海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
新しく出会った人の、ほんの小さな一言や癖が気に入らないというだけで、その人との関係をすっぱりあきらめてしまった経験はありませんか。
そんな性急な判断にぴったりの「write someone off」を、『モダンファミリー』シーズン2第11話の前半、仕事から帰宅したミッチェルと、それを出迎えたキャメロンが共通の知人について言い合う場面から、一緒に見ていきましょう。
「write someone off」の意味とニュアンス
write someone off
意味:人を見込みなしと決めつけて切り捨てる、見限る
write someone offは、帳簿の上で回収の見込みがなくなった借金を「償却(write off)」してしまう会計処理から意味が広がった口語表現です。ビジネスの現場で使われていた言葉が人間関係にもそのまま転用され、一度の失敗や気に入らない一面だけを理由に、相手を「もう見込みがない」と一方的に判断して関係を断ってしまう様子を表すようになりました。数字を帳消しにするように、人との可能性そのものを性急に消してしまう冷たさが、この表現の芯にあります。周囲から見ると、まだ挽回の余地があるように思える場面でも、本人の中ではすでに結論が出てしまっている、という早すぎる見切りのニュアンスも含まれています。
【ここがポイント!】
- 「write someone off」の核は、帳簿から名前を消すように相手を見限るイメージ
- 一度の失敗や欠点だけで判断してしまう、性急さを含んだ表現
- 「もう無理」と結論を急ぐ前に、誰について言っているのかを意識して使うのがコツ
『モダンファミリー』S02E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
仕事から帰宅したミッチェルと、家で待っていたキャメロンが、共通の友人について言い合う場面です。キャメロンが勧めていた人物をミッチェルがにべもなく切り捨てたことから、キャメロンがミッチェルの決めつけ癖を指摘する展開に注目です。
Mitchell: Ah, that’s all right. I have an appointment with Dr. Bigfoot tomorrow.
(ああ、いいんだ。明日、ビッグフット先生の予約が入っててね。)Cameron: Okay, here comes the judge.
(はいはい、また裁判官のお出ましか。)Mitchell: Reiki is a bunch of nonsense, Cam. That guy’s a nut.
(レイキなんてでたらめだよ、キャム。あの人はイカれてる。)Cameron: You do this every time. We meet a new friend. They say one thing you don’t like and you just write ‘em off.
(君はいつもこうなんだ。新しい友達に出会うたびに、一つ気に入らないことを言われただけで、もうその人を切り捨てるんだから。)Mitchell: I do not.
(そんなことしてないよ。)Modern Family Season2 Episode11 (Slow Down Your Neighbors)
シーン解説と心理考察
「明日、ビッグフット先生の予約が入っててね」とやんわり誘いを断るミッチェルに対して、キャメロンは「はいはい、また裁判官のお出ましか」と、いつものことだという皮肉を返します。ミッチェルがさらに「レイキなんてでたらめだよ、キャム。あの人はイカれてる」と一刀両断すると、キャメロンはここで核心を突く一言を放ちます。「君はいつもこうなんだ。新しい友達に出会うたびに、一つ気に入らないことを言われただけで、もうその人を切り捨てるんだから」。弁護士らしい理屈で相手を裁いてしまうミッチェルの癖が、パートナーであるキャメロンの観察によって言い当てられています。ミッチェルは「そんなことしてないよ」と短く否定しますが、その短い返答自体が図星を突かれたことを物語っています。理屈で相手を素早く裁いてしまう職業柄の癖と、身近な人間関係での性急な判断が地続きになっていることを、キャメロンの一言があぶり出している場面とも言えます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
帳簿の上で「書いて(write)」「消し去る(off)」ように、ペンで一本線を引いて相手の名前を帳消しにしてしまう場面を思い浮かべてみましょう。会計処理としては合理的な行為ですが、それを人間関係にそのまま当てはめると、相手の良い面まで一緒に消してしまう乱暴さが見えてきます。
ミッチェルが「あの人はイカれてる」の一言で相手を切り捨てた場面も、まさに帳簿にペンを走らせるような性急さでした。キャメロンの指摘は、そのペンを止めて、もう少し様子を見てみようという呼びかけでもあります。
例文で覚える「write someone off」
日常のちょっとした判断からビジネスの評価まで、write someone offが使われる3つの場面を見ていきましょう。
Don’t write him off just because he made one mistake.
