海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ただでもらえると思ったものに、あとから条件がついてくることがあります。そんなとき、英語は「値段がついてくる」という、少し大げさな言い方を使います。
その表現である「come with a price」を、『モダンファミリー』シーズン8第17話の中盤、ジェイがミッチェルに交換条件を持ちかける場面から、一緒に見ていきましょう。
「come with a price」の意味とニュアンス
come with a price
意味:ただでは済まない、代償が伴う、見返りが必要だ
come with a price は、何かを手に入れるのに、代償や条件がついてくることを表す表現です。come with は「〜が付いてくる」という付属を表す言い方で、price は「値段」のほかに「代償」の意味でも使われます。つなげると、「代償が付いてくる」という意味になります。
主語に来るのは、手に入るもの、得られるものです。Fame comes with a price. なら「名声には代償がつく」、This comes with a price. なら「これには条件がつく」です。主語が三人称単数のときは、comes と s が付きます。
price の中身は、お金とは限りません。時間、労力、プライバシー、犠牲、交換条件のように、得るために差し出さなければならないものなら何でも指せます。a price と不定冠詞が付くのは、中身を特定せず、「何らかの代償」と幅を持たせて言っているからで、中身は次の文で説明するのが自然な流れです。
日本語にするときは、「ただじゃない」「代償がある」「条件つきだ」「ただでは済まない」のように、場面に合わせて選びます。「値段がついてくる」という直訳のままだと、買い物の話に聞こえてしまいます。
【ここがポイント!】
- 「come with a price」の核は、得るものに値段や条件が付いてくること
- 主語は得るもので、price の中身はお金とは限らない
- a price は中身を特定しない言い方で、あとから中身を続けられる
『モダンファミリー』S08E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルがスクラップブックを見つけ、ジェイと言葉を交わす場面です。ミッチェルが中にある品をほしがると、ジェイは「待て待て」と止めて、ただではやらないと条件を出します。条件の中身は、歌手のグロリア・エステファンのチケットです。「comes with a price」は、ジェイのひと言で使われています。
Mitchell: Aww! You’re just a big softie, aren’t ‘cha?
(わあ! 父さんって、根は優しいんだね?)Jay: My lawyer’s secretary put that together for my image at the divorce trial.
(弁護士の秘書がまとめたんだ。離婚裁判のとき、俺のイメージのためにな。)Mitchell: You know what? I need this. Cam thinks I look down on his farm life. This’ll prove to him that
(ねえ、これ、もらうよ。キャムは、僕が彼の農場暮らしを見下してると思ってるんだ。これを見せれば、彼に)Jay: Bup, bup, bup. This comes with a price. You can get me Gloria Estefan tickets, right?
(おっと、待て待て。ただじゃやれんぞ。グロリア・エステファンのチケットを手に入れてくれるよな?)Modern Family Season8 Episode17 (Pig Moon Rising)
シーン解説と心理考察
最初のミッチェルの台詞にある softie は、「根は優しい人、情にもろい人」を指すくだけた言い方です。aren’t ‘cha? は aren’t you? の発音を、そのまま綴った形で、文末に付けて相手の同意を求める付加疑問になっています。
ジェイの返事の that は、ミッチェルが見つけたスクラップブックを指します。put together は「まとめる、作り上げる」、image は「印象、イメージ」です。ミッチェルの「根は優しい」という見方に対して、ジェイは、人柄ではなく、離婚裁判での印象づくりのために弁護士の秘書が作ったものだ、と事情を説明して返しています。
次のミッチェルの台詞では、I need this. の this が、スクラップブックの中の品を指します。look down on は「見下す」、Cam はキャメロンの愛称で、ミッチェルの台詞の中で使われている呼び名です。ミッチェルは、キャメロンの農場暮らしを自分が見下している、とキャメロンに思われている、と話します。This’ll prove to him that の This’ll は This will の短縮で、prove to him は「彼に示す」です。that のあとは言い切られず、ここでジェイの声が入ります。
ジェイの Bup, bup, bup. は、「おっと、待て待て」と相手を止める声です。続く This comes with a price. の This は、ミッチェルがその品をもらうことを受けています。「これをもらうこと」に値段がつく、という言い方で、ただではやらないという意思を短く伝えています。
その次の You can get me Gloria Estefan tickets, right? が、price の中身です。get me tickets は、get + 人 + 物の形で「私にチケットを手に入れてくれる」、right? は「〜だよな?」と確認する付加の問いです。ここでの代償は、お金ではなく用事です。
ジェイは、a price とだけ告げて中身を伏せ、次の文で条件を明かします。予告のあとに中身を示す二段構えなので、「代償がある」と聞いた側は、続きの言葉を待つことになります。ミッチェルは、キャメロンに何かを示すために、その品をほしがっています。その品を渡すかわりに、ジェイは用事を一つ求めています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
商品に値札が付いてくる様子を、思い浮かべてみましょう。うまい話だと思って手に取ったものに、よく見ると値札が付いている。その値札が、代償や条件に当たります。come with は「付いてくる」ですから、手に入れたものに、値札まで一緒に付いてくる形です。
ジェイの台詞で言えば、This が、ミッチェルがもらおうとしている品です。その品に、a price という値札が付いています。値札の中身は、次の文で明かされる、チケットを手に入れるという用事でした。
覚えるときは、「得るもの + comes with a price」の骨組みで、主語の部分だけを入れ替えて言います。Fame、This、The job のように入れ替えて口に出せば、何についても「代償がつく」と言えるようになります。
例文で覚える「come with a price」
名声の代償、車を貸す条件、格安航空券の落とし穴を並べた、3つの例文です。
Fame comes with a price. You lose your privacy.
