海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第6話では、ジェイとグロリアの結婚10周年を祝うパーティーが開かれます。余興の時間をめぐって、キャメロンがミッチェルやクレアと何度も条件を詰める場面があります。
お金の絡まない交渉でも、英語には譲る側と譲らない側それぞれの決まった言い方があります。断る、言質を取る、数字を詰めるという3つの場面から、条件交渉の英語を拾っていきます。
「In no way, shape, or form」できっぱり断る
パーティーを準備したのはクレアです。クレアは、フィルの魔術も出し物のひとつだと話しています。
Claire: I’m throwing Dad and Gloria’s 10th anniversary party, and Phil is part of the entertainment.
(パパとグロリアの結婚10周年パーティーを開くの。フィルも余興に出るのよ。)Modern Family Season9 Episode6 (Ten Years Later)
一方、キャメロンはミッチェルと2人で何か披露したいと考えています。乗り気でないミッチェルに対し、キャメロンはほかにも出演者がいる場だと言って引きません。
Cameron: There’s a whole slate of performers.
(出演者はずらりと並んでるよね。)Mitchell: Gloria’s changing in a box.
(グロリアが箱の中で着替えるんだぞ。)Cameron: Which makes our medley all the more welcome.
(だからこそ、僕たちのメドレーがますます喜ばれるんだよ。)Mitchell: It’s a medley now? No! No.
(今度はメドレー? だめだ! だめ。)Mitchell: In no way, shape, or form am I performing today in front of my judgmental family.
(何がどうあろうと、口うるさい家族の前で今日歌うなんてありえない。)Modern Family Season9 Episode6 (Ten Years Later)
all the more ~ は「それだけいっそう〜」という言い方で、相手の反対理由を逆に自分の主張の根拠へ変えています。対するミッチェルの in no way, shape, or form は「どんな形であれ〜ない」と、否定を三重に重ねた強い拒否です。文頭に置くと、後ろが am I performing のように疑問文と同じ語順になる点も押さえておきたいところです。
I will not, under any circumstances, ~(どんな事情があっても〜しない)も同じく強い拒否ですが、in no way, shape, or form のほうが口語的で、少し大げさな響きがあります。交渉の入り口で「条件次第では」という余地を一切残さない構えが、この語順から伝わってきます。
「No medley.」と「You just agreed.」で言質を取る
きっぱり断られたあとも、キャメロンの交渉は終わりません。メドレーはやらない、と2人で確認したところで、話はこう続きます。
Cameron: No medley.
(メドレーはなし。)Mitchell: Exactly.
(そのとおり。)Mitchell: Wait.
(待てよ。)Mitchell: This isn’t a trick
(これ、引っかけじゃ)Cameron: Just three un-related songs.
(関係ない3曲をやるだけ。)Cameron: You just agreed.
(今、同意したよね。)Modern Family Season9 Episode6 (Ten Years Later)
キャメロンは「メドレー(曲をつないだもの)はやらない」という言葉の範囲を狭く取り、「つながっていない3曲なら約束の外」という理屈を持ち出しています。ミッチェルが Exactly. と即答した時点で、キャメロンは You just agreed. と言質を取ります。
You just agreed. は「たった今、認めたよね」と、相手の返事を約束として確定させる一言です。似た働きの言い方には You said it yourself.(自分でそう言ったでしょ。)や I’m holding you to that.(その言葉、守ってもらうよ。)があります。
反対に、言質を取られかけた側は That’s not what I meant.(そういう意味じゃない。)と言葉の範囲を確かめ直せます。ミッチェルが Wait. と言って引っかかりに気づくのは、まさに言葉の範囲を問い直す入り口です。交渉では、何に同意したのかを一語ずつ確かめる必要があることが分かります。
「be willing to」と「keep it at」で数字を詰める
本番を前に、出し物の割り振りを決めているクレアに、キャメロンは出演表について切り出します。自分たちの欄には I see that you only have Mitch and I down for one song. と、1曲しか書かれていません。そこから、曲数をめぐる交渉が始まります。
Cameron: So we would be willing to cut our set list to six songs.
(だから、曲目を6曲まで削ってもいいと思ってるんだ。)Claire: Cool.
(いいわね。)Claire: So we’ll keep it at one?
(じゃあ1曲のままね?)Cameron: Okay, so five quick songs, then?
(わかった、じゃあ短めの5曲で?)Claire: One song.
(1曲。)Cameron: Okay, I would be willing to close this right now at three songs.
(わかった、今すぐ3曲で手を打ってもいいよ。)Claire: One quick song, and if you so much as begin to introduce the band, I’ll cut the power off.
(短い1曲よ。バンド紹介でも始めようものなら、電源を切るから。)Cameron: Okay, that is not the way you talk to talent.
(ちょっと、それはアーティストに対する口のきき方じゃないよ。)Modern Family Season9 Episode6 (Ten Years Later)
would be willing to ~ は「〜してもかまわない」と譲歩を差し出す丁寧な形です。キャメロンは6曲、5曲、3曲と数字を下げながら、毎回「こちらは譲っている」という形を取っています。close this at ~ は「〜で話をまとめる」、つまり「〜で手を打つ」に近い言い方です。
対するクレアは keep it at one(1のままにする)と言い、その後は One song. と数だけを繰り返します。理由を足さずに同じ数を言い続けると、交渉の余地がないことがはっきり伝わります。最後の if you so much as ~ は「少しでも〜したら」という強い条件で、ほんのわずかな逸脱も許さない念押しです。
これに対するキャメロンの that is not the way you talk to ~ は「それは〜に対する話し方ではない」という抗議で、条件ではなく相手の態度に話をずらしています。自分を talent(出演者)と呼ぶところに、立場を言葉で取り戻そうとする姿勢が読み取れます。
まとめ|譲る側と譲らない側の英語
in no way, shape, or form できっぱり断り、You just agreed. で言質を取り、would be willing to や close this at で歩み寄り、keep it at で動かない。出番の交渉にも、条件を詰める英語がそろっています。
数字が行き来するやりとりに注目して観ると、交渉の駆け引きがより鮮明に見えてきます。
魔術の仕事をめぐる後悔の英語や、ひとりで決めたことの伝え方は、同じ回のほかのコラムで扱っています。


コメント