海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
発表や面接を終えて、思った以上にうまくいった。その手応えを、長々と説明せずに一言で伝えたくなることはありませんか。
そんな報告にぴったりの「crush it」を、『モダンファミリー』シーズン10第3話の後半、小学校に入ったばかりのジョーが、初日の出来を得意げに話す場面から、一緒に見ていきましょう。
「crush it」の意味とニュアンス
crush it
意味:大成功する、完璧にやってのける
crush itは、課題や試験、発表、勝負などを、余裕をもって、あるいは圧倒的な出来で成し遂げたことを表す口語表現です。crushは「押しつぶす」という意味の動詞で、直訳すると「それを押しつぶした」になります。手ごわいものをぺしゃんこにしてしまうような、勢いのある達成感がこもります。名詞のcrushが「片思い」を表すのとは別物で、crush itは動詞crushにitが付いた形です。くだけた口語なので、かしこまった報告書の文面よりも、会話や気軽なメッセージで使う表現です。
itは、特定の物を指しているわけではなく、そのときの課題や出番を漠然と受けています。面接なら面接、プレゼンならプレゼンのことです。どの場面を指すのかは、前後の文脈から決まります。決まった目的語がないので、さまざまな場面に当てはめやすい点も便利です。過去形のcrushed itは「ばっちり決めた」「大成功だった」という結果の報告になり、原形のcrush itは「これから大成功させる」という本番への励ましになります。くだけた場面で使う言い方で、カジュアルな会話に向いています。
【ここがポイント!】
- 「crush it」の核は、課題を圧倒的な出来で片づけてしまう勢いのある達成感
- itは決まった物ではなく、その場の課題や出番を漠然と受ける
- 過去形なら結果の報告、原形なら本番への励ましと、形で働きが変わる
『モダンファミリー』S10E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジョーが「ばっちり決めたぜ! 初日なんて、クールなやつには楽勝だぜ」と報告します。クレアはその直前まで、自分の一日の出来事を並べていました。クレアが「ふうん」と短く返すと、ジョーはコナー・Bという子のお昼の話に移ります。続いてクレアが「ああ、もう!」と声を上げます。
Joe: Crushed it! First days are easy when you’re cool.
(ばっちり決めたぜ! 初日なんて、クールなやつには楽勝だぜ。)Claire: Uh-huh.
(ふうん。)Joe: I do feel bad for Conner B. He brought stinky egg salad for lunch. He’s gonna have to eat with the nurse.
(コナー・B のことは本当に気の毒だよ。くさいエッグサラダをお昼に持ってきたんだ。保健の先生と食べることになるよ。)Claire: Oh, God!
(ああ、もう!)Modern Family Season10 Episode3 (A Sketchy Area)
シーン解説と心理考察
「クールなやつには楽勝」という言い方に、ジョーの得意げな調子が表れています。自分の初日の出来を、説明よりも先に結果から言い切る報告です。you’re coolのyouは特定の誰かではなく、「クールな人」を一般的に指しています。
Crushed it!は、主語も説明も省いて結果だけを置いた形です。itにあたるのは、直後のfirst daysが指す初日の出来です。感嘆符つきで言い切ることで、どんな一日だったかを説明しなくても、うまくいったことがすぐに伝わります。
クレアの返事は「ふうん」の一言で、ジョーの話はそのまま次の話題に進みます。コナー・Bのお昼の話は、くさいエッグサラダを持ってきたために保健の先生と食べることになる、という内容です。ジョーが自分の成功を語ったすぐあとに、別の子の昼食の話題が続く流れになっています。クレアの「ふうん」は短い相づちで、ジョーの話に多くを返していません。ジョーの話がひと区切りついたところで、クレアは「ああ、もう!」と声を上げます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
空き缶を足でぺしゃんこに踏みつぶす動作を、絵にしてみましょう。crushは「押しつぶす」、itは目の前の課題です。ぺしゃんこになったのは、その日の課題のほうです。
ジョーが「Crushed it!」と言い切ったときも、つぶしたのは初日という大きな出来事でした。足を下ろしてぐしゃっと音がした瞬間に、課題はもう片づいている、という手応えが言葉の勢いになっています。力任せというより、軽々と片づけた感じが残るところも、ジョーの「楽勝」という言葉と重なります。つぶす動作とその軽い達成感をセットにしておくと、crushed itが「大成功だった」という報告に使われる理由が、すっと思い出せます。つぶす対象を決めるのはitなので、場面ごとに絵を入れ替えて使えます。
例文で覚える「crush it」
結果を報告する場面を、仕事、同僚への称賛、会話の3つで確認します。
I crushed it at the interview this morning.
