海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン2第11話では、近所の通りを猛スピードで走る車に困ったクレアが看板を作ります。ところが、そこに書いた一文が、家族にはまったく別の意味に読まれてしまいます。
同じ単語の並びでも、どこで区切るかによって意味が変わるのが英語の面白いところです。今回は看板をめぐるやり取りから、二通りに読める文の仕組みと、読み違いを指摘するときの言い方を見ていきます。
「Slow down your neighbors」が二通りに読める理由
クレアは、近所の通りを暴走する車があり危ないと訴えています。子どもやベビーカーを押す人、ジョギングをする人がいる通りだという理由です。そこでクレアが作った看板を、ヘイリーが読み上げます。
Haley: “Slow down your neighbors“?
(『ご近所さんを減速させろ』?)Claire: No.
(違うわよ。)Claire: “Slow down,” talking to the speeder.
(『スピードを落として』は、スピード違反の人に言ってるの。)Claire: Who’s talking to the speeder? “Your neighbors.
(じゃあ、その人に言ってるのは誰?『ご近所一同』よ。)Luke: It doesn’t say that.
(そんなこと書いてないよ。)Haley: Yeah, it just says, “Slow down your neighbors.
(そうだよ、『ご近所さんを減速させろ』って書いてあるだけじゃん。)Modern Family Season2 Episode11 (Slow Down Your Neighbors)
この文が二通りに読めるのは、slow down に2つの使い方があるからです。目的語を取らない slow down は「(自分が)スピードを落とす」という意味になり、slow down + 人・物 の形では「〜のスピードを落とさせる」という意味になります。
クレアの意図では、Slow down で一度文が終わり、Your neighbors は「ご近所一同より」という差出人の名乗りです。一方、ヘイリーとルークは your neighbors を slow down の目的語として読みました。そう読むと「あなたのご近所さんのスピードを落とさせろ」という、誰に何を頼んでいるのか分からない文になります。
| 読み方 | slow down の働き | 文の意味 |
|---|---|---|
| クレアの意図 | 目的語なし(自分が減速する) | スピードを落として。ご近所一同より |
| 家族の読み方 | 目的語あり(相手を減速させる) | あなたのご近所さんを減速させろ |
書き手の意図どおりに読んでもらうには、Slow down のあとにコンマや改行を入れるのが一般的です。Slow down, your neighbors のように区切れば、後半が呼びかけや名乗りであることがはっきりします。英語の看板やメモは短く書かれることが多いぶん、区切りの有無が意味を大きく左右すると言えます。
クレアの説明で使われた talking to ~ も押さえておきたい表現です。“Slow down,” talking to the speeder. は「『スピードを落として』はスピード違反の人に向けた言葉」という意味で、文の宛先を説明するときに使えます。
読み違いを指摘する言い方と、言い返す言い方
クレアに名前を呼ばれたフィルも、子どもたちと同じ読み方を口にします。
Claire: Phil.
(フィル。)Phil: I know what you were going for but now all I can see is “Slow down your neighbors.
(言いたいことは分かるよ。でも、もう『ご近所さんを減速させろ』にしか見えないんだ。)Claire: Well, you’re all wrong, ‘cause this is incredibly clear.
(あら、みんな間違ってるわ。だってこれ、ものすごく分かりやすいもの。)Claire: And it’s really important.
(それに、すごく大事なことなの。)Claire: We need to put these signs up all over the neighborhood.
(この看板を近所じゅうに貼らなきゃ。)Modern Family Season2 Episode11 (Slow Down Your Neighbors)
I know what you were going for は「何を狙っていたかは分かる」という意味です。go for ~ には「〜を目指す、狙う」という用法があり、相手の意図は認めたうえで、結果がそうなっていないことを伝える前置きとして使われます。後ろに but を続けて本題に入る流れが基本の形です。
ルークの It doesn’t say that. と、ヘイリーの it just says ~ も読み違いの場面でよく使われます。say は人だけでなく、看板や手紙、説明書などの「書かれたもの」を主語にして「〜と書いてある」という意味になります。「そんなことは書いていない」「〜としか書いていない」と、書かれた文字どおりに読んで言い返す形です。
- A: The note says we meet at six.
(メモには6時に集合って書いてあるよ。) - B: I know what you were going for, but it just says “six.” It doesn’t say where.
(言いたいことは分かるけど、「6時」としか書いてないよ。場所が書いてないんだ。)
対するクレアの this is incredibly clear は、周りが全員同じ読み方をしていても自分の文は分かりやすいと言い切る返し方です。you’re all wrong と合わせて、クレアが一歩も引かない様子が伝わってきます。
後の場面では、家の売却を依頼してきたローラと話すフィルが、看板の話を持ち出します。
Phil: Listen, I was thinking about those signs.
(ねえ、あの看板のことを考えてたんだけど。)Laura: “Slow down your neighbors.
(『ご近所さんを減速させろ』ね。)Phil: Actually, I think they meant “Slow down,” talking to you.
(実は、『スピードを落として』はあなたに向けた言葉なんじゃないかな。)Phil: Who’s talking? “Your neighbors.
(で、誰が言ってるのか?『ご近所一同』なんだよ。)Modern Family Season2 Episode11 (Slow Down Your Neighbors)
ここでフィルは、クレアが家族に説明したときと同じ talking to ~ と Who’s talking? の組み立てで看板の意図を説明しています。I think they meant ~ は「書いた人は〜という意味で言ったんだと思う」と、作り手の意図を代わりに説明するときの言い方です。家では子どもたちの読み方に同調していたフィルが、ここではクレアの読み方を口にしている点が面白いところです。
まとめ|区切りと宛先で変わる英文の読み方
slow down は目的語の有無で「減速する」と「減速させる」に分かれ、区切りひとつで Your neighbors が差出人にも目的語にもなります。talking to ~、It doesn’t say that.、I know what you were going for を押さえると、読み違いをめぐるやり取りもたどりやすくなります。
短い一文の読み方ひとつで家族の意見が割れる、『モダンファミリー』らしい場面です。
看板をめぐるこの回の英語は、同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも別の角度から取り上げています。


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