走ってる私でしょ。)Mitchell: Oh, yeah, yeah.
(ああ、そうだね、そうだね。)Mitchell: The photo is a fake.
(その写真は偽物だよ。)Luke: It’s not my fault.
(僕のせいじゃないよ。)Luke: Manny made it.
(作ったのはマニーだもん。)Modern Family Season9 Episode7 (Winner Winner Turkey Dinner)
There you go. は「ほら、どうぞ」と物を差し出すときの言い方で、ここでは証拠を突きつける働きをします。clearly は「明らかに、どう見ても」で、相手に反論の余地を与えない言い張り方です。
ミッチェルは Oh, yeah, yeah. といったん調子を合わせてから、The photo is a fake. と言い切ります。fake は名詞で「偽物」を指し、That bag is a fake.(そのバッグは偽物だよ。)のように使います。
ルークの It’s not my fault. は、疑いが向いたところで責任を外す決まり文句です。続く一文で作り手を名指しし、話の矛先が別の人へ移ります。It’s not my fault. は単独でも使えますが、このように理由や別の名前を続けると、言い逃れの響きが強まることが多いと言えます。ぼかす、かわす、言い張るという三段階が、ここでひと区切りを迎えます。
まとめ|ずるをめぐる会話の流れ
ぼかす I didn’t think much of it、受け止めてかわす moral compass と Which is why ~、言い張る clearly と見抜く a fake。クレアの台詞から、ずるをめぐる会話の段階ごとの英語が見えてきます。
『モダンファミリー』を観ながら、家族の言い合いに出てくる英語をこれからも拾っていきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、隠していた事情を打ち明ける英語や、感謝祭の朝のレースの文化も取り上げています。


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