(一度失敗したからといって、彼を見限らないで。)
友人をかばう場面で使われる一言です。one mistakeという限定を添えることで、たった一度の失敗で判断を急いでいる相手をたしなめるニュアンスが出ます。
The critics wrote off the new restaurant after one bad review.
(評論家たちは、一つの悪いレビューだけでその新しいレストランを見限った。)
評価が定着していく様子を伝えるビジネス寄りの場面です。after one bad reviewという因果関係が、性急な判断であることを際立たせています。
A: I heard the team lost their first three games.
B: Yeah, but it’s way too early to write them off.
(A:そのチーム、最初の3試合を全部落としたらしいね。)
(B:うん、でもまだ見限るには早すぎるよ。)
スポーツの話題で使われる会話です。too earlyという時間の要素を添えることで、判断を急がないという姿勢を表せます。
あわせて覚えたい関連表現
give up on someone
(人を見放す、諦める)
write someone offが「ダメだと判断して切り捨てる」という評価的なニュアンスを含むのに対し、give up on someoneは単に期待するのをやめるという、より広い意味での諦めを表します。
judge a book by its cover
(見た目だけで判断する)
write someone offが関係を断つという結果まで含むのに対し、judge a book by its coverは第一印象だけで決めつける、判断そのものの行為を指します。
cross someone off (one’s list)
((リストから)誰かを除外する)
write someone offとほぼ同じ発想の表現ですが、cross someone offは物理的な「リスト」から名前を消すイメージがより具体的に伴います。
Note|write offという会計用語が「見限る」に変わるまで
write offという言葉は、もともと帳簿の世界で使われてきた表現です。貸したお金が返ってくる見込みがなくなったとき、その金額を資産として計上し続けるのをやめ、損失として帳簿から消し去る処理のことを、英語では write off と呼びます。回収の可能性をゼロと判断して線を引く、会計上の見切りをつける行為です。
この「見込みがないと判断して処理する」という発想が、そのまま人間関係にも転用されるようになりました。相手の一つの欠点や失敗を見て「もうこの人には期待できない」と判断し、それ以上の関わりをやめてしまう様子をwrite someone offと表現するようになったのです。お金の話が人の話に置き換わっても、判断のプロセスそのものは変わりません。可能性を天秤にかけ、見込みなしと判じた時点で見切りをつける、という構造がそのまま受け継がれています。
このシーンでミッチェルが友人を一言で切り捨てた場面は、まさに帳簿にペンを走らせるような性急さを体現していました。相手のすべてを見る前に、一つの情報だけで結論を出してしまう。write someone offという表現の背景を知ると、その判断の早さが持つ冷たさが、より具体的に感じ取れるようになります。
数字の世界の言葉が、人の心の動きを言い当てる言葉に変わっていく。そんな英語の面白さが詰まった表現です。帳簿を締めるように人間関係にも区切りをつけたくなる瞬間は誰にでもありますが、その線引きが本当に妥当かどうかは、また別の話として残ります。
まとめ|帳簿のペンを止める一言
write someone offは、帳簿から名前を消すように、人との関係を性急に切り捨ててしまう様子を表す表現です。
一度の失敗や気に入らない一言だけで判断を急いでしまいそうになったとき、この言葉を思い出すと、その判断が本当に正しいのか、一呼吸置いて考え直すきっかけになります。
ミッチェルの決めつけ癖をキャメロンがやんわりと指摘したこの場面のように、身近な相手からの一言が、性急な判断を思いとどまらせてくれることもあります。表現の引き出しに、この言葉も加えてみてください。


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