海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
職場や友人との会話で、ちょっとした本音や噂を「これ、ここだけの話なんだけど」とそっと打ち明けたくなること、ありませんか。
そんなときに使える「between you, me and the wall」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン8第11話の冒頭、シェルドンが弁護士ヒーローのShe-Hulkについて持論を語り出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「between you, me and the wall」の意味とニュアンス
between you, me and the wall
意味:ここだけの話だけど、内緒だけど
基本になっているのは「between you and me(ここだけの話)」という定番表現です。これは「あなたと私の間だけ」、つまり他の人には漏らさない秘密として話す、という意味を持ちます。
そこに「and the wall(と、壁)」を付け足したのが今回の形です。壁という、本来は会話に加わらない無生物をあえて「秘密の同席者」として巻き込むことで、もったいぶった響きやユーモアが生まれます。意味そのものは between you and me と変わらず「他言無用で」ですが、少しおどけた、芝居がかったトーンが加わるのが特徴です。
打ち明ける中身は、確証のない憶測や内輪の評価であることが多く、「大した秘密でもないことを、わざと秘密めかして話す」場面によくなじみます。
【ここがポイント!】
- 核は「between you and me(ここだけの話)」、そこに「壁」を足したアレンジ表現
- 意味は変わらず「内緒で」、ただし、ややおどけた芝居がかった響きが乗る一言
- 確証のない憶測や内輪話を、もったいぶって切り出すときに似合うのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S08E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ラージの両親の離婚話から脱線し、話題はマーベルの女性弁護士ヒーロー、She-Hulkへ。ハワードが「彼女はニューヨークの法律事務所で働いている」と説明すると、シェルドンが持ち前の理屈っぽさで、彼女についての勝手な推論を「内緒の話」として披露します。
Amy: Wait, She-Hulk’s a lawyer?
(待って、She-Hulkって弁護士なの?)Howard: Yeah, she works at a law firm in New York.
(ああ、ニューヨークの法律事務所で働いてるよ。)Sheldon: Yes, but she’s the only monster at the firm. Between you, me and the wall, I think she’s an affirmative action hire.
(そうだね、でも彼女は事務所で唯一の怪物だ。ここだけの話、彼女はアファーマティブ・アクション枠での採用だと思うよ。)The Big Bang Theory Season8 Episode11(The Clean Room Infiltration)
シーン解説と心理考察
たわいない雑談の中で、シェルドンが架空のキャラクターの採用事情を真顔で推論する、彼らしいズレが表れています。「事務所で唯一の怪物だから」という独自の理屈を、さも重大な秘密のように「between you, me and the wall」と前置きして語るところに、もったいぶった話しぶりがにじむ場面です。
打ち明けられている中身は、根拠のない憶測にすぎません。それでも本人は秘密を共有するかのような口ぶりで、聞き手を巻き込もうとします。「ここだけの話」という枠組みが、内容の軽さとは裏腹に、いかにも意味ありげな空気を会話に持ち込んでいます。秘密めかした前置きと中身のギャップが、シェルドンの理屈っぽさをやわらかく見せています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
二人の人物が顔を寄せ合い、その輪の外側にぐるりと壁が立っている情景を思い浮かべてみてください。話の輪に入っているのは「あなた・私・壁」の三者だけ。壁は何も外に漏らさないので、秘密は完全に内側に閉じ込められます。
シェルドンが、大した根拠もない推論を、わざわざ壁まで引き込んで「内緒だよ」と切り出した、あの芝居がかった調子と結びつけてみましょう。秘密の輪に無機物の壁まで加える大げささが、between you and me との違い、つまり「おどけた響き」を記憶に残してくれます。
例文で覚える「between you, me and the wall」
確証のない本音や噂を、そっと切り出すときによくなじむ表現です。少し砕けた場面での3つの使い方を見ていきましょう。
Between you, me and the wall, I don’t think the new manager will last very long.
(ここだけの話、新しいマネージャーは長くは続かないと思うよ。)
同僚に職場の本音をそっと漏らす場面です。確信ではなく「自分の見立て」を内輪で共有する、噂話の典型的な切り出し方になっています。
Between you, me and the wall, the food there wasn’t really worth the price.
(ここだけの話、あそこの料理は値段ほどではなかったね。)
友人にお店の率直な感想を伝える場面です。表立っては言いにくい辛口の評価を、内緒の前置きでやわらげて打ち明けています。
A: You seem to know a lot about what’s going on upstairs.
B: Between you, me and the wall, they’re planning to reorganize the whole team.
(A:上の階で何が起きてるか、ずいぶん詳しいんだね。)
(B:ここだけの話、チーム全体を再編する計画があるんだ。)
社内の未確定情報をそっと共有する会話です。まだ公にできない話を「内緒で」と前置きして渡す、自然なやりとりになっています。
あわせて覚えたい関連表現
between you and me
(ここだけの話、内緒だけど)
今回のフレーズのいわば原型です。「壁」を足さないシンプルな形で、最も一般的に使われます。今回の表現は、これにおどけた響きを加えたバリエーションだと捉えると分かりやすいです。
just between us
(私たちだけの話だけど)
こちらもほぼ同じ意味の、くだけた言い換えです。「us」と複数になるため、二人に限らず数人の内輪で「ここだけの話」と前置きするときにも自然に使えます。
off the record
(オフレコで、記録に残さずに)
報道や公式の場で「公にしないでほしい」というニュアンスを持つ表現です。between you and me より硬く、公的な含みがある点で使い分けられます。
Note|between you and me に足される「壁」の仲間たち
「between you, me and the wall」の面白さは、会話に加われないはずの「壁」を秘密の相手に加えてしまうところにあります。実はこの遊び、壁だけにとどまりません。
英語には between you and me の語尾に無生物を付け足すバリエーションがいくつもあります。代表的なのが「between you, me and the gatepost(門柱)」で、イギリス英語でよく耳にする言い方とされています。ほかにも「between you, me and the bedpost(ベッドの支柱)」「between you, me and the lamppost(街灯柱)」など、その場の柱や家具を秘密の同席者に仕立てる形が知られています。いずれも意味は「ここだけの話」で共通していて、付け足される無生物が変わっても、伝えたい内容は変わりません。変わるのは響きだけで、柱や壁を巻き込むことで、話し手のおどけた調子やくだけた親しみが言葉に乗ります。秘密を「人」だけでなく身の回りの「物」とも共有してみせる——この大げささそのものが、表現に愛嬌を与えているのです。
シェルドンが壁を引き合いに出したのも、こうした言葉遊びの一つです。中身は軽い憶測でも、形式だけは秘密の作法を踏む。その大仰さが、彼のキャラクターとよく噛み合っています。
「ここだけの話」に、ほんの少しの遊び心が隠れているのですね。
まとめ|シェルドンの「内緒話」から見えるもの
「between you, me and the wall」は、定番の between you and me に「壁」を足して、「ここだけの話」をおどけた響きで切り出す表現です。意味そのものは変わらず、確証のない本音や内輪の評価を、秘密めかして打ち明ける場面によくなじみます。
この一言を知っておくと、英語の会話で誰かが秘密めかして話し出したとき、その後ろにあるユーモアや親しみの温度まで感じ取れるようになります。
職場でも友人とのあいだでも、ちょっとした本音をやわらかく切り出す言葉として、表現の引き出しに加えてみてください。


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