(今朝の面接はバッチリ決まった。)
面接のあとに結果を報告する場面です。atのあとに場面を添えると、何をやってのけたのかが伝わります。
She really crushed it in her presentation.
(彼女はプレゼンで本当に見事にやってのけた。)
同僚の成果を褒める場面です。reallyが、出来の良さを強めています。ほめる側に回るときは、主語をsheやheに替えるだけです。
A: How was your first day?
B: I crushed it! Everyone was so nice.
(A:初日はどうだった?)
(B:大成功だったよ! みんなすごく親切だった。)
新しい環境の報告をする場面です。結果を先に言い切り、あとから様子を足す順になっています。
あわせて覚えたい関連表現
nail it
(ピタリと決める)
nail itは、狙いどおりに正確に決めることに重点があります。crush itは、圧倒的な出来の勢いに重点があります。
ace it
(満点で乗り切る)
ace itは、試験や課題で高得点を取るイメージが強い言い方です。crush itは、発表や仕事、勝負など、そのほかの場面にも広く使えます。
kill it
(ばっちりやってのける)
kill itも口語で、crush itに近い意味で使われます。どちらも勢いのある言い方で、ほめるときや報告するときに向いています。nail it、ace it、kill it、crush itは、どれも「うまくやった」を口語で言う仲間で、場面と勢いで選び分けます。
Note|crush itの二つの形、結果を報告する過去形と本番へ送り出す原形
crush itは、形によって働きが変わります。過去形のcrushed itは結果の報告、原形のcrush itは励ましです。
過去形は、ジョーのCrushed it!のように、結果を短く報告する形です。この台詞は主語のIを省いた短い言い方で、会話の中で結果だけを先に言い切るときに収まりがよくなります。場面を添えたいときは、atやinを後ろに置いて、I crushed it at the interview.のように言います。原形は、Go out there and crush it!のように、まだ起きていない本番へ送り出す励ましになります。これからやってのけてこい、という響きです。また、You’re gonna crush it.のように、予想を言う形にも使えます。どの形でもitは同じで、変わるのは動詞crushの時制や、前後に置く語だけです。結果を数字や言葉で足したいときは、I crushed it and got a perfect score.のように、andで文をつなげられます。
ジョーのCrushed it!は、このうち過去形の報告にあたります。結果を先に言い切る形なので、理由や中身は続く文で足すのが自然です。
報告なら過去形、応援なら原形。形を切り替えるだけで、場面に合わせて使えます。
まとめ|「Crushed it!」と言い切る一言
crush itは、課題や出番を圧倒的な出来で成し遂げたことを表す口語表現です。過去形なら結果の報告、原形なら本番への励ましに使えます。
面接や発表のあと、新しい環境での一日を終えたあとなど、うまくいった手応えを短く伝えたい場面で働きます。説明を長くしなくても、勢いのある一言で結果が伝わります。報告に使うときは、そのあとに続く一文で中身を足すと、会話が自然につながります。I crushed it.と短く言うだけでも、手応えの大きさは十分に伝わります。
自分の初日をばっちりだと言い切ったジョーの得意げな一言を、そのまま英語の表現として持ち帰れる場面でした。


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