(名声には代償がつきものだ。プライバシーを失う。)
有名になることの代償を語る場面です。a price の中身を、次の文で具体的に示しています。
A: Can I borrow your car this weekend?
B: Sure, but it comes with a price. You’re washing it.
(A:今週末、車を借りてもいい?)
(B:いいよ、でも条件つきだよ。洗車してね。)
貸す代わりに頼みごとをする場面です。it は、車を貸すことを受けていて、条件の中身は洗車という用事です。
That cheap flight comes with a price: a ten-hour layover.
(その安い航空券には代償がある。10時間の乗り継ぎ待ちだ。)
安さの裏にある条件に気づく場面です。コロン(:)のあとに、代償の中身を置いています。
あわせて覚えたい関連表現
strings attached
(ひもつきの条件、裏の条件)
strings attached は、申し出に付いている条件を指す名詞表現です。no strings attached と言えば、条件なしという意味になります。come with a price が「代償がつく」と動詞で言い切る形なのに対し、こちらは条件そのものを名詞でさし示します。
at a cost
(犠牲を払って、代償をともなって)
at a cost は、何かを犠牲にして、という前置詞のかたまりです。come with a price が「これには代償がつく」と主語を立てて言うのに対し、at a cost は、文の後ろに添えて、結果にかかる犠牲を示します。
there’s no such thing as a free lunch
(ただの昼食などない、うまい話にはタダがない)
there’s no such thing as a free lunch は、一般論を述べることわざ的な言い方です。come with a price が目の前の具体的な物事に条件がつくと示すのに対し、こちらはどんな場面にも当てはまる言い方をします。
Note|「値段がついてくる」と直訳しない。come with a price の price が指すもの
come with a price を直訳すると、「値段がついてくる」です。この訳のままだと、買い物の話に聞こえてしまうので、price が何を指しているのかを、場面ごとに確かめておきます。
price には、文字どおりの「値段」と、比喩としての「代償、条件」の2つの層があります。名声に付く代償はプライバシー、安い航空券に付く代償は乗り継ぎの待ち時間、ジェイの台詞に付く代償は用事、というように、比喩の層ではお金以外のものが price になります。
冠詞にも違いがあります。a price は、中身を特定しない「何らかの代償」です。the price と言えば、すでに話題になっている特定の代償を指します。ジェイは a price と言って、条件の中身をこれから明かす形にしており、The price is … なら、中身がすでに決まっている言い方になります。
訳し分けは、場面で決めます。得るために差し出すものが条件なら「条件つきだ」、失うものがあるなら「代償がある」、ただでは渡さないなら「ただじゃやれない」と、price の中身に合わせて選びます。
まとめ|得るものに付いてくる値札の中身を見る
come with a price は、何かを得るのに、代償や条件が付いてくることを表す表現です。主語に得るものを置き、price の中身はお金とは限りません。
ジェイは、ミッチェルがほしがる品を前に、Bup, bup, bup. と止めてから、This comes with a price. と告げ、You can get me Gloria Estefan tickets, right? と条件を示しました。a price で予告し、次の文で中身を明かす二段構えが、この会話の形です。
うまい話を前にしたとき、This comes with a price. の一言が、条件を確かめる合図になります。


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