海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
うっかりしたミスで、思いがけない困りごとを抱えてしまった経験はありませんか。
そんな窮地を表す「in a jam」を、『モダンファミリー』シーズン4第21話の中盤、リリー宛てに届いた歯の妖精の手紙をきっかけに、ミッチェルが語りかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「in a jam」の意味とニュアンス
in a jam
意味:困った状況にいる、窮地に立たされている
in a jam は、思いがけない問題に巻き込まれて、自力では抜け出しにくい状態にいることを表す表現です。jam は「詰まって動けない状態」を指す名詞で、traffic jam(交通渋滞)や paper jam(紙詰まり)と同じ語です。物が詰まって動かなくなる様子が、困った状況で身動きが取れない様子の比喩になっています。食べ物のジャムを思い浮かべる必要はありません。
形は be in a jam が基本で、「陥る」なら get into a jam、「抜け出す」なら get out of a jam と動詞を入れ替えます。お金・時間・人間関係など、困りごとの種類は選びません。財布を忘れて支払いに困ったときにも、仕事の締め切りに追われているときにも使える表現です。
意味が近い in trouble と比べると、in trouble には問題を抱えた状態のほかに、叱られる・罰を受ける立場も当てはまります。in a jam は、抜け出しにくい状況そのものに重点があり、責められる相手が背景に立つとは限りません。状況を伝える言い方として、会話の中で軽く使えます。
自分の困りごとを言うだけでなく、相手に声をかける場面でも使えます。If you’re ever in a jam, just give me a call.(困ったことがあったら、いつでも電話して)のように、「困ったときは頼ってほしい」という申し出の形にできます。相手の状況を気づかう言い方としても働く、幅のある表現です。
【ここがポイント!】
- 核は、詰まって動けない状態から来る「抜け出しにくい困りごと」のイメージ
- be in / get into / get out of と動詞を替えて、困りごとの段階を言い分けられる
- in trouble と違い、状況そのものに重点があり、責められる意味は前に出ない
『モダンファミリー』S04E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
リリー宛てに、歯の妖精からの手紙が届いた場面です。リリーは自分では読めません。文面が読み上げられ、歯の妖精が100ドルを間違えて渡しすぎたと伝える内容だと分かったあと、ミッチェルが「歯の妖精さん、本当に困ってるみたいだね」と口にするところが見せ場です。
Lily: Let me see that. I can’t read.
(それ見せて。よめない。)Mitchell: Uh, well, it sounds like she’s really in a jam. And I think we’re gonna have to give the tooth fairy her $100 back.
(ええと、その、歯の妖精さん、本当に困ってるみたいだね。それで、僕たちは歯の妖精に100ドルを返さなきゃいけないと思うんだ。)— Mm-hmm.
(うん。)Lily: No! I wanna keep it.
(やだ! 持っとく。)Modern Family Season4 Episode21 (Career Day)
シーン解説と心理考察
リリーの「Let me see that. I can’t read.」は、手紙を自分の目で確かめたいのに、文字が読めないという、短い2文の訴えです。読み上げられた手紙の内容を知ったうえで、それでも自分で見てみたいという気持ちが、素直な言葉になって出ています。
そこへミッチェルが、「Uh, well」と前置きを挟んで話し始めます。「it sounds like she’s really in a jam」の sounds like は、手紙の内容から判断した様子を述べる言い方で、really が困りごとの大きさを強めています。歯の妖精を、金額を間違えて困っている相手として位置づけたうえで、「だから100ドルを返さなきゃいけない」と話を進めるのが、この一言の役目です。give the tooth fairy her $100 back と、give のあとに相手と物を並べ、最後に back を置く形も使われています。
ミッチェルの発言は、前半で妖精の状況を述べ、後半で「返さなきゃいけない」という結論を述べる2つの文でできています。状況を先に示し、結論をあとに置く順序なので、なぜ返す必要があるのかが、1つの流れで伝わります。in a jam は、その理由の部分を受け持つ言葉です。
間に相づちの一言が挟まったあと、リリーは「No!」と答えます。「I wanna keep it.」と、100ドルを手元に置いておきたいと、はっきり言い切る返事です。妖精の困りごとよりも、もらったお金を手放したくないという気持ちが優先されていて、大人の言い分と子どもの言い分が正面からぶつかる流れになっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
交通渋滞で、前にも後ろにも車がびっしり詰まって動けない道路を思い浮かべてみましょう。ハンドルを握っていても、進むことも戻ることもできません。この「詰まって動けない」感覚が、in a jam の芯にあります。
ミッチェルが「歯の妖精さんは本当に困っているみたいだね」と言った場面を、渋滞にはまった妖精の姿として重ねてみると、形が頭に残ります。100ドルを間違えて渡したという困りごとを抱えて、自分では抜け出せない。その様子が、in a jam の一言に詰まっています。渋滞から抜け出す道を探す姿まで思い浮かべると、get out of a jam という形も自然に覚えられます。
例文で覚える「in a jam」
困った状況を打ち明ける場面で、3つの使い方を確認していきましょう。
I’m in a bit of a jam. Could you lend me your car for an hour?
