海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ちょっと試すだけのつもりだったのに、気づいたら手放したくなくなっていた、という経験はありませんか。
そんな気持ちの動きを表す「fall in love with」を、『モダンファミリー』シーズン6第19話の前半、ジェイが借りている車についてマニーとやり取りするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「fall in love with」の意味とニュアンス
fall in love with
意味:〜が大好きになる、〜にほれ込む
fall in love with は、ある対象を好きになっていく変化を表す表現です。fall は「落ちる」、in love は「愛情の中にいる」という意味で、気づかないうちにその状態へ入り込んでしまう感覚が組み合わさっています。with のあとには、対象となる人や物、場所、活動が続きます。
対象は恋愛の相手に限られません。旅先の街、住みはじめた部屋、始めたばかりの趣味、気に入った一台の車など、強く心を引かれたものなら幅広く置くことができます。「好きになった」という変化そのものに重点がある点が、この表現の特徴です。
過去の出来事として語るときは I fell in love with 〜 の形になります。すでに好きな状態が続いていることを言いたいときは、be in love with 〜 が対応します。変化の瞬間を言うのが fall in love with、今の状態を言うのが be in love with という関係です。会話では、好きになったきっかけを添えるときに fall in love with、好きな気持ちの深さを言うときに be in love with と選ぶと、意図がはっきり伝わります。
【ここがポイント!】
- 「fall in love with」の核は、気づけば好きになっている変化の感覚
- 人だけでなく、物・場所・活動にも使える幅の広さが持ち味
- 好きになった瞬間は fall、今の状態は be in love with と分けて覚えるのがコツ
『モダンファミリー』S06E19のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
マニーが、ジェイに「誕生日プレゼントなのか、遅れてきた中年の危機なのか」と尋ねるところから会話が始まります。ジェイは、その車は借りているだけで、週末いっぱいの試乗のようなものだと説明します。続くセリフで、ジェイが車のセールスの手口を語るときに fall in love with が登場します。
Manny: So, is that a birthday present for you or an extremely late midlife crisis?
(それって誕生日プレゼントなの? それとも、だいぶ遅れてやって来た中年の危機?)Jay: I don’t think “extremely” is necessary. It’s on loan kind of a weekend-long test drive.
(「だいぶ」は余計だろ。借りてるだけだ。週末いっぱいの試乗みたいなもんだ。)Manny: Wow. I walk into a store, they make me leave my backpack behind the counter.
(うわ。僕が店に入ると、リュックをカウンターの奥に預けさせられるのに。)Jay: It’s an old car salesman’s trick. They’re hoping I’d fall in love with it and never give it back. But I can’t justify buying it any more than you can justify that hat.
(昔ながらの車のセールスマンの手口だ。こっちがその車にほれ込んで、返したくなくなるのを狙ってるんだよ。だが、これを買う理由が付けられないのは、お前がその帽子に理由を付けられないのと同じだ。)Modern Family Season6 Episode19 (Grill, Interrupted)
シーン解説と心理考察
マニーの最初の問いは、からかい半分の探りです。贈り物なのか中年の危機なのかと二択で聞いてくるところに、年齢のわりに落ち着いたマニーの物言いがにじみます。ジェイは「だいぶ」の一語だけを取り上げて訂正し、そのうえで借りているだけだと線を引きます。買ったのではないと最初に言葉にしておきたい様子が伝わります。
マニーが自分の買い物の経験を持ち出すと、ジェイは車のセールスマンの手口の話に移ります。店側は、客が試乗した車にほれ込んで、返したくなくなることを狙っている、という説明です。ここで使われる fall in love with の対象は恋人ではなく車で、「気持ちを持っていかれる」という変化の意味がそのまま通ります。
ジェイは、自分はその手に乗らないと言い切りません。買う理由が付けられないという立場を示し、マニーが「その帽子」に理由を付けられないことと並べます。手口をよく知っているという余裕と、買うところまでは踏み込めない事情の両方が、同じ一言に重なって響きます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
fall は「落ちる」なので、坂道をころころと転がって、気づいたときには穴の底にいる場面を思い浮かべてみましょう。自分で飛び込むのではなく、うっかり転がり落ちてしまう感じが、「ほれ込んでしまう」という不意の変化にぴったり重なります。
ジェイの言葉に出てきた車のセールスマンの手口も、この絵で見ると分かりやすくなります。試乗という緩やかな坂道に客を乗せて、気づかないうちに好きの穴へ落とす、という筋書きです。落ちてしまえば「返したくない」となる、と続けて覚えておくと、fall in love with の後ろにくる気持ちの変化まで一緒に思い出せます。会話で使うときも、まず対象を思い浮かべて、その対象に転がり落ちる場面を想像してから口にすると、自然な位置に with が入ります。
例文で覚える「fall in love with」
人以外の対象にも使えるところを中心に、3つの例文で使い方を確認していきましょう。
I fell in love with this little café the moment I walked in.
