海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
理由を聞かれてもうまく説明できないのに、どうも違う気がする、という感覚を英語で伝えたくなったことはありませんか。
その感覚を言い表す「not feeling it」を、『モダンファミリー』シーズン10第14話の中盤、フィルとペッパーのやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「not feeling it」の意味とニュアンス
not feeling it
意味:ピンとこない、気が乗らない
not feeling itは、物事に対して気持ちの高まりや「これだ」という感覚が湧かない状態を、口語で軽く言う表現です。feelは「感じる」で、itは目の前の物事や話題を漠然と受けます。理由を細かく説明せずに「どうも違う」と伝えられる反面、聞いた相手には漠然とした断りに聞こえることもあります。
形は、I’m not feeling it.のほか、justを入れたI’m just not feeling it.、reallyを入れたI’m not really feeling it.などがあります。justが付くと「ただ、どうも」という軽い言い方になり、reallyが付くと「あまり」という程度の弱さが出ます。なお、itを置かずにI’m not feeling well.と言うと、体調がすぐれないという別の意味になります。
使う場面は、誘いに気分が乗らないとき、服や物件、アイデアに惹かれないとき、気持ちが上がらないときなどです。日本語では「ピンとこない」「気が乗らない」「しっくりこない」と、対象に合わせて選べます。
not feeling itは、「嫌い」「だめ」とまでは言わず、感覚が合わないとだけ伝える言い方です。強い否定ではないぶん角が立ちにくい一方で、何がどう合わないのかは相手に伝わりません。そのため、続けて理由や代案を添えると、会話が前に進みます。ドラマでも、ピンとこないと告げたあとに、ほかの家を見る提案が続いていました。
【ここがポイント!】
- 「not feeling it」の核は、「これだ」という感覚や気持ちの高まりが湧かない状態
- justやreallyを足すと、軽さや程度の弱さを調整できる
- itを置かないnot feeling wellは、体調がすぐれないという別の意味になる
『モダンファミリー』S10E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルが顧客のペッパーに、家の購入の申し込みをする気になったかを尋ねる場面です。ペッパーは答えをぼかし、聞き返されて「ピンとこない」と告げます。そのあとに続く提案までの流れに注目です。
Phil: So, are you ready to make an offer?
(さて、そろそろ購入の申し込みをする気になった?)Pepper: I don’t know, Phil.
(どうだろうね、フィル。)Phil: Don’t know what, Pep?
(どうだろうって、何がだい、ペップ?)Pepper: I’m just not feeling it.
(ただ、ピンとこないんだよ。)Phil: Oh.
(ああ。)Pepper: Maybe we should see some more houses?
(もう少し、ほかの家も見たほうがいいんじゃないかな。)Modern Family Season10 Episode14 (We Need to Talk About Lily)
シーン解説と心理考察
フィルの問いかけは、購入の申し込みをする気になったかどうかを確かめるものです。ペッパーはI don’t know, Phil.と答えをぼかし、フィルがDon’t know what, Pep?と聞き返すと、I’m just not feeling it.と返します。
フィルのDon’t know what, Pep?は、「どうだろう」の中身を確かめる聞き返しです。これに対してペッパーは、具体的な理由を挙げず、感覚の話として返しました。「何がだい?」という問いに「ピンとこない」と答えているので、問いの中身には触れないままです。
ここでのitは、話題になっている購入の話を漠然と受ける言い方で、具体的に何がどうピンとこないのかは示されません。justが入っているので、「ただ、どうも」という軽い調子の言い方になっています。ペッパーは理由を述べないまま、購入の申し込みを先送りにする答えを返したことになります。
フィルは「ああ」と短く受け止めます。するとペッパーは、Maybe we should see some more houses?と、ほかの家も見ることを提案します。Maybeで断定を避け、weを主語にして二人で見る形にしているので、この提案はフィルへの相談の形をとっています。ピンとこないという断りと、もっと見ようという提案が、続けて出てくる流れです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
feelは「感じる」です。心の中の針が「これだ」の方向に振れてほしいのに、まったく動かない、という絵を描いてみましょう。針が動かないので、「ピンとこない」「気が乗らない」という意味になります。
ペッパーの一言は、その針が動かなかったことを、理由は添えずに告げたものでした。「感覚の針が動かない」と覚えておけば、服でも誘いでも、同じ絵のまま使いまわせます。針が動かないだけで、嫌いという意味まではありません。期待していた映画を観たあとに、「悪くはないけれど、ピンとこなかった」と言うような場面が、近い使い方です。
例文で覚える「not feeling it」
not feeling itは、気分、買い物、仕事の意見と、いろいろな対象に使えます。外出の誘い、服の買い物、デザインへの感想という、日常で出会いやすい3つの場面を並べました。
I’m sorry, but I’m just not feeling it tonight. Can we stay in?
