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つっけんどんな態度の相手に、こちらも同じ態度で返したくなる。そんなときに、あえて優しく接して相手の出方を変えようとしたことはありませんか。
そんな作戦を一言で言い表せる「killing with kindness」を、『モダンファミリー』シーズン4第13話の中盤、フィルが自分の考え方を語るところから、一緒に見ていきましょう。
「killing with kindness」の意味とニュアンス
killing with kindness
意味:親切攻め、優しさで相手の敵意をそぐこと
killing with kindnessは、怒りや敵意を向けてくる相手に、あえて思いやりのある態度をとり続けることで、相手の気勢をそぐという意味の表現です。killは「殺す」、kindnessは「親切・優しさ」で、直訳すると「親切で殺すこと」になります。本当に命を奪うわけではなく、「親切攻め」という比喩になっています。
大切なのは、こちらが優しくすることで、相手の態度が変わるという点です。怒り返すのではなく、丁寧に接し続けることで、相手がそれ以上とげとげしくしにくい状況をつくります。感じの悪い相手に丁寧に接する、皮肉屋の同僚にあえて優しく振る舞う、といった場面を説明するときに使います。
形にも注目です。動詞のkillを使った「kill someone with kindness」が基本で、「親切という手段で相手を倒す」という構造です。本編では、この形が「the concept of killing with kindness」のように、ofのあとの動名詞として現れます。「親切攻めという考え方」というように、行為ではなく考え方そのものを指す使い方です。
このほかに「kill them with kindness」のように、代名詞を目的語にして、誰に対する親切攻めなのかをはっきり示す言い方もあります。同じ意味でも、形を少し変えるだけで、行為を指すのか考え方を指すのかを切り替えられます。
【ここがポイント!】
- 「killing with kindness」の核は、優しい態度をとり続けることで相手の敵意をそぐという、「親切攻め」のイメージ
- 「kill someone with kindness」が基本の形で、「the concept of killing with kindness」のように動名詞として使うと、考え方そのものを指せる
- 本当に殺すわけではなく、親切さで相手を圧倒するという比喩表現
『モダンファミリー』S04E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルが、子どもたちに親切攻めの考え方を分かってもらうために取った行動を語り、続けてルークの一件を知っているルーベンに声をかける場面です。ルークが先生を「ママ」と呼んでしまった話をきっかけに、フィルが相手を持ち上げながら頼み事をする流れに注目です。
Phil: That’s when I realized my kids didn’t understand the concept of killing with kindness because they’d never seen it. So I decided I’d prove it to them by going on a huggacidal rampage.
(そのとき気づいたんだ。うちの子どもたちは「親切攻め」って考え方が分かってない、一度も見たことがないからだってな。だから俺が証明してやろうと思った。「ハグ殺し(huggacidal)」の大暴れってやつでな。)Phil: Is that Reuben rockin’ the Potter specs? Quiddiculous! Hey, listen, buddy, I heard about Luke calling his teacher “mommy. Epic fail, by the way. But, you know, since you’re one of the cool kids, maybe you could ge the other ones to ease off a little?
(あれ、ルーベンじゃないか、ポッターのメガネなんかかけて? クィディキュラス(quiddiculous)だな! なあ、ちょっと聞いてくれ。ルークが先生を「ママ」って呼んじゃった話、聞いたぞ。大失敗だったな。でもさ、君はクールな子たちの仲間なんだから、ほかの子たちにもちょっと手加減するように言ってくれないか?)— Cool.
(いいね。)Phil: Air bump.