(入った瞬間、この小さなカフェが大好きになったんだ。)
お気に入りの店との出会いを友人に話す場面です。the moment I walked in と添えると、好きになった瞬間の早さが伝わります。細かい理由を並べなくても、この一文だけで気持ちの強さが伝わるのが利点です。
She fell in love with Kyoto during her first trip and moved there a year later.
(彼女は初めての旅行で京都が大好きになって、1年後にそこへ引っ越したんだ。)
ある土地への思い入れを、その後の行動までつなげて語る場面です。過去形で経緯を語ると、好きになったきっかけが自然に伝わります。
A: Did you like the apartment?
B: Honestly, I fell in love with the kitchen.
(A:あの部屋、気に入った?)
(B:正直、キッチンにほれ込んだよ。)
部屋探しの感想を伝え合う会話です。部屋全体ではなく一部分に対しても使える点が、この例文で確認できます。
あわせて覚えたい関連表現
be crazy about
(〜に夢中だ、〜が大好きだ)
fall in love with が好きになる変化の瞬間に重点があるのに対し、be crazy about は今その対象に夢中になっている状態を表します。
take a liking to
(〜を気に入る、〜に好感を持つ)
take a liking to は穏やかに「好感を持つ」程度の表現で、fall in love with のほうが気持ちの強さは上です。
fall for
(〜にほれる、〜にだまされる)
fall for も「ほれる」の意味で使えますが、話や策略に「だまされる」意味も持ちます。fall in love with は好きになる意味に限られる点が違いです。
Note|「恋に落ちる」と訳すと恋愛限定に読めてしまう理由と、fall in love with の対象の広がり
fall in love with は、「〜と恋に落ちる」と訳されることがよくあります。
この訳をそのまま頭に入れると、fall in love with は恋愛の相手に対してだけ使う表現に見えてしまいます。日本語の「恋に落ちる」は、人を相手にした場面で使う言葉として響きやすいからです。一方、fall in love with に続く対象は、今回のシーンの車のほか、街、料理、音楽、本、仕事のやり方など、人以外のものを置くこともできます。日本語でいえば「〜に夢中になる」「〜が大好きになる」「〜にほれ込む」のほうが、対象の広さに近い訳です。like よりも強く、be crazy about と並べれば変化の瞬間に重点がある、と整理すると位置づけも見えてきます。
つまり、fall in love with は「人への恋」と決めつけず、「心を強くつかまれる変化」全般を表す表現として持っておくと使い道が広がります。ジェイの一言も、その広さがそのまま出た用例です。
「恋に落ちる」を、好きなものとの出会いの言葉に広げてみましょう。
まとめ|返したくなくなるまでが、試乗の狙い
fall in love with は、対象を好きになっていく変化の瞬間を表す表現です。人にも物にも場所にも使えるところが、この表現の持ち味です。
好きなカフェを見つけたとき、旅先の街に心をつかまれたとき、部屋のキッチンが決め手になったときなど、日常の「気に入った」を一段強く伝えたい場面で活躍します。言い切る形で使えば、気持ちの強さを短く伝えられます。
ジェイが語った車のセールスマンの手口は、返したくなくなるまでが狙いという内容でした。買う理由は付けられないと言いながらも、その手口の中身をよく知っているところに、ジェイらしい抜け目のなさが漂っていました。


コメント