海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン10第1話には、ルークの悩みとグロリアの落ち込みをめぐって、家族の様子がおかしい理由が見えてくる場面で「Something just clicked.」という同じ一文が二度登場し、そのたびに話が思わぬ方向へ転がります。
「ピンときた」と「そういえば」は、日本語でも使い分けている感覚です。英語ではどう言い分けるのかを、似ているようで働きの違う表現に注目して、2つの場面を追いながら見ていきます。
「Something just clicked.」が二つの意味で使われる場面
最初の場面では、クレアがルークの集中できない理由を言い当てようとして、うまくいかずにいます。そこへフィルがこう言います。
Phil: Something just clicked.
(今、カチッときた。)
Luke: Fine.
(分かったよ。)
Luke: You’re right it’s college.
(そうだよ、大学のことなんだ。)
Claire: It is?
(そうなの?)
Luke: Yeah.
(うん。)
Luke: I’m distracted because I’m feeling some pressure on which classes to take.
(どの授業を取るかでプレッシャーを感じてて、気が散ってるんだ。)
Luke: But don’t worry.
(でも心配しないで。)
Luke: I’m gonna figure it out.
(自分でなんとかするから。)
Modern Family Season10 Episode1 (I Love a Parade)
click はもともと「カチッと鳴る」という音の動詞です。そこから、パズルのピースがはまるように「急に合点がいく、ピンとくる」という意味でも使われ、Something just clicked. や It just clicked. の形で口にされます。ルークはこの一文を「自分の悩みを見抜かれた」と受け取り、授業選びのプレッシャーを打ち明けます。
Claire: Wow.
(すごい。)
Claire: How could you tell?
(どうして分かったの?)
Phil: I’m just a perceptive guy.
(俺、察しがいい男だからね。)
Modern Family Season10 Episode1 (I Love a Parade)
How could you tell? は「どうして分かったの?」と、相手の気づきに感心して聞く言い方です。この tell は「言う」ではなく「見分ける、分かる」の意味になります。perceptive は「察しがいい、洞察力がある」という形容詞です。察しのよさをほめられたフィルは、そのまま話に乗っています。ところが、フィル自身があとで明かすように、本当の意味は別でした。
Phil: I wasn’t talking about Luke.
(ルークのことを言ったんじゃないんだ。)
Phil: The clicking was in my jaw.
(カチッといったのは、あごだったんだよ。)
Modern Family Season10 Episode1 (I Love a Parade)
フィルの clicked は、あごが鳴った音そのものでした。比喩の「ピンとくる」と文字どおりの「カチッと鳴る」が一つの語に重なり、ルークの打ち明け話を引き出しています。音を表す click と気づきを表す click は、前後の文脈で聞き分けることになります。
「I know what’s wrong with ~」で推理し、「No, that’s not it.」で外される
二つ目の場面は、パレードの会場です。クレアは、元気のないグロリアについて父ジェイに自分の推理を伝えます。
Claire: I-I know what’s wrong with Gloria.
(グ、グロリアの様子がおかしい理由、分かった。)
Claire: This is a big day for you, and she’s feeling left out.
(今日は父さんの大事な日だから、グロリアは置いてけぼりの気分なのよ。)
Jay: No, that’s not it.
(いや、そうじゃない。)
Modern Family Season10 Episode1 (I Love a Parade)
I know what’s wrong with ~ は「〜の何がおかしいのか分かった」と、相手の不調の原因を言い当てるときの切り出し方です。what’s wrong with you? と聞けば「どうしたの?」と様子を尋ねる言い方にもなります。feel left out は「仲間外れの気分になる、取り残された気がする」で、集まりや行事で自分だけ蚊帳の外にいる感覚を表します。be left out(のけ者にされる)と受け身の形にしても使えます。
ジェイの No, that’s not it. は「いや、そうじゃない」と、相手の推測を短く退けるときの決まった形です。it が「原因」を指すため、推理や当て推量にそのまま返せます。似た場面では That’s not the problem.(問題はそこじゃない)と言い換えることもできます。
このやりとりでは、推理を外されたクレアはまだ答えにたどり着いていません。最初の推理が外れてから本当の理由に気づくまでの間に、次の一文が置かれています。
「Come to think of it」で思い出し、「which is why ~」で結論づける
推理を外されたあと、クレアは同じ一文を口にします。
Claire: Something just clicked.
(今、カチッときた。)
Jay: Jaw trouble?
(あごの調子でも悪いのか?)
Claire: No! She was just on with Manny, who’s not coming.
(違う! グロリア、さっきまでマニーと話してたの。マニーは来ないのよ。)
Claire: Don’t Gloria and Manny have some Fourth of July tradition?
(グロリアとマニーって、独立記念日に何か決まってやることがあるんじゃない?)
Jay: Come to think of it, they share a slice of apple pie and watch the fireworks.
(そういえば、2人でアップルパイを一切れ分け合って、花火を見るんだ。)
Jay: They’ve been doing that every year since he was born!
(あいつが生まれてから毎年やってるんだよ!)
Claire: Until this year, which is why Gloria is upset.
(今年まではね。だからグロリアは落ち込んでるのよ。)
Modern Family Season10 Episode1 (I Love a Parade)
クレアの Something just clicked. は「ピンときた」の意味ですが、ジェイは Jaw trouble? と文字どおりの音のほうに取って返します。一つの語の二つの意味が、ここでも会話のやりとりになっています。
ジェイの Come to think of it, は「そういえば、考えてみると」と、言われて記憶をたどり、思い当たることを話し始めるときの前置きです。Something just clicked が「ひらめいた瞬間」を言うのに対し、Come to think of it は「改めて考えて思い出した」ことを示します。
| 表現 | 気づき方 | 使う場面 |
|---|---|---|
| Something just clicked. | 急にひらめく | 答えが一気につながったとき |
| Come to think of it, ~ | 考えて思い出す | 話を振られて思い当たったとき |
最後のクレアの which is why ~ は「だから〜なのだ」と、直前の内容を理由にして結論を導く関係詞の使い方です。ひらめきと記憶が合わさって、グロリアの落ち込みの理由にたどり着く順序が分かります。
まとめ|ひらめきと思い出しを言い分ける英語
急に合点がいく Something just clicked. と、考えて思い出す Come to think of it, の違いを見てきました。feel left out や which is why ~ を添えると、気づいた理由まで伝えられます。
『モダンファミリー』を観ながら、家族の気づきの瞬間を追ってみるのも一つの楽しみ方です。
同じ回のほかのコラムでは、失敗を怖がる息子への励ましの英語や、独立記念日のパレードの文化も取り上げています。


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