(ごめん、今夜はどうも気が乗らないんだ。家にいてもいいかな。)
外出の誘いを断る場面です。tonightを添えると、「今夜は」という限定が加わり、いつもはそうではないという含みも出ます。
The dress looked nice, but I wasn’t feeling it.
(そのドレスは素敵だったけれど、ピンとこなかった。)
買い物で決めきれなかった場面です。wasn’tと過去形にして、そのときの気持ちを振り返っています。butの前で「素敵だった」と認めているので、ほめたうえでの断りになります。
A: What do you think of this logo?
B: Honestly, I’m not feeling it.
(A:このロゴどう思う?)
(B:正直、ピンとこないな。)
デザイン案への感想を伝える会話です。Honestlyを頭に置くと、率直に言う前置きになります。理由を聞き返されたら、続けて具体的な点を挙げるのが自然な流れです。
あわせて覚えたい関連表現
not in the mood
(気分じゃない)
not in the moodは、そのときの気分が向かないことを表します。I’m not in the mood for pizza.(ピザの気分じゃない)のように、forの後ろに名詞を続けられます。not feeling itは、物事そのものにピンとこない場合にも使えます。
not into it
(のめり込めない、興味がない)
not into itは、興味や関心が薄いことを表します。I’m not into jazz.(ジャズには興味がない)のように、対象を具体的に置けます。not feeling itは、気持ちの高まりが湧かない、感覚的な響きが強い表現です。
not feel like doing
(〜する気になれない)
not feel like doingは、「〜したくない」と行動に結びつける形です。I don’t feel like going out.(出かける気になれない)のように、doingの部分に具体的な行動が入ります。not feeling itは、対象をitで漠然と指し、行動は明示しません。
Note|理由を言わずに断る、not feeling itのくだけた響きと言い換えの幅
not feeling itは、友人や同僚に気軽に伝えられるくだけた言い方です。ただ、相手や場面によっては、少し丁寧な言い方に替えたほうが伝わりやすいこともあります。
言い換えの幅は、おおまかに3段階に分けられます。いちばんくだけているのは、I’m just not feeling it.やI’m not in the mood.で、気分や感覚を軽く伝える言い方です。中間にあたるのは、I’m not really into it.(あまり乗り気じゃない)で、興味の薄さを伝えます。やや丁寧なのは、I’m not sure about it.(まだ決めかねています)やI’m not convinced yet.(まだ納得できていません)で、保留や不足を落ち着いて伝える言い方です。理由を添えたいときは、I’m not feeling it because the kitchen is too small.(キッチンが狭すぎて、ピンとこない)のように、becauseの節を足せば、漠然とした響きがやわらぎます。
シーンのペッパーは、くだけた言い方のまま、理由を添えずに断りの気持ちを伝えていました。もう少し丁寧な言い方を選べば、同じ内容でも、受け取る側の印象は変わります。理由を一言添えるだけでも、相手に届く温度はやわらぎます。
まとめ|理由を言わずに伝える、気持ちの針の動き
not feeling itは、物事に対して気持ちの高まりや「これだ」という感覚が湧かない状態を、口語で軽く言う表現です。
justやreallyで軽さや程度を調整でき、not in the moodやnot into itと並べると、気分、興味、感覚のどこに重点があるのかを見分けられます。
ペッパーは、フィルに購入の申し込みを問われて、I’m just not feeling it.と答えました。理由を述べないまま、ほかの家も見ようという提案につなげています。断りと提案を続けて言う形は、日常の会話でもそのまま使えます。


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