海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
周りの人には気を配って声をかけているのに、自分には何も返ってこない、と感じた経験はありませんか。
そんな気持ちを表す「throw out compliments」を、『モダンファミリー』シーズン4第5話の中盤、キャメロンがこぼす本音の一言から、一緒に見ていきましょう。
「throw out compliments」の意味とニュアンス
throw out compliments
意味:褒め言葉を気軽に口にする、褒め言葉をばらまく
throw out compliments は、褒め言葉を惜しみなく、数を出して口にすることを表す表現です。throw outは、考えや提案、質問などを「気軽に口に出して周りに投げかける」ときによく使われる句動詞で、その対象が褒め言葉になった形です。
ひとつの褒め言葉を丁寧に届けるというより、相手を選ばずに次々と口にするイメージがあります。pay someone a complimentのように特定の相手へ丁寧に伝える言い方と比べると、数と気軽さに重点があることが分かります。
同じthrow outは、褒め言葉以外にも広く使えます。throw out an ideaなら「案を出す」、throw out a suggestionなら「提案を口にする」です。抽象的なものを口に出して、周りに投げかけるという核は共通しています。今回のフレーズは、その対象が褒め言葉の場合の言い方です。名詞のcomplimentsは複数形で使われていて、ひとつではなく複数の褒め言葉を出しているという数の感覚も、形の中に表れています。
【ここがポイント!】
- 核は、褒め言葉を相手に向けて気軽にぽんぽんと投げ出すイメージ
- ひとつを丁寧に贈るのではなく、数を出して気軽に口にする響きがある
- ドラマの台詞のように「and not getting anything back」と続けると、返ってこない不満まで言い切れる
『モダンファミリー』S04E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
来客のある場面で、キャメロンが衣装の下の体を見てほしいだけだと話し、ミッチェルが軽く返します。そこへリリーが呼びかけ、ミッチェルが待つように答えたあと、キャメロンが本音をこぼします。今回のフレーズは、その最後の一言に入っています。
Cameron: Oh, well, not in a perverted way. I just want people to see my body under this stupid costume.
(いやその、変な意味じゃないんだ。この馬鹿みたいな衣装の下の僕の体を、みんなに見てほしいだけだよ。)Mitchell: That’s very close to what actual flashers say.
(それ、本物の露出狂が言うことにかなり近いよ。)Lily: Daddy?
(パパ?)Mitchell: Yeah, one second, honey.
(うん、ちょっと待ってね。)Cameron: I’m just tired of throwing out compliments and not getting anything back. I told Roberto his spray tan looked real. Look for yourself. It’s on two of our pillows and our cat.
(ただ、褒め言葉を口にするばかりで何も返ってこないのに、うんざりしてるんだ。ロベルトにはスプレータンが自然に見えるって言ったんだよ。自分で見てみなよ。うちの枕2つと猫についてるから。)Modern Family Season4 Episode5 (Open House of Horrors)
シーン解説と心理考察
キャメロンの言葉の中心にあるのは、口にした褒め言葉に見合う反応が返ってこないという不満です。「うんざりしてるんだ」という一言から、周りには惜しみなく声をかけているのに、自分の側に同じだけのものが返ってこないと感じている様子が読み取れます。
不満の中身が、具体的な出来事で語られる点も見どころです。ロベルトという人物に、スプレータンが自然に見えると伝えたと話し、そのあとに「自分で見てみなよ」と続けます。相手に確かめさせる言い方を選ぶことで、言葉だけの不満では終わりません。そのスプレータンが枕2つと猫についている、という落ちまで添えられているので、不満の中身がありありと伝わります。直前のミッチェルとのやり取りで衣装の下の体を見てほしいと語っていたことも合わせると、こちらを見てほしいという気持ちが、この一言の背景にあることが伝わってきます。
ミッチェルの反応にも注目です。「本物の露出狂が言うことにかなり近い」と、キャメロンの言い分に軽い調子で返し、リリーに呼ばれると「ちょっと待ってね」と応じます。キャメロンの話が中断される形になりますが、そのあとに「ただ」と本音を続けることで、言葉が一段と素直に響きます。ミッチェルの返しの軽さと、キャメロンの本音の重さの対比が、この場面の空気を作っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
throw outは「ぽんと外に投げ出す」動作です。相手に向けて、褒め言葉をひとつずつ軽く投げていく様子を思い浮かべてみましょう。ボールを次々と投げるのに、受け止めた側から何も投げ返されないという絵が浮かびます。
キャメロンが続けた「and not getting anything back(何も返ってこない)」は、この絵の後半にあたります。投げる、しかし返ってこない、という二つの動きを、セットで口に出して覚えると、表現の気持ちまで一緒に身につきます。throw out compliments and not getting anything backという流れを、一つの絵として頭の中に置いておきましょう。誰かに褒め言葉をかけたあと、相手の反応をじっと待つ自分の姿まで思い浮かべると、うんざりした気持ちが言葉と結びつきます。
例文で覚える「throw out compliments」
褒め言葉の場面から会議の場面まで広がる表現なので、場面の違う3つの例文で確認していきましょう。
I’ve been throwing out compliments all evening, but nobody noticed my new haircut.
