海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン8第9話では、ルークとマニーが学校の冬のダンスパーティーを担当します。ところがダンスの当日、予算の金額をめぐる二人の行き違いが明らかになり、会話の空気が一気に変わります。
ミスが見つかった瞬間の英語は、確かめる、探りを入れる、責める、認める、と段階ごとに顔つきが変わります。この回の二人のやり取りには、その流れがひととおりそろっています。
「I thought you were gonna ~」から数字の確認へ
ダンスの準備の場面で、マニーは手伝いに来なかったルークに苦言を呈します。
Manny: Do you know what time it is? I thought you were gonna help me set up.
(今何時か分かってる? 準備を手伝ってくれるものと思ってたよ。)Luke: Sorry, buddy.
(ごめん、相棒。)Luke: I was worrying about the big-picture stuff.
(全体のことを考えてたんだよ。)Modern Family Season8 Episode9 (Snow Ball)
I thought you were gonna ~ は「〜してくれると思っていた」が直訳ですが、実際には「そうしてくれなかった」という不満を伝える言い方として働きます。相手を正面から責めずに、約束とのずれを示せる点が使いやすいところです。
ルークの the big-picture stuff は「全体像に関わること」で、細かい作業より大きな視点を考えていた、という言い訳になっています。何を考えていたのかは語られず、もっともらしい言葉だけが返ってくるのが面白いところです。
そしてダンスの最中、マニーが8,000ドルで準備をやりくりした苦労を口にしたところで、ルークが話を止めます。
Luke: Wait, wait, wait.
(待って、待って、待って。)Luke: The budget for this was $800.
(これの予算は800ドルだったんだよ。)Luke: You spent $8,000? That’s the budget for the whole year.
(8,000ドル使ったの? それって1年分の予算だよ。)Modern Family Season8 Episode9 (Snow Ball)
Wait, wait, wait. と同じ語を重ねると、聞き捨てならないことを耳にした驚きが強く出ます。続く The budget for this was ~ で本来の数字を示し、You spent ~? と平叙文の語順のまま語尾を上げて確かめる流れは、数字の食い違いを確認するときの組み立てとしてそのまま応用できます。
「If we were to ~」で遠回しに探る
予算を大きく超えたと分かったマニーは、ブラウン校長に声をかけます。ただし、事実をそのまま打ち明けるのではありません。
Manny: Principal Brown.
(ブラウン校長。)Principal Brown: Yep?
(何だい?)Manny: If we were to go over with the student council budget, how hard would it be to get a little extra money?
(もし仮に生徒会の予算を超えたとしたら、追加のお金を少しもらうのはどのくらい難しいでしょうか?)Principal Brown: Oh, no problem.
(ああ、問題ないよ。)Principal Brown: We would just sell the Rembrandt in the faculty lounge.
(職員室のレンブラントを売ればいいだけさ。)Luke: See? Problem solved.
(ほらね? 解決じゃん。)Manny: He’s being sarcastic.
(皮肉で言ってるんだよ。)Modern Family Season8 Episode9 (Snow Ball)
If we were to ~ は、実際に起きたことを「もしも」の話として持ち出す仮定の形です。言いにくい事実をいきなり認めずに済むため、相手の出方を見たい場面で選ばれやすい組み立てです。go over は「(予算などを)超える」の意味です。how hard would it be to ~? と組み合わせると、相手の反応をうかがいながら頼みごとの可能性を探る、かなり遠回しな聞き方になります。
校長の Oh, no problem. は言葉の上では快諾ですが、続く一言で本気ではないことが分かります。それを文字どおりに受け取るルークに、マニーが He’s being sarcastic. と補足します。be being + 形容詞 は「今その態度をとっている」という一時的な振る舞いを表す形で、「あの人は皮肉屋だ」ではなく「今のは皮肉だ」と伝えられます。
「How could you let this happen?」から「troubling news」へ
後の場面で、マニーはルークを問い詰めます。ところが、メッセージを確かめると話の向きが変わります。
Manny: How could you let this happen?
(どうしてこんなことになるのを放っておいたんだよ?)Luke: I don’t know.
(分かんない。)Luke: You were texting me while I was live streaming my breakfast, and Wait a minute.
(朝ごはんをライブ配信してるときにメッセージが来て、それで……待って。)Luke: I did say $800.
(僕、ちゃんと800ドルって言ってる。)Luke: Look.
(ほら。)Manny: Oh, my God, this is all my fault.
(なんてことだ、全部僕のせいだ。)Modern Family Season8 Episode9 (Snow Ball)
立場が入れ替わったと分かると、ルークはすかさずこう返します。
Luke: Well, well, well.
(おやおや、おや。)Luke: Looks like the dunce cap is on the other foot.
(どうやら、おバカ帽子は逆の足にあるみたいだね。)Modern Family Season8 Episode9 (Snow Ball)
How could you let this happen? は「どうしてこうなるのを許したのか」と、相手に責任を問う強い問いかけです。答えを求めるより、非難の気持ちを投げかける働きがあります。ルークの I did say $800. は、did を入れて「確かに言った」と強調する形で、反論のときによく働きます。マニーの this is all my fault は、言い逃れをせずに非を認める一言です。all が入ることで「少しは相手にも責任がある」という含みを残さない言い方になっています。
この台詞は、立場が逆転したことを表す the shoe is on the other foot に、おバカの象徴として描かれることの多いとんがり帽子 dunce cap を混ぜたひねりのある一言です。普段とは逆に、今回はマニーの側が失敗したとからかっています。
その後、マニーは同級生たちの前に立ちます。
Manny: Classmates, could I have everyone’s attention, please? I have some troubling news.
(同級生の皆さん、少しご注目いただけますか? 困った知らせがあります。)Modern Family Season8 Episode9 (Snow Ball)
少し前置きを挟んで、マニーはこう続けます。
Manny: We have a little situation, and I just want to be as up front as I can.
(ちょっとした問題がありまして、できるかぎり率直にお話ししたいと思います。)Modern Family Season8 Episode9 (Snow Ball)
I have some troubling news. は悪い知らせを切り出す前置きで、a little situation は「ちょっとした問題」と事態を控えめに言う表現です。up front は「隠さずに、率直に」という意味で、as ~ as I can と組み合わせて「できるかぎり」と誠意を添えています。ただ、マニーの話はここでルークが割って入り、最後までは語られません。
まとめ|ミスをめぐる会話の段階
I thought you were gonna ~ で約束とのずれを示し、If we were to ~ で遠回しに探り、How could you let this happen? と this is all my fault で責任が行き来します。最後の troubling news と up front まで、ミスの発覚から打ち明けまでの英語が一話の中に並んでいると言えます。
二人の会話を追いながら、場面ごとの言い方を少しずつ集めていきましょう。
フィルとジェイの誘いと断りの応酬や、お節介な縁結びの会話は同じ回のほかのコラムで、個々の表現はフレーズ記事でも扱っています。


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