海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
本当はやってみたいことがあったのに、毎月の暮らしを考えて別の道を選んだ経験はありませんか。
そんな選択を語るときにぴったりの「make ends meet」を、『モダンファミリー』シーズン4第21話の前半、ジェイが自分の仕事についてグロリアやマニーに語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「make ends meet」の意味とニュアンス
make ends meet
意味:収入で支出をまかなう、なんとか暮らしていく
make ends meet は、入ってくるお金で出ていくお金をまかない、生活を成り立たせることを表す慣用表現です。ends は収入と支出という2つの「端」、meet は「合わさる」という意味で、2つの端をぴったり合わせて帳尻を取るイメージが、そのまま「やりくりして暮らす」という意味につながっています。
ends は複数形の形で固定されていて、make end meet のように単数にはしません。目的語を取らず、make ends meet だけで1つのまとまりとして働きます。「どうやって」を足したいときは、on a small salary(少ない給料で)や by working two jobs(仕事を2つ掛け持ちして)のように、後ろに手段や条件を続けます。
余裕のある暮らしを表す言葉ではありません。ぎりぎりでも支出に収入が届いている、という状態を指すので、「豊かに暮らす」とは向いている方向が違います。一方で、「なんとか足りている」という事実を淡々と述べる言い方でもあり、苦しさをどの程度出すかは、前後の言葉や話し手の口調で決まります。
【ここがポイント!】
- 核は、収入と支出という2つの端をぴったり合わせて、暮らしを成り立たせるイメージ
- ends は複数形で固定され、目的語を取らず1つのまとまりとして働く表現
- on a small salary や by working two jobs のように、手段や条件を後ろに続けるのがコツ
『モダンファミリー』S04E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイが、自分の仕事について語る場面です。マニーとグロリアも会話に加わっています。世界一わくわくする仕事ではないかもしれないと自分で認めたうえで、ジェイが「食っていかなきゃならなかった」と続けるところが見せ場です。その先で、話はジェイのやりたかったことへ移っていきます。
Jay: All right. Maybe it’s not the most exciting career in the world, but it pays the bills.
(まあいい。世界一わくわくする仕事じゃないかもしれんが、生活費は稼げる。)Gloria: No one is complaining.
(誰も文句なんて言ってないわよ。)Jay: Were there other things I’d rather do? Yes. But I had to make ends meet.
(ほかにやりたいことがあったかって? ああ、あった。だが、食っていかなきゃならなかった。)Manny: What other things?
(ほかにって、たとえば?)Jay: Well, I always wanted to write thrillers.
(まあ、ずっとスリラーを書きたかったんだ。)Gloria: Like that hat story?
(さっきの帽子の話みたいな?)Modern Family Season4 Episode21 (Career Day)
シーン解説と心理考察
最初に目を引くのは、ジェイが自分の仕事を「世界一わくわくする仕事ではないかもしれない」と、先に自分で認めている点です。続けて添えた「it pays the bills」は、仕事が請求書の支払いを引き受けてくれる、という言い方です。仕事を主語にして、生活費を稼げるという役割だけを述べています。
グロリアが「誰も文句なんて言ってない」と返すと、ジェイは「ほかにやりたいことはあったか。ああ、あった」と、自分で問いを立てて自分で答えます。その答えを結ぶのが「But I had to make ends meet.」です。ここでは主語が I になり、ジェイ自身が収支を合わせる立場として語られています。had to が付いているので、選びたくて選んだのではなく、選ばざるを得なかったという事情が伝わってきます。短く「Yes.」と自答する言い方や、飾りのない言い切りには、感傷を前に出さないジェイの語り口が表れています。
マニーが「What other things?」と尋ねると、ジェイは「ずっとスリラーを書きたかった」と打ち明けます。グロリアの「さっきの帽子の話みたいな?」は、直前に出た帽子の話を引き合いに出して、ジェイの「スリラー」を軽く茶化す一言です。仕事の話から夢の話へ、会話の向きが変わっていく流れが見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
左右の手を、目の前で向かい合わせに伸ばしてみましょう。片方の手が収入という端、もう片方の手が支出という端です。指先が触れ合えば「まかなえている」、届かなければ「足りない」と想像できます。ぎりぎりでも指先が触れているのが、make ends meet の感覚です。
ジェイの場面に重ねると、やりたかったことを脇に置いて、指先が届くほうの仕事を選んだ姿が浮かびます。「食っていかなきゃならなかった」という一言と、両手の指先を合わせる動きを一緒に思い出せば、形と意味がまとめて頭に残ります。
例文で覚える「make ends meet」
生活費をやりくりする話の中で、3つの場面を使い方の確認に使っていきましょう。
She works two part-time jobs to make ends meet.
