海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
得意なことに力を入れすぎて、気がつけば周りが少し引いていた、という経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「take something to a whole new level」を、『モダンファミリー』シーズン4第5話の冒頭、ハロウィンの飾りつけについて去年の自分を振り返るクレアの一言から、一緒に見ていきましょう。
「take something to a whole new level」の意味とニュアンス
take something to a whole new level
意味:(あるものを)まったく新しい次元・段階まで引き上げる
take something to a whole new levelは、目の前のものを今までとは別の水準まで持っていくことを表す口語表現です。take A to B(AをBへ連れていく)という基本の形がそのまま使われていて、Bの位置に「水準・段階」を表すa new levelが入ります。
wholeは「まるごとの、まったくの」という強調で、これまでの延長線上ではなく、別の階層に移るような大きな変化を示します。ドラマの台詞の形はtook things to a whole new levelと過去形になっていて、thingsは文脈で決まる「自分がやってきたこと」を受けています。料理、演出、仕事の進め方、趣味の打ち込み方など、対象は幅広く選べます。
押し上げた結果が良いものとは限らない点も、この表現の特徴です。褒め言葉として使われることが多い一方で、やりすぎて予想外の結果を招いた場合にも同じ形で言えます。良し悪しは前後の文脈で決まり、new levelという語そのものは、水準が変わったという事実だけを伝えます。
【ここがポイント!】
- 核は、対象を「別の階層まで連れていく」という移動のイメージ
- wholeが入ることで、少し良くなった程度ではなく、別物になるほどの変化を強調する表現
- 良い結果にも意外な結果にも使えるので、前後の文脈から方向を読み取るのがコツ
『モダンファミリー』S04E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ハロウィンの飾りつけについて、クレアが去年の出来事を振り返る場面です。毎年の自慢から去年の話へ、そして結末へと、短い言葉がテンポよく続きます。今回のフレーズは、去年を振り返るくだりに登場します。
Claire: Every Halloween, we have the best house.
(毎年ハロウィンは、うちが一番の家なの。)Claire: Last year, I took things to a whole new level.
(去年、私はそれをまったく新しい次元まで持っていったわ。)Claire: But, apparently, it was too scary for some kids And one adult.
(でも、どうやら一部の子どもには怖すぎたみたい。それと大人がひとり。)Modern Family Season4 Episode5 (Open House of Horrors)
シーン解説と心理考察
クレアの言葉の面白さは、自信たっぷりの実績と、そのあとに待っていた結果との落差にあります。「毎年ハロウィンは、うちが一番の家なの」という自負を語ったうえで、去年はさらにその上へ進んだと続け、直後に「一部の子どもには怖すぎたみたい」と結びます。誇らしげな流れが、最後の一言で気まずい振り返りに変わるところが見どころです。
この場面では、new levelが良い方向を指していません。去年の飾りつけは水準が変わるほどの出来だったものの、その水準が怖すぎるほうへ振れた、というのがクレアの言い分です。怖がったのは子どもたちの一部と大人が一人だと述べられていて、その大人が誰なのかは語られません。細かく語らない言い回しが、当時の様子をかえって想像させています。
語り方の運びも、この一言をおもしろくしています。クレアは短く文を区切りながら、自負、去年の実績、結果と順に並べていきます。とくに最後の発言では、「一部の子どもには怖すぎたみたい」と言い切ったあとに、「それと大人がひとり」と付け足します。文を区切って人数をひとり分だけ足す言い方が、控えめな口ぶりの中にかえって大きな騒ぎを想像させます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
階段を一段ずつ上がるのではなく、エレベーターで一気に別のフロアまで運ばれる様子を思い浮かべてみましょう。take(連れていく)+ to(〜へ)+ a whole new level(まったく新しい階層)と、言葉を目的地の順に並べれば、Aを新しい階層へ連れていくという意味がそのまま浮かびます。
クレアの場面に重ねると、去年の飾りつけがエレベーターに乗って別のフロアへ運ばれた様子が目に浮かびます。着いた先が「怖すぎる階」だったというのが、あのオチです。到着した階が良いか悪いかは乗ってみないと分からない、という感覚で覚えておくと、方向を問わない表現だと自然に理解できます。
例文で覚える「take something to a whole new level」
対象が料理でも仕事でも使える表現なので、場面の違う3つの例文で確認していきましょう。
Our new chef took the menu to a whole new level.
(新しいシェフのおかげで、メニューはまったく新しい次元に進化した。)
レストランの変化を友人に話す場面です。takeの主語に「変化をもたらした人」を置くと、誰が水準を引き上げたのかがはっきりします。
The new software takes data analysis to a whole new level.
(その新しいソフトは、データ分析を別次元の水準に引き上げる。)
新製品の特長を紹介するビジネスの場面です。現在形にすると、その製品が持つ力として説明する言い方になります。
A: Did you see the school play this year?
B: Yes, the kids took it to a whole new level.
(A:今年の学芸会は見た?)
(B:うん、子どもたちが桁違いの出来にしてくれたよね。)
イベントの感想を話す会話です。itが学芸会そのものを受けていて、対象を短く言い切れるところが会話向きです。
あわせて覚えたい関連表現
take it to the next level
(次の段階へ進める)
take it to the next levelは「一段階上へ」という順当なステップアップを表し、a whole new levelは「それまでと別物になる」という大きな飛躍を強調します。
raise the bar
(基準を引き上げる)
raise the barは「求められる水準そのもの」を上げる表現で、今回のフレーズは対象のできばえを新しい水準に持っていく言い方です。
go all out
(全力を尽くす、とことんやる)
go all outは力の入れ方に焦点があり、結果の水準までは言いません。今回のフレーズは、結果として到達した水準を示します。
Note|「レベルアップ」と訳しきれない、new levelの守備範囲
take something to a whole new levelを日本語にするとき、「レベルアップさせる」と置き換えたくなる場面があります。
日本語の「レベルアップ」は、良い方向への向上を思い浮かべさせる言葉です。一方、英語のnew levelは、もともと方向を指定しない語です。levelは「水準・階層」を表す名詞で、newがつくと「今までとは違う水準」という意味になり、上がったのか、別の方向へ移ったのかは前後の文脈が決めます。クレアの発言はその好例で、去年の飾りつけは新しい水準に達したものの、待っていたのは「怖すぎる」という評価でした。この場面を「レベルアップ」と訳すと、実際の結果とずれてしまいます。そこで日本語では、「別次元まで持っていった」「桁違いにした」のように、方向を決めつけない訳語が合います。
例文のnew chefやsoftwareのように、好ましい変化を述べる用例が多いのは確かです。それでも、水準が変わるという核の意味に、良し悪しはまだ含まれていません。
日本語の訳語に引きずられず、「水準が別のものになった」と受け取っておくと、この表現の幅が見えてきます。
まとめ|自信たっぷりの「去年の実績」が招いた結末
take something to a whole new levelは、対象をこれまでと別の水準まで持っていくことを表す口語表現です。wholeが加わることで、少しの改善ではなく、別物になるほどの変化が強調されます。
料理、仕事、行事の準備など、力を入れた対象を挙げて「桁違いにした」と言いたいときに使えます。良い結果にも予想外の結果にも使えるので、前後の文脈と合わせて読み取る場面が広がります。
クレアが去年のハロウィンを語る口ぶりには、毎年一番の家だという自負と、その結果を振り返る少しの気まずさが同居していました。表現の引き出しに加えてみてください。


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