海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第1話では、大学生活を前にしたマニーが、自分を「マヌエル」と名乗って寡黙なキャラを演じ始めます。家族はそれを面白がりつつ、本人の本音はまた別のところにあります。
進学や転職など、新しい環境に入る前に「自分を変えたい」と考える場面は少なくありません。そのときの気持ちや、周りからの言葉を英語でどう言うかを、マニーの変身と本音から見ていきます。
「reinvent oneself」と「don’t try to define me」
朝食の場面で、クレアがマニーに卵の好みを聞いたあと、ヘイリーがマニーに問いかけます。答えたのはルークでした。
Haley: Manny, what are you doing?
(マニー、何してんの?)Luke: This isn’t Manny. It’s Manuel. He’s trying to reinvent himself for college. He’s going for a strong, silent type.
(こいつはマニーじゃないよ。マヌエルだ。大学に向けて自分を作り直そうとしてるんだ。寡黙で強いタイプを狙ってるんだって。)Manny: Hey, don’t try to define me, man.
(おい、決めつけないでくれよ。)Modern Family Season9 Episode1 (Lake Life)
reinvent oneself は「自分を一から作り直す」という意味の表現です。仕事や住む場所が変わるときに、見た目や振る舞いまで変えて新しい自分になる、という含みがあります。She reinvented herself as a designer after moving to New York.(彼女はニューヨークに移ってから、デザイナーとして生まれ変わった。)のように、前向きな変化を語る場面でも使えます。
go for ~ は「〜を目指す、〜を狙う」で、a strong, silent type は「口数が少なくて芯の強いタイプ」という人物像を指します。ルークはマニーの狙いを、この2つで手短に説明しています。
それに対するマニーの don’t try to define me は「僕を型にはめないで」という反発です。define は「定義する」が元の意味で、人に使うと「〜な人だと決めつける」という響きになります。ただ、短く突き放すこの返し自体が、狙っているキャラの口調そのものになっています。このあとヘイリーは、マヌエルは長くもたないと言い切っています。
「chill」でキャラを保つ
別の場面では、子どもたちが外に助けを知らせる方法を探しています。棒をこすって火をおこそうとするマニーに、アレックスが指示を出します。
Alex: Go faster! It’s not a violin. You’re trying to start a fire.
(もっと速く!バイオリンじゃないんだから。火をおこそうとしてるんでしょ。)Manny: Hey, chill, man!
(おい、落ち着けって!)Luke: That’s never gonna work. We need a better way to let someone know we’re out here.
(それじゃ絶対うまくいかないよ。ここにいるって誰かに知らせる、もっといい方法が要るよ。)Modern Family Season9 Episode1 (Lake Life)
chill は「冷やす」が元の意味で、Chill. や Chill out. で「落ち着けよ、カッカするな」という、くだけた言い方になります。親しい相手には自然ですが、目上の人に向けるとなれなれしく聞こえるため、相手を選んで使う語です。ここでのマニーは、急かされても短い言葉で受け流しています。理由を説明したり言い返したりせず、ひと言で済ませるところがポイントです。「マヌエル」の寡黙なキャラは、この時点ではまだ続いていると読み取れます。
ルークの let someone know は「誰かに知らせる」で、Let me know if you need anything.(何かあったら知らせてね。)のように日常会話で頻繁に出てくる形です。That’s never gonna work. は「それじゃ絶対うまくいかない」と、相手の方法をはっきり否定するときの一言です。言い切りが強いので、やわらげたいときは I don’t think that’ll work.(うまくいかないと思うな。)が使えます。
「getting a little real」と「hide ~ away」
同じ場面の続きで、アレックスの話を聞いていたマニーは、自分のことを話し始めます。
Manny: When you think about it, I’m in a similar situation. College is getting a little real, and maybe I’m nervous about a whole new group of people rejecting me, so I hid Manny away. After all can’t hurt a man they’ll never meet.
(考えてみれば、僕も似たような状況なんだ。大学がちょっと現実味を帯びてきて、新しい人たちにまるごと拒絶されるのが不安なのかもしれない。だからマニーを隠したんだ。だって、会ったこともない男なら、傷つけようがないだろ。)Luke: Ugh. I miss Manuel.
(うわ。マヌエルが恋しいよ。)Modern Family Season9 Episode1 (Lake Life)
ここでの get real は「現実味を帯びる」の意味で(命令形の Get real! は「現実を見ろ」という別の使い方です)、getting a little real と進行形にすると「だんだん現実のことになってきた」という気持ちの変化が出ます。It’s getting real.(いよいよ本当に始まるって感じだ。)は、引っ越しや入学の直前によく聞かれるフレーズです。楽しみと緊張が混ざった気持ちを、短くまとめて伝えられます。
hide ~ away は「〜をしまい込む、隠しておく」です。マニーは自分の名前を目的語にして、本来の自分を隠したと言っています。can’t hurt a man they’ll never meet は「会ったこともない男なら傷つけようがない」という理屈で、新しいキャラは自分を守るためのものだったと分かります。
本音を聞いたあとのルークの I miss ~ は「〜が恋しい」です。本当の自分のマニーではなく、作ったほうのマヌエルを恋しがる返しになっています。
まとめ|自分を変えたいときの英語と、その本音
reinvent oneself、go for a ~ type、don’t try to define me は、新しい自分を作るときの言葉です。getting a little real と hide ~ away は、その裏にある不安を言葉にする表現と言えます。
新しい環境を前にしたマニーの変身と本音から、自分を変えたい気持ちを話す英語が見えてきます。
日食をめぐるジェイの思い出づくりや、湖のハウスボート休暇の英語は、同じ回のほかのコラムでまとめています。


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