(エア・バンプだ。)Modern Family Season4 Episode13 (Fulgencio)
シーン解説と心理考察
「親切攻め」という言葉を出したフィルは、子どもたちがこの考え方を一度も見たことがないから分かっていないのだと整理します。そのうえで、自分が証明してみせると決め、その中身を「ハグ殺し(huggacidal)の大暴れ」という造語まじりの言い方で、冗談っぽく語っています。
続くルーベンへの声かけでは、フィルはまず「クィディキュラス」「大失敗だったな」と、相手の目線に合わせた言葉で親しげに話しかけます。そのうえで、「君はクールな子たちの仲間なんだから」と持ち上げ、「ほかの子たちにもちょっと手加減するように言ってくれないか」と頼みます。相手を責めず、仲間として扱いながらお願いをするという流れが、フィルの言う親切攻めの具体例になっています。
「いいね」という一言のあとに、フィルが「エア・バンプだ」と続ける流れも印象的です。頼み事の直後に、軽い一言で続けるところに、押しつけがましさを残さない話しぶりがうかがえます。理屈を語る場面と、実践してみせる場面が並ぶことで、フィルの考え方が言葉と行動の両面から伝わってきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
相手が怒りの言葉を向けてきたのに、こちらはにっこり笑ってお茶とお菓子を差し出す場面を思い浮かべてみましょう。相手が武器を下ろしてしまうという意味で、「親切(kindness)で倒す(killing)」と考えると、比喩の意味がつかみやすくなります。
「kill(倒す)+with kindness(親切という手段で)」と分けて覚えるのも有効です。withは「〜という手段で」を表すので、倒す道具が武器ではなく親切だという対比がはっきりします。
フィルの「huggacidal rampage(ハグ殺しの大暴れ)」という造語も、この覚え方と相性がいい言葉です。hug(抱きしめる)と大暴れを組み合わせたちぐはぐな響きが、親切で倒すという発想と重なります。ルーベンに親しげに話しかけるフィルの姿は、この言葉のイメージをそのまま形にしたものだと言えます。
例文で覚える「killing with kindness」
killing with kindnessは、対人関係の悩みを語る場面で使いやすい表現です。3つの例文で確認していきましょう。
My new neighbor was rude to me, so I decided to kill him with kindness.
(新しいお隣さんに失礼な態度をとられたので、親切攻めで対抗することにした。)
近所づきあいの悩みを語る場面です。decided toに続けて使うと、意図してその作戦を選んだことが伝わります。
A: My boss keeps snapping at me.
B: Kill him with kindness. It works better than you’d think.
(A:上司がずっと私にきつく当たるの。)
(B:親切攻めで返しなよ。思ったより効くよ。)
友人に相談して助言をもらう往復会話です。命令形で使うと、「そうしてみたら」という助言になります。
You can’t beat an angry customer with anger. Try killing them with kindness.
(怒っているお客さんに怒りで対抗しても勝てません。親切攻めでいってみましょう。)
接客の心得を伝えるビジネスの場面です。Try killingのように動名詞を続けると、試してみる作戦として提案できます。
あわせて覚えたい関連表現
win someone over with kindness
(親切で相手を味方につける)
killing with kindnessは相手の敵意をそぐ、攻めの色合いが強い表現です。win someone over with kindnessは、結果として相手の好意を得る点に重点があります。
turn the other cheek
(やり返さず耐える)
turn the other cheekは仕返しをしない受け身の姿勢です。killing with kindnessは、積極的に親切に振る舞うという能動的な働きかけになります。
charm offensive
(魅力作戦、好印象を与える攻勢)
charm offensiveは好感度を上げるために愛想よく振る舞う作戦全般を指します。killing with kindnessは、敵意のある相手に向けて使う点が違います。
Note|kill someone with kindnessとthe concept of killing with kindness、形が変わる動詞の使い方
killing with kindnessは、文の中での姿が2通りに変わります。ひとつは「kill someone with kindness」のように、動詞として目的語をとる形です。「隣人を親切攻めにする」というように、誰に対してかを明示できます。
もうひとつは、本編のフィルが使った「the concept of killing with kindness」のように、ofのあとに動名詞の形で置く形です。目的語を入れずに「親切攻めという考え方」と言うことで、特定の誰かではなく、方法そのものを指せます。
この2つの違いは、何を話題にしているかにあります。相手が決まっているなら「kill him with kindness」、方法や考え方を説明したいなら「the concept of killing with kindness」というように、話の焦点によって形を切り替えます。
本編のフィルは、子どもたちがこの考え方を見たことがないと語るので、特定の相手ではなく方法そのものを指す形を選びました。この形なら、「見たことがない」という言葉ともつながりが自然になります。動名詞のkillingにすることで、行為ではなく考え方として説明できた、ということです。
覚えておくと便利なのは、同じ表現が動詞の形にも名詞の形にも姿を変えられるという点です。文の中でどちらの姿になっているかを見分けると、意味を取り違えずに読み進められます。
まとめ|優しさで相手の敵意をそぐ、という考え方
killing with kindnessは、敵意のある相手に、あえて親切に接することで相手の気勢をそぐという意味の表現です。
「kill someone with kindness」の形で、誰に対する親切攻めなのかを示せます。ofのあとに動名詞で置けば、考え方そのものも指せます。人間関係の悩みや接客の場面など、感情的になりやすい状況を説明するときに使いやすい表現です。
子どもたちに親切攻めを見せようと語ったあと、ルーベンに親しげに声をかけたフィルの姿には、相手を否定せずに動かそうとする発想が表れていました。対人関係で迷ったときに、この考え方を思い出してみてください。


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