(ちょっと困っていて。1時間だけ車を貸してもらえない?)
友人に頼み事をする日常の場面です。a bit of を挟むと、困りごとの度合いがやわらぎ、頼みやすい調子になります。
Our team is in a jam because the supplier delivered the wrong parts.
(仕入れ先が違う部品を納品したので、うちのチームは困った状況です。)
仕事のトラブルを上司に説明するビジネスの場面です。because のあとに原因を続けると、なぜ身動きが取れないのかまで一度に伝わります。
A: You look worried.
B: Yeah, I’m in a jam. I lost my train pass and I have an exam in an hour.
(A:心配そうだね。)
(B:うん、困ってるんだ。定期券をなくしたのに、1時間後に試験なんだ。)
困りごとを打ち明ける往復会話です。in a jam のあとに具体的な事情を続けると、相手が助けやすくなります。
あわせて覚えたい関連表現
in trouble
(困ったことになっている)
in a jam と近い意味ですが、in trouble は問題を抱えた状態のほかに、叱られる・罰を受ける立場にも当てはまります。in a jam は抜け出しにくい困りごとそのものに重点があります。
in a bind
(板挟みで困っている)
ほぼ同じ意味で使えます。in a bind は、選べる道が限られて動きにくい状況を思わせる言い方で、in a jam のほうが口語的で軽い響きがあります。
in hot water
(面倒な事態に陥っている)
叱られそうな状況や、厄介な事態に陥っている様子を表します。in hot water は責任や処分が関わる場面に向いていて、in a jam は事情を問わない困りごとに使える点が違います。
Note|be・get into・get out of で、困りごとの段階を言い分ける
in a jam は、組み合わせる動詞を替えることで、困りごとのどの段階を話しているのかを言い分けられる表現です。
すでにその状態にいるなら be in a jam です。I’m in a jam.(困っています)のように、いまの状況を述べます。そこに至る過程を言いたいときは get into a jam を使い、He got himself into a jam.(彼は自分で困った状況を招いた)のように、陥った出来事に焦点を当てます。逆に、抜け出す側の話なら get out of a jam です。We finally got out of the jam.(ようやく窮地を抜け出した)と言えば、困りごとが解決した場面を表せます。人を助ける話なら、help someone out of a jam(誰かを窮地から救う)の形になります。
程度をやわらげたいときは、a bit of a jam と a bit of を挟みます。ミッチェルの発言は、it sounds like she’s really in a jam と、be の形に sounds like を組み合わせ、really で困りごとの大きさを強めたものでした。
be、get into、get out of、help out of と動詞を並べると、困りごとの入り口から出口までを1本の流れとして言えるようになります。
まとめ|歯の妖精の「困った」が引き出した、リリーの一言
in a jam は、思いがけない問題に巻き込まれて、抜け出しにくい状況にいることを表す表現です。動詞を替えることで、陥る・抜け出す・助けると、困りごとの段階を言い分けられます。
友人に頼み事をするとき、仕事のトラブルを伝えるときに、「いま困っている」という状況をやわらかく切り出せる一言になります。
歯の妖精が困っていると受け止めるミッチェルの言葉に、リリーが「持っとく」と返した場面は、同じ困りごとでも立場によって受け止め方が変わることが見えるやり取りでした。会話のレパートリーに加えてみてください。


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