海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
思っていた金額と大きく違う額を目の当たりにして、「相場はいくらなんだろう」と気になった経験はありませんか。
そんな場面で使える「going rate for」を、『モダンファミリー』シーズン4第21話の前半、リリーが歯の妖精から受け取った100ドルをめぐって、ミッチェルとキャメロンが言葉を交わすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「going rate for」の意味とニュアンス
going rate for
意味:(…の)相場、いま通用している料金
the going rate for ~ は、ある品物やサービスに対して、いま実際に支払われている金額や料金を表す言い方です。going は「いま通用している」という意味の形容詞で、rate は「料金・率」です。for のあとに対象を置いて、the going rate for a babysitter(ベビーシッターの相場)のように使います。
ポイントは、売り手や買い手が個別に決めた額ではなく、世の中でいま通っている額を指すところです。「相場」という日本語と重なりますが、going には「現在通用している」という時間の感覚があり、時期が変われば額も変わりうることが含まれています。文のなかでは the が付き、the going rate for A is B(Aの相場はBだ)の形で、金額を続けるのが基本の形です。
金額と組み合わせるときは、at the most(せいぜい)や at least(少なくとも)のような言葉を後ろに足して、相場の上限や下限を示せます。「普通はこのくらい」という感覚を、数字ではっきり伝えられる言い方です。
【ここがポイント!】
- 核は、いま実際に世の中で通用している金額や料金を指す「相場」
- the going rate for + 対象 の形で、for の後ろに品物やサービスを置く
- is のあとに金額を続けたり、pay the going rate と動詞に組み合わせたりして使える
『モダンファミリー』S04E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
歯の妖精が置いていった100ドルが話題になる場面です。リリーが「歯の妖精さん、だーいすき」と口にするなか、ミッチェルは歯1本の相場に触れて驚きます。それを受けたキャメロンが、歯の妖精をかばうように言葉を続けるところが見せ場です。
Lily: I love the tooth fairy.
(歯の妖精さん、だーいすき。)Mitchell: The tooth fairy gave our daughter $100. Does she not know that the going rate for a tooth is $5 at the most?
(歯の妖精が、うちの娘に100ドルもくれたんだ。歯1本の相場はせいぜい5ドルだって、彼女は知らないのかな?)Cameron: Well, obviously, the tooth fairy made a mistake.
(まあ、どう見たって歯の妖精が間違えたんだよ。)Mitchell: Maybe it’s ‘cause the tooth fairy had a little too much chardonnay last night.
(昨夜、歯の妖精がシャルドネを少し飲みすぎたせいかもね。)Cameron: I think the tooth fairy can handle the chardonnay. What I don’t think she can handle is criticizing someone who made an honest mistake in the dark of the night.
(歯の妖精ならシャルドネくらい平気だと思うよ。彼女が耐えられないのは、夜の暗がりで悪気なく間違えた人を責めることのほうさ。)Modern Family Season4 Episode21 (Career Day)
シーン解説と心理考察
ミッチェルの「Does she not know …?」は、「知らないのか」という問いの形をとって、100ドルが相場を大きく超えていると指摘しています。歯1本の相場がせいぜい5ドルなら、100ドルはその20倍にあたります。歯の妖精を、相場を知っているはずの取引相手のように扱っているところに、この場面のおかしみがあります。at the most は「多くてもそこまで」という上限を示す言い方で、5ドルを上限に置くことで、100ドルとの差がいっそうはっきり見えてきます。
キャメロンは「Well, obviously」と切り出し、間違えたのは歯の妖精だと言い切ります。相場からずれた額を、妖精の「間違い」として受け止めた返しです。するとミッチェルが、昨夜シャルドネを飲みすぎたのではと冗談を重ねます。妖精に人間のような事情を当てはめる遊びが、2人のあいだで続いていく様子が伝わってきます。
キャメロンの最後の発言では、話の中心が相場から別のものに移ります。「シャルドネくらい平気」と冗談を受け止めたうえで、妖精が耐えられないのは、悪気なく間違えた人を責められることのほうだと言います。honest mistake は、悪意のない間違いという意味です。金額の妥当性を測る話が、間違いを責めるかどうかという話へと、会話の温度を変えています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
商店街の店先に並ぶ値札を思い浮かべてみましょう。誰かが1人で決めた値段ではなく、まわりの店を見ながら、いまみんなが実際に付けている値段です。going は「いま動いている」、rate は「料金」なので、いま動いている料金、つまり相場という形が頭に残ります。
ミッチェルが「歯1本の相場」と言うとき、頭の中には値札が並んでいます。歯の相場を示す値札には5ドルと書いてあるのに、妖精は100ドルを置いていきました。値札と実際の額が大きくずれた場面として重ねると、going rate for という形と意味が結びつきます。値札の額を思い浮かべたうえで、「for のあとに、値札が付いている品物を置く」と覚えておけば、the going rate for a tooth のような形も自然に作れます。
例文で覚える「going rate for」
料金や報酬の目安を話す場面で、3つの使い方を確認していきましょう。
What’s the going rate for a babysitter in this area?
