「Did we go a tiny bit overboard?」に見る、買い手の好みに合わせすぎて引かれてしまうときの英語表現|『モダンファミリー』S04E20で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「Did we go a tiny bit overboard?」に見る、買い手の好みに合わせすぎて引かれてしまうときの英語表現|『モダンファミリー』S04E20で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン4第20話では、売りに出した家に興味を示した若い買い手ザックのために、ヘイリーが彼の好みを細かく調べ上げ、家族は限られた時間で内見の準備を整えます。ところが、その念入りな準備が思わぬ方向に転がっていきます。

相手の心をつかむための作戦の言い方から、うっかり口を滑らせた場面、そして「やりすぎた?」と認める一言まで、順に見ていきます。

目次

「You get to ~ through …」で攻略の糸口を語る

内見を前に、ヘイリーはザックについてSNSを一通り調べた結果を話し始めます。挙がった好みを聞いて、クレアが感想を口にします。

Claire: He sounds like a frat boy.
(なんだか大学の社交クラブの男子学生みたいね。)

Haley: Oh, he’s many things.
(いやいや、それだけの人じゃないって。)

Haley: He meditates, he loves Indian food, and he’s crazy about his dog Otis.
(瞑想もするし、インド料理が大好きだし、飼い犬のオーティスにメロメロなの。)

Haley: Does the house have a doggie door?
(あの家って、犬用の出入り口ある?)

— No.
(ないよ。)

— No.
(ない。)

Haley: Put one in.
(つけて。)

Haley: You get to Barbie through Otis.
(バービーの心をつかむなら、オーティスからよ。)

Modern Family Season4 Episode20 (Flip Flop)

frat boy は、アメリカの大学にある男子学生の社交クラブ(fraternity)のメンバーを指す口語です。にぎやかに遊ぶ学生のイメージで語られることが多く、クレアの一言にもそうした決めつけがにじみます。ヘイリーの he’s many things は「彼はいろいろな面を持っている」と、一面的な見方をやんわり打ち消す言い方です。

be crazy about ~ は「〜に夢中だ」、Put one in. の one は doggie door を指し、「1つ取りつけて」という意味です。最後の You get to A through B は「Aの心をつかむにはBを通じて」という型で、Barbie はザックの姓です。相手の大事なものから攻めるという、作戦会議らしい言い回しと言えます。

ヘイリーの話を受けて、家族は好みに合わせて家を整える方向に動きます。調べた情報を「どう使うか」を相談する場面で、get to ~ の「〜にたどり着く」という基本の意味が、人の心に近づく意味へと広がっているのが分かります。

  • A: How do I get her to like me?
    (どうしたら彼女に気に入ってもらえるかな?)
  • B: You get to her through her cat. She loves that cat.
    (彼女の心をつかむなら猫からだよ。あの猫が大好きだから。)

「How do you know ~?」と口を滑らせた一言

内見の場面で、ザックは家をすっかり気に入った様子を見せます。そこで出たのが、調べた情報をうっかり口にしてしまう一言でした。

Zack: You know, this is probably not gonna help my negotiating power, but I kinda can’t believe how perfect this house is.
(あのさ、交渉では不利になるだろうけど、この家、ちょっと信じられないくらい完璧だよ。)

Cameron: And how much is little Otis gonna enjoy this doggie door?
(それに、この犬用ドア、オーティスもさぞ気に入るだろうな。)

Zack: How do you know my dog’s name?
(なんで僕の犬の名前を知ってるの?)