(彼女は生活費をまかなうために、アルバイトを2つ掛け持ちしています。)
知人の暮らしぶりを話す場面です。to make ends meet と目的を表す不定詞で添えると、掛け持ちしている理由が1文で伝わります。
Many small shops are struggling to make ends meet this winter.
(今年の冬は、多くの小さなお店が経営のやりくりに苦労しています。)
地域の店の状況を伝えるビジネス寄りの場面です。struggle to を前に置くと、収支を合わせるのが大変だという度合いが出ます。
A: How did you get through your first year in the city?
B: I drove a delivery van at night just to make ends meet.
(A:この街での最初の1年は、どうやって乗り切ったの?)
(B:生活費をなんとかするために、夜は配達のバンを運転してたよ。)
移り住んだ先での苦労を振り返る会話です。just を添えると、生活のためだけに選んだ仕事だという含みが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
get by
(なんとか暮らしていく)
make ends meet と近い意味で使えます。get by はお金に限らず、「なんとか切り抜ける」という広い場面に使えるのに対し、make ends meet は収入で支出をまかなう家計の話に絞られます。
make a living
(生計を立てる)
仕事をして生活の糧を得ること自体を指します。make a living は稼ぐ行為に焦点があり、make ends meet は稼いだ収入で支出の帳尻を合わせられるかに焦点があります。
pay the bills
(請求書の支払いを済ませる)
ジェイが直前の発言で使っていた言い方です。pay the bills は支払いを済ませるという具体的な行為で、その結果として暮らしが成り立つ状態を指すのが make ends meet です。
Note|make ends meet の後ろに言葉を足すと、暮らしぶりの度合いが変わる
make ends meet は、単独でも意味が通じます。ただ、前後に言葉を足すと、暮らしぶりの度合いや、その選択の事情が変わります。
barely を前に置くと、「かろうじて」まかなえている状態になります。He barely makes ends meet.(彼はかろうじて暮らしている)のように、ぎりぎりの度合いを強めます。struggle to を付けると、「やりくりに苦労している」という意味で、まかなえるかどうかが安定していない様子を表せます。manage to を付ければ、苦労しながらも「なんとかまかなえた」という結果に焦点が移ります。help を使った help her make ends meet(彼女がやりくりするのを助ける)の形もあり、助ける側と助けられる側を分けて言えます。
ジェイの「I had to make ends meet.」は、had to を前に置いた形です。had to は「〜しなければならなかった」という義務や必要を表すので、「苦労している」という度合いではなく、「選ばざるを得なかった」という事情に焦点が当たります。barely と struggle to が暮らしの苦しさを描くのに対し、had to は選択の理由を描く、という違いです。
同じ make ends meet でも、前に置く言葉によって、苦しさを伝えるのか、事情を伝えるのかが変わります。
まとめ|ジェイの「食っていかなきゃならなかった」を英語で
make ends meet は、収入で支出をまかない、なんとか暮らしていくことを表す表現です。ends は複数形で固定され、目的語を取らずに使います。
暮らしの話をするときに、barely や struggle to を足せば苦しさを、had to を足せば選ばざるを得なかった事情を、それぞれ伝えられます。仕事を選んだ理由を語る場面や、生活費の話題の場面で役に立ちます。
やりたかったことを脇に置いて、暮らしを成り立たせる仕事を選んだと語るジェイの一言には、ぶっきらぼうな口調のなかに、その選択の重みがのぞいていました。表現の引き出しに加えてみてください。


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