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人の話に疑いを向けるとき、「ひがみに聞こえるかもしれないけど」と、先に断っておきたくなることがあります。
その「ひがみ」「負け惜しみ」にあたる「sour grapes」を、『モダンファミリー』シーズン10第12話の後半、ジェイが事の経緯を振り返るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「sour grapes」の意味とニュアンス
sour grapes
意味:負け惜しみ、ひがみ(手に入らないものをけなすこと)
sour grapesは、自分が手に入れられなかったものや、うらやましい相手の成功を、わざと価値の低いもののように言う負け惜しみを表す名詞表現です。sourは「酸っぱい」、grapesは「ぶどう」で、手が届かないぶどうを「どうせ酸っぱいに決まっている」と見下す態度が、文字どおりの意味から比喩へとつながっています。手に入らなかったことが前提にあり、手に入れたものをけなす場合とは、状況が別になります。
冠詞は付けず、It’s sour grapes.やThat’s just sour grapes.のように使います。dismiss 〜 as sour grapes(〜を負け惜しみだとみなす)の形もあります。自分の発言について、It might sound like sour grapes, but 〜(負け惜しみに聞こえるかもしれないけど)と、先に断る言い方もできます。
使う場面は、昇進や受賞を逃した人が相手をけなすとき、うらやましい相手の話に水を差すとき、自分の発言がひがみに聞こえないかを断るときなどです。
日本語では、「負け惜しみ」と「ひがみ」のどちらにも訳せます。競って負けた場面なら「負け惜しみ」、うらやむ気持ちが前に出る場面なら「ひがみ」と、場面で選びます。
【ここがポイント!】
- 「sour grapes」の核は、手に入らなかったものをわざと価値の低いものとして言う負け惜しみ
- 冠詞を付けず、It’s sour grapes.のように名詞として使う
- Maybe it was sour grapes, but 〜と、自分の態度を先に認める使い方もできる
『モダンファミリー』S10E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイが、アルバロという人物の話について語る場面です。その話に疑いを持った自分を振り返り、そのとき何を考えていたのかを続けます。
Jay: Maybe it was sour grapes, but this guy was starting to sound like baloney.
(ひがみだったのかもしれんが、俺にはこの男の話がだんだんでたらめに聞こえてきたんだ。)Jay: I was sure that if I left no stone unturned, eventually, one day, I’d find some dirt on Great Uncle Alvaro.
(隅々まで調べ尽くせば、いつかきっと大おじアルバロの悪い話の一つくらい出てくると思ってたんだ。)Modern Family Season10 Episode12 (Blasts from the Past)
シーン解説と心理考察
ジェイの語りは、Maybe it was sour grapesという自己分析から始まります。「ひがみだったのかもしれない」と先に認めてから、butで本題に移る組み立てです。
Maybeは「〜かもしれない」で、断定を避けて可能性として述べる語です。ジェイはwasと過去形にして、あのとき自分はそうだったかもしれない、と振り返っています。
butのあとのthis guy was starting to sound like baloneyが、ジェイの本音です。this guyは、続く語りにGreat Uncle Alvaroが出てくることから、アルバロを指していると分かります。sound like 〜は「〜のように聞こえる」、baloneyは「でたらめ」という意味です。さらに、startingが入っているので、最初から疑っていたのではなく、聞いているうちに疑わしくなってきた、という変化が読み取れます。
続く語りは、I was sure thatで始まり、確信していたことを述べます。leave no stone unturnedは、石を一つ残らずひっくり返す、つまり隅々まで調べ尽くすという意味です。そこまでやれば、some dirt on 〜、つまり〜の悪い話が見つかるはずだ、という見通しです。dirtは、人の不名誉な情報を指す語として使われています。
この語りでジェイは、疑いの理由を自分で分析し、ひがみを先に認めています。自覚を明かすことが、疑いの言葉をやわらげる働きをしています。続けて、調べ尽くせばアルバロの悪い話が見つかるはずだと思っていたことも、自分から打ち明けています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
高い枝になっていて手が届かないぶどうの房を見上げて、「どうせ酸っぱいに決まってる」と言う人の姿を、思い描いてみましょう。本当に酸っぱいかどうかは、食べていないので分かりません。手に入らないものを、中身が悪かったことにして気持ちを収める、これがsour grapesの絵です。
味見をしていないぶどうを、見ただけで評価している点が、この絵のポイントです。ジェイの言葉に重ねると、疑わしく思った話をけなす自分を、「ぶどうを見上げる人」になぞらえた形です。自分で自分の態度に気づいているからこそ、Maybe it was sour grapesと前置きできます。前置きがあると、聞く側も疑いの言葉を受け止めやすくなります。
例文で覚える「sour grapes」
sour grapesは、買えなかった物から、逃した機会まで、手に入らなかったものをけなす場面で使います。車、受賞、仕事の3つの場面で、例文を見ていきましょう。
It might sound like sour grapes, but I don’t think that car is worth the price.
