「Allow me to not get that for you.」に見る、丁寧な決まり文句をひねって相手をからかう英語表現|『モダンファミリー』S03E05で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「Allow me to not get that for you.」に見る、丁寧な決まり文句をひねって相手をからかう英語表現|『モダンファミリー』S03E05で学ぶ英会話

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『モダンファミリー』シーズン3第5話では、再選を目指す議員のデュアンとクレアが、同じ日のうちに2度顔を合わせます。デュアンは相手の求めをまねたり、相づちや申し出の決まった形を崩したりしながら、クレアをからかい続けます。

今回は、決まり文句をひねって相手をからかう言い方と、それを受け流さずに言い返すクレアの切り返しを、会話の場面の順に見ていきます。

目次

「I want a stop sign.」と相手の求めをまねる

デュアンは、クレアが求めていた一時停止の標識の設置を退けた議員です。再選に向けて票を頼んで回るデュアンに、フィルが票を約束したところで、クレアが割って入ります。

Claire: No.
(だめよ。)

Claire: You don’t remember meeting me, do you? Claire Dunphy.
(私に会ったこと、覚えてないでしょ? クレア・ダンフィーよ。)

Claire: Last month’s town council meeting?
(先月の議会の会合で。)

Duane: Oh, yes I do! Yes, I remember you.
(ああ、覚えてるとも! ええ、覚えてますよ。)

Duane: I want a stop sign.
(「一時停止の標識が欲しい」。)

Duane: Just having fun.
(ちょっとふざけただけですよ。)

Modern Family Season3 Episode5 (Hit and Run)

クレアの You don’t remember meeting me, do you? は、否定文に do you? を付けた付加疑問です。「覚えていないんでしょう?」と、答えを見越したうえで相手に確かめる響きがあります。

これに対してデュアンは、覚えていると言うだけでなく、I want a stop sign. とクレアの求めを一言にまとめて口にします。相手の要望をそのまま本人の口調のように言ってみせると、まじめな訴えを軽く扱う印象が生まれます。直後の Just having fun. は I’m just having fun. の主語と be 動詞を省いた形で、「冗談だよ」と言い添える一言です。ふざけたことを認めながら謝ってはいないので、からかいの後始末としては軽い言い方と言えます。

  • A: Hey, that’s not funny.
    (ちょっと、それ面白くないよ。)
  • B: Relax. Just having fun.
    (落ち着いて。ふざけただけだって。)

「don’t you have pluck」と「I bet you do」

同じ日の2時間後、立候補の書類を受け取りに来たクレアは、デュアンと再び会います。クレアは自分が対立候補になると告げます。

Claire: I am entering the race for town council, and I am running against you.
(議会の選挙に出るの。あなたの対立候補としてね。)

Duane: Oh.
(おや。)

Duane: Well, don’t you have pluck.
(へえ、度胸があるじゃないですか。)

Claire: No, I plan on winning, so
(いいえ、勝つつもりだから。)

Duane: Oh, yeah, I bet you do.
(ああ、そうでしょうとも。)

Modern Family Season3 Episode5 (Hit and Run)

pluck は「勇気、根性」を表す語で、courage や guts に近い意味です。Well, don’t you have pluck. は疑問符のない否定疑問の形で、「なんとまあ、度胸があることか」という感嘆になります。持ち上げているようでいて、挑戦者を上から眺める響きがあるのが特徴です。クレアは No と打ち消し、勝つつもりだと言い返します。

I bet you do. は「きっとそうだろうね」という相づちですが、ここでは do が plan on winning を受けています。

その後には、デュアンが puggle(犬の種類)を育てる理由を「tenacious hunters who won’t quit until the kill is complete」と語り、クレアが「Really? ‘Cause I feel like they just yip a lot.」と返すやり取りが続きます。‘Cause I feel like ~ は、相手の話を受けて「私には〜に思えるけど」と別の見方を差し出す切り返しです。ハンターだという説明を、キャンキャン吠えるだけという姿に置き換えて返しているのが見どころです。

このやり取りのあと、デュアンは次のように言い切ります。

Duane: Look, lady, you’re going down.
(いいですか、負けるのはあなたですよ。)

Duane: I’ve won six straight elections.
(私は選挙で6連勝してるんです。)

Modern Family Season3 Episode5 (Hit and Run)

この流れから見ると、I bet you do は本気で受け止めた相づちではないと読み取れます。you’re going down は、対決する相手に「お前は負ける」と告げる宣戦布告の言い方です。

「Allow me to not get that for you」で申し出の型を裏返す

別れ際、クレアは何かが反応しないことに気づき、デュアンが口をはさみます。

Claire: Why isn’t this lighting up?
(なんでこれ、光らないの?)

Duane: Oh, it’s because it’s, uh, staff only.
(ああ、それはですね、ええと、職員専用だからです。)

Duane: Yeah.
(そう。)

Duane: Here.
(ほら。)

Duane: Allow me to not get that for you.
(私が代わりにやって差し上げない、ということで。)

Duane: Good luck!
(がんばって!)

Modern Family Season3 Episode5 (Hit and Run)

Allow me to ~ は「私に〜させてください」という丁寧な申し出の形で、Allow me to get that for you. なら「私がやりましょう」と手を貸す一言になります。デュアンはそこに not を入れ、申し出の形のまま「やってあげない」と宣言しています。礼儀正しい決まり文句を逆向きに使うことで、からかいがいっそうはっきりするのが面白いところです。to not get は not to get の not を動詞の直前に置いた語順で、「やらない」の部分が際立つ形とも言えます。

最後の Good luck! も、このやり取りの流れで添えられています。

本来の形 本話での使われ方
Allow me to get that for you. not を入れて、手を貸さない宣言に
I bet you do. 本気にしていない調子の相づちに
相手の要望を聞き取る I want a stop sign. とまねてみせる

Allow me. だけでも「私がやります」の意味になり、ドアを開ける、荷物を持つといった場面で使われることがあります。本来は感じのよい申し出の形なので、裏返したときの落差が大きくなります。

  • A: These boxes are heavy.
    (この箱、重いな。)
  • B: Allow me.
    (僕が持つよ。)

まとめ|決まり文句のひねり方と切り返し

Allow me to not ~ や I bet you do.、相手の言葉のまねは、決まった形を少し崩すだけでからかいに変わる言い方です。クレアの No, I plan on winning のように、打ち消して言い返す切り返しとあわせて見ると、対立する2人の会話の温度が分かります。

『モダンファミリー』の会話には、決まり文句のひねりがこれからも顔を出します。

同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、クレアの立候補や家族の場面を別の角度から取り上げています。

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