(この辺りでベビーシッターの相場はいくらですか。)
近所の人に相場を尋ねる日常の場面です。for のあとに a babysitter を置き、疑問文の形にすると、相場の聞き方としてそのまま使えます。
We pay the going rate for translation work, so you don’t need to worry.
(翻訳の仕事には相場どおりの報酬をお支払いしますので、ご心配なく。)
フリーランスに報酬を説明するビジネスの場面です。pay と組み合わせると、相場どおりの額を支払うという意味になります。
A: Is $50 an hour too much for a tutor?
B: No, that’s about the going rate for a math tutor in this city.
(A:家庭教師に1時間50ドルは高すぎるかな?)
(B:いや、この街の数学の家庭教師ならそのくらいが相場だよ。)
料金の妥当さを確かめ合う会話です。about を添えると、「ちょうどそのあたり」というおおよその感覚が出ます。
あわせて覚えたい関連表現
market price
(市場価格)
市場で成立している価格を指す言い方です。going rate が「いま実際に支払われている料金」という感覚で、サービスや報酬にも使えるのに対し、market price は市場で売買される物の価格に向いています。
asking price
(売り手の希望価格)
売り手が「この額で売りたい」と提示する価格です。asking price は売り手の側の提示額であり、実際に支払われている額を指す going rate とは、見ている側が違います。
ballpark figure
(おおよその金額)
細かく詰めない、大づかみの数字を指します。ballpark figure は概算であることに重点があり、going rate は「実際に通用している額」という具体的な水準を指す点が違います。
Note|going rate は、for・at・pay との組み合わせで使い方が決まる
going rate は、後ろに続く前置詞や、前に置く動詞との組み合わせで使い方が決まる表現です。
基本は the going rate for A で、A に品物やサービスを置きます。ミッチェルの「the going rate for a tooth is $5」のように、is のあとに金額を続ければ、相場の額を言い切る文になります。at the going rate と at を使うと、「相場どおりの額で」と、取引の条件を表す副詞句になります。We can sell it at the going rate.(相場どおりの額で売れます)のような形です。pay を前に置けば、pay the going rate(相場どおりの額を支払う)となり、払う側の動作として言えます。
さらに、相場との差を言いたいときは、above the going rate(相場より高い)や below the going rate(相場より低い)と前置詞を入れ替えます。He was offered less than the going rate.(彼は相場より低い額を提示された)のように、less than を使った言い方もあります。
ミッチェルの発言は、for の後ろに a tooth を置き、is のあとに金額を続けた基本の形でした。歯1本の相場に上限を付けて、100ドルという額がその範囲を超えていると示しています。
相場を言うのか、相場との差を言うのかは、組み合わせる言葉を選ぶだけで切り替わります。
まとめ|歯1本の相場と、100ドルのずれ
going rate for は、ある品物やサービスに対して、いま実際に支払われている金額や料金を表す表現です。the going rate for + 対象 の形が基本で、is や pay、at と組み合わせて幅広く使えます。
料金や報酬を話題にするときに、「相場はこのくらい」と一言で言えるので、値段の妥当さを確かめる会話や、報酬の条件を伝える場面で役に立ちます。
歯1本の相場はせいぜい5ドルだと言うミッチェルと、間違えたのは妖精だと返すキャメロンのやり取りは、値段の話が思わぬ方向へ転がっていく面白さがありました。相場を語る一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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