(負け惜しみに聞こえるかもしれないけど、あの車はその値段の価値はないと思う。)
買えなかった物をけなす場面です。mightを使って、ひがみに聞こえる可能性を先に認めています。
A: He says the award was unfair.
B: That’s just sour grapes. He wanted to win.
(A:彼は、あの賞は不公平だったと言ってる。)
(B:ただの負け惜しみだよ。彼が勝ちたかったんだから。)
負けた人の不満を聞く会話です。justを添えると、「それだけのことだ」と言い切る調子になります。
I know this is sour grapes, but I’m glad I didn’t get that job.
(負け惜しみだと分かっているけど、あの仕事に就けなくてよかったと思ってる。)
不採用の気持ちを整理する場面です。I know this isで、ひがみを自覚していることを先に伝えています。
あわせて覚えたい関連表現
be jealous of
(〜をうらやむ、〜に嫉妬する)
be jealous ofは、うらやましい気持ちそのものを言います。sour grapesは、そのうらやましさから出る、けなす態度や負け惜しみの言動を指します。
a bad loser
(負けを素直に認められない人)
a bad loserは、負けたときの態度に難がある人物を指す表現です。sour grapesは、その人の言動のほうを指します。
Easy for you to say
(あなたにとっては簡単に言えるでしょうね)
Easy for you to sayは、相手の発言に対する反応のひとことです。sour grapesは、自分または相手の態度を説明するときの名詞表現です。
Note|言動・気持ち・人、焦点の違いで選ぶ3つの言い方
sour grapesは、うらやましさから出る言動を指す名詞です。近い意味の言い方と比べると、何に焦点を当てているかが違います。
3つを並べます。sour grapesは、言動に焦点があります。「手に入らなかったものをけなす言動」そのものを指し、That’s just sour grapes.のように、相手の発言を評するときに使います。be jealous ofは、気持ちに焦点があります。I’m jealous of her success.(彼女の成功がうらやましい)のように、うらやむ感情そのものを言います。a bad loserは、人に焦点があります。He’s a bad loser.(彼は負けを認められない人だ)のように、負けたときの態度に難がある人物を指します。同じ場面でも、言動を指すのか、気持ちを指すのか、人を指すのかで、選ぶ言葉が変わります。
ジェイの言葉は、言動を指す形でした。Maybe it was sour grapesと、自分の疑いが「ひがみの言動」だったのかもしれない、と評しています。気持ちを指すjealousを使うより、言動を指すsour grapesのほうが、自分の疑いを一歩引いて眺める距離感が出ます。
どの言い方を選ぶかは、相手を評したいのか、自分の気持ちを説明したいのかでも変わります。自分の発言に添える前置きとしては、言動を指すsour grapesが使いやすい形です。
まとめ|ひがみを先に認めて、疑いを語る
sour grapesは、手に入らなかったものや、うらやましい相手の成功を、わざと価値の低いもののように言う負け惜しみを表す表現です。
It’s sour grapes.のように冠詞なしの名詞として使え、It might sound like sour grapes, but 〜と、先に断る言い方にもなります。
ジェイは、Maybe it was sour grapes, butと自分で認めたうえで、アルバロの話への疑いを語りました。ひがみを自覚していると明かす一言が、疑いの言葉の前に添えられています。


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