(ひと晩じゅう褒め言葉をばらまいていたのに、誰も僕の新しい髪型に気づいてくれなかった。)
集まりのあとで愚痴をこぼす場面です。but以下に、返ってこなかった具体的な内容を添えると、不満の中身が伝わりやすくなります。
Our manager likes to throw out compliments at the start of every meeting.
(うちのマネージャーは、毎回の会議の冒頭で、褒め言葉をぱっと口にするのが好きだ。)
職場の習慣を説明する場面です。like to throw outを使うと、その人の癖や習慣として描けます。
A: Why are you so quiet today?
B: I’m tired of throwing out ideas and getting no feedback.
(A:今日はどうして静かなの?)
(B:意見を出しても反応がなくて、疲れちゃったんだ。)
会議で反応がなく落ち込む会話です。compliments以外にもideasを置けることが、throw outの幅の広さを示しています。
あわせて覚えたい関連表現
pay someone a compliment
((人)に褒め言葉を贈る)
pay someone a complimentは特定の相手へ丁寧に伝える形で、throw out complimentsは数多く気軽に口にする感じが出ます。
fish for compliments
(褒め言葉を引き出そうとする)
fish for complimentsは、褒めてほしくて誘い水を向ける表現です。こちらは褒められる側を狙い、throw out complimentsは自分が褒める側です。
shower someone with compliments
((人)を褒め言葉の雨で包む)
shower someone with complimentsは特定の相手に大量に浴びせる言い方で、量の多さを強調します。throw out complimentsは宛先が不特定でもよく、気軽に口に出す動作に重点があります。
Note|褒め言葉の動詞を選ぶ、throw out、pay、fish for、shower
英語の褒め言葉は、動詞を替えるだけで、誰がどんな意図で、どれくらいの量を、誰に向けて出しているのかが変わります。
ひとつめはthrow outで、数を出して気軽に口にする動作です。宛先を絞らず、周りに向けて出している場面に合います。ふたつめのpayは、特定の相手に対して丁寧に伝える動詞で、pay someone a complimentの形で使われます。みっつめのfishは、魚を釣るように褒め言葉を引き出そうとする動詞です。褒める側ではなく、褒められたい側の動作になる点が、ほかの3つと違います。よっつめのshowerは、雨のように特定の相手へ大量に浴びせる動詞で、量の多さが前面に出ます。
キャメロンの言い方は、この中でthrow outがぴったり当てはまります。「ロベルトにはスプレータンが自然に見えるって言った」という具体例も、改まって贈った褒め言葉ではなく、気軽に口にした一言として語られています。誰か一人に丁寧に贈ったのではなく、周りに向けて気軽に出した褒め言葉が、何も返ってこなかったという流れだからです。
動詞を替えるだけで場面が変わることに気づくと、褒め言葉の表現が一気に広がります。
まとめ|投げても返ってこない、キャメロンの本音の一言
throw out complimentsは、褒め言葉を気軽に、数多く口にすることを表す表現です。ひとつを丁寧に贈るpay someone a complimentとは違い、宛先を絞らず出していく感じがあります。
周囲に気を配って声をかけているのに、自分には返ってこないと伝えたいとき、「and not getting anything back」と続ければ、不満の中身まで言い切れます。throw out ideasのように、褒め言葉以外にも広げられる点も使い勝手のよさです。
キャメロンの一言には、出す側でい続けたことへのうんざりした気持ちが、ユーモアを交えてにじんでいました。表現の引き出しに加えてみてください。


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