海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第19話では、新しい商品の案を出せずにいたヘイリーが、グロリアの売っているサルサを雇い主のニコールに紹介します。そこから、サルサの事業をニコールの会社に売る話が動き出します。
持ち主に売却を勧める側、自分の事情を打ち明けて頼む側、買い手の前で商品を紹介する側。この回には、立場ごとに違う「売る」ための英語が、家族の会話の中に並んでいます。
「get a lot for it」と「Dump it.」で売却を勧める
ヘイリーから話を聞いたグロリアは、まず聞き返します。ヘイリーとジェイは、それぞれの言い方で売却を勧めます。
Gloria: Sell my sauce business to NERP?
(私のソースの事業を、NERPに売るの?)Haley: I think you could get a lot for it.
(けっこういい値段で売れると思うよ。)Haley: When Nicole wants something, she just throws money at it.
(ニコールって、欲しいものがあると、とにかくお金をつぎ込むの。)Haley: She bought her next-door neighbor’s house because she liked the mailbox.
(郵便受けが気に入ったからって、隣の家を買っちゃったんだから。)Gloria: I don’t know.
(どうかしら。)Jay: I do.
(俺には分かる。)Jay: Dump it.
(手放しちまえ。)Jay: That thing is worth less than a bachelor’s degree.
(あんなもん、学士号より値打ちがないぞ。)Modern Family Season9 Episode19 (CHiPs and Salsa)
get a lot for ~ は「〜を売って多くのお金を得る」という意味で、I got a good price for my old car.(古い車がいい値段で売れた。)のように、売った値段の話でよく使われます。you could と仮定の形にすることで、「売れば高く売れるはず」と相手の背中を押す響きになります。
throw money at ~ は、問題や欲しいものに惜しまずお金を注ぎ込む様子を表す言い回しです。ヘイリーは隣の家の買い物の例を添えて、買い手がお金を出すことをためらわない人物だと伝えています。
グロリアの I don’t know. に、ジェイは I do. と返します。「分からない」を受けて「俺は分かっている」と言い切る、短い切り返しです。続く Dump it. は「さっさと手放せ」という遠慮のない命令で、worth less than ~ は「〜より価値が低い」と、比べる相手を出して価値の低さを強調する言い方です。
勧め方は二人で異なり、ヘイリーは買い手が高く払ってくれそうな点を、ジェイは手放してしまえという結論を、それぞれ前に出しています。
「I really need this.」で自分の事情を打ち明ける
ジェイのあと、ヘイリーはグロリアに直接お願いします。
Haley: Please, Gloria.
(お願い、グロリア。)Haley: I really need this.
(これ、本当に必要なの。)Haley: No one takes me seriously at that office.
(あの会社じゃ、誰も私をまともに相手にしてくれないの。)Modern Family Season9 Episode19 (CHiPs and Salsa)
最初に相手の名前を呼んでからお願いを切り出すと、呼びかけとしての重みが増します。I really need this. は、何かを頼むときに「私にとってどれだけ大事か」を短く伝える一文です。this が何を指すかは状況で決まり、ここでは売却の話がまとまることを指しています。
続く No one takes me seriously は「誰も私を本気で相手にしてくれない」という意味です。take ~ seriously は「〜を真剣に受け止める」で、否定の形にすると、軽く扱われている不満を表せます。I wish people would take my ideas seriously.(みんなが私の案を真剣に聞いてくれたらいいのに。)のように、職場の話題でも使いやすい組み立てです。
ヘイリーは、自分の席すらないことも打ち明けます。頼みごとの理由として、自分の立場を具体的に明かしていく流れが見どころです。相手の得になる話をしたあとに、自分の事情を打ち明けて頼む、という二段の進め方になっています。
商談の席で、相手を持ち上げてから商品を出す
NERPでの商談の席では、ジェイが話を進めます。
Jay: And we appreciate you taking time from your busy schedule here at NERP.
(それに、ここNERPでお忙しいなか、時間を割いていただいて感謝します。)Jay: It’s a dynamite organization.
(すごい会社ですよ。)Jay: I’m a big fan.
(大ファンでしてね。)Jay: Love what you’re doing.
(なさってることが大好きですよ。)Gloria: What are you doing?
(何してるの?)Jay: I was selling.
(売り込んでたんだよ。)Jay: That’s what I was doing.
(そういうことさ。)Modern Family Season9 Episode19 (CHiPs and Salsa)
We appreciate you taking time from your busy schedule. は、商談や面談の冒頭で「お忙しいなかお時間をいただき、ありがとうございます」と伝える形です。appreciate のあとに you taking time と動名詞を続けることで、感謝の対象がはっきりします。
I’m a big fan. と Love what you’re doing. は、相手の会社や仕事を持ち上げる短い言い方です。グロリアに聞かれたジェイは、それを I was selling. と説明します。「売り込みの最中だった」と自分の行動を言い表す一言です。Love what you’re doing. は主語の I を省いたくだけた形で、会話ではこうした省略がよく見られます。
Jay: And so, these peppers are the heart of Gloria’s sauce.
(というわけで、このペッパーがグロリアのソースの要なんです。)Jay: But this is the finished product, of course the Salsa Atomica.
(そしてこちらが完成品、もちろんサルサ・アトミカです。)Modern Family Season9 Episode19 (CHiPs and Salsa)
the heart of ~ は「〜の核心・要」で、材料の中でいちばん大事な部分を示します。そのあとに the finished product(完成品)を出す順番は、材料から完成品へと話を運ぶ紹介の流れと言えます。this is ~ と目の前の物を指し示す言い方も、商品を見せる場面に合っています。
まとめ|勧める・頼む・売り込む英語
get a lot for it や Dump it. は売却を勧める言葉、I really need this. は事情を明かして頼む言葉、the heart of と the finished product は商品を紹介する言葉です。立場が変わると、同じ「売る」話でも使う英語が変わることが分かります。
『モダンファミリー』の家族の会話を観ながら、こうした言い回しを拾っていきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、フィルとクレアの張り合いや、警察の同乗体験の英語も取り上げています。


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