Cameron: I don’t.
(知らないよ。)

Zack: Yeah, you do.
(いや、知ってるでしょ。)

Zack: You just said “Otis.
(今「オーティス」って言ったじゃん。)

Mitchell: No.
(違うよ。)

Mitchell: No, no, he said, “oh, dis doggie door would be perfect for your dog” Should you own one.
(いやいや、彼は「おお、この犬用ドアは君の犬にぴったりだ」って言ったんだよ。犬を飼ってたらの話だけど。)

Modern Family Season4 Episode20 (Flip Flop)

ザックの this is probably not gonna help my negotiating power, but ~ は、「交渉上は不利になるだろうけど」と前置きして本音を言う形です。値段の交渉を控えた買い手が、思わず「完璧だ」と認めてしまう正直さが伝わってきます。

キャメロンが犬の名前を出したとたん、ザックは How do you know ~?(どうして〜を知っているの?)と問い返し、You just said ~.(今〜と言ったよね)と念を押します。相手の言い逃れを封じる、簡潔で強い組み合わせです。

ミッチェルは、Otis を「oh, this」をくずした音に聞き間違えたことにしようとし、should you own one(もし飼っているなら)と付け足します。この should は「もし〜なら」の仮定を表す、少し改まった用法です。苦しい言い繕いを、少し改まった文法で締めているところに、この場面のおかしさがあります。

  • A: How do you know my name?
    (どうして私の名前を知ってるの?)
  • B: You just said it a minute ago.
    (さっき自分で言ってたよ。)

「freaking me out」と「go overboard」

さらに誕生日の話まで出たところで、ザックははっきりと引いてしまいます。

Zack: This is weird! It’s totally weird.
(変だよ! 完全に変だ。)

Zack: Okay, the Blackhawks, you know my birthday, and you know my dog’s name.
(いい? ブラックホークスに、僕の誕生日、それに犬の名前まで知ってる。)

Zack: You guys are freaking me out.
(なんか怖いよ、あなたたち。)

Claire: Okay, wait a second.
(ちょっと待って。)

Claire: We poured our hearts into this house, and we just wanted to show you what it would be like if you were living here.
(私たち、この家に心を注いだの。あなたがここに住んだらどんな感じか、見せたかっただけなのよ。)

Claire: Did we go a tiny bit overboard?
(ちょっとだけ、やりすぎちゃった?)

Modern Family Season4 Episode20 (Flip Flop)

freak ~ out は「〜を怖がらせる、ぎょっとさせる」という口語で、You guys are freaking me out. は「あなたたち、なんだか気味が悪い」に近い響きです。

クレアは家への思いを説明したうえで、Did we go a tiny bit overboard? と尋ねます。go overboard は「やりすぎる、度を越す」という意味で、a tiny bit を添えることで「ほんの少しだけ」と控えめに認める言い方になります。本当は大きくやりすぎていても、a tiny bit や a little を添えると、自分の非を軽く認めて場を和らげる響きになります。

  • A: Did I go a little overboard with the decorations?
    (飾りつけ、ちょっとやりすぎたかな?)
  • B: Maybe just a little.
    (少しだけね。)

内見がうまくいかなかったあと、こんな言葉が出ます。

— We should sell it that way, okay? No more tricks.
(その良さのとおりに売ろう、いいね? 小細工はもうなし。)

Modern Family Season4 Episode20 (Flip Flop)

No more ~. は「〜はもうやめ」と区切りをつける形です。直前には、この家は誠実に建てられた良い家だという言葉もあり、相手に合わせ込む作戦から一歩引く流れが読み取れます。

表現 場面での働き
You get to A through B. Aの心をつかむ糸口を示す
this is probably not gonna help ~, but 不利を承知で本音を言う
How do you know ~? / You just said ~. 口を滑らせたことを突く
You’re freaking me out. 相手に引いていると伝える
go a tiny bit overboard やりすぎを控えめに認める

まとめ|合わせ込みの作戦と、その引き際

You get to A through B の作戦から、How do you know ~? で突かれた口の滑り、freaking me out と go a tiny bit overboard まで、準備が裏目に出る流れを追いました。相手を喜ばせたい気持ちが強いほど、やりすぎに気づく一言が大切になることが分かります。

『モダンファミリー』を観ながら、家族の作戦会議の英語にも耳を傾けていきましょう。

同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、買い値の交渉や家族の本音の英語も取り上げています。

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