海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ダメだと分かっていても、つい食べすぎたり、つい余計な一言を言ってしまったり。抑えようとしても抑えられなかった経験は、誰にでもありますよね。
そんな「つい〜してしまう」を表す「can’t help oneself」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第21話の、カフェテリアでバートが自分の振る舞いを弁解する場面から、一緒に見ていきましょう。
「can’t help oneself」の意味とニュアンス
can’t help oneself
意味:(つい)自分を抑えられない、我慢できない
「can’t help oneself」は、衝動や感情に押されて、理性で自分を止められない状態を表します。直訳すると「自分自身を help できない」ですが、ここでの help は「助ける」ではなく「避ける・抑える」という古い意味合いです。
ポイントは、「したくてした」のではなく「抑えようとしたのにできなかった」という弁解や告白のニュアンスを含むことです。oneself の部分は主語に合わせて myself / yourself / himself などに変わります。つい食べすぎた、つい笑ってしまった、つい買ってしまった、といった軽い後ろめたさを伴う行動について、場を和ませながら打ち明けるときによく使われます。
【ここがポイント!】
- ここでの help は「助ける」ではなく「抑える・避ける」を表す意外な一語
- 「したくてした」ではなく「抑えられなかった」という弁解がにじむ表現
- oneself は主語に合わせて myself / himself などに変えるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S10E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
シェルドンの番組に、地質学者のバートが私事で割り込んでしまった件が話題になります。番組を台無しにされたとぼやくシェルドンに対し、バートが悪気なく舞い上がっていた自分を弁解する場面です。
Sheldon: Yeah, which he rudely announced on my flag show. People were so upset about it no one else called in the rest of the night.
(ああ、しかも僕の旗番組で無礼にも発表したんだ。みんな怒って、その後は誰も電話してこなかった。)Bert: Sorry. I couldn’t help myself. I guess I just love love.
(ごめん。つい抑えられなかったんだ。愛が好きすぎるんだと思う。)Raj: Well, I’m very happy for you.
(まあ、おめでとう。)The Big Bang Theory Season10 Episode21(The Separation Agitation)
シーン解説と心理考察
新しい恋人ができて舞い上がったバートが、番組のルールも忘れて私的な報告をしてしまった、その後ろめたさが「I couldn’t help myself.」の一言ににじむ場面です。続く「I just love love.」と重ねることで、「分かっていたのに、つい」という人間味のある自己分析になっています。
シェルドンが番組を台無しにされたと不満を述べる一方、バートには悪気がまるでありません。この温度差が会話の温度を変えています。叱られても憎めないバートの純朴さと、それを持て余す周囲の反応が、短いやり取りの中に表れています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
坂道で転がり出してしまった自分を、後ろから自分の手で必死に押さえようとするけれど止められない、そんな絵を思い浮かべてみてください。ここでの help は「助ける」ではなく「(自分を)止める・抑える」。その手が届かない状態が「can’t help oneself」です。
恋に浮かれたバートが、番組のルールを分かっていながら「つい」彼女自慢をしてしまった衝動と重ねると、help が持つ意外な意味が記憶に残ります。止めようとする手と、止まらない勢い。その二つを同時に思い描くのが覚え方のコツです。
例文で覚える「can’t help oneself」
軽い言い訳から自分の癖の説明まで、「can’t help oneself」は日常のさまざまな場面で活躍します。3つの例文で使い方を見ていきましょう。
The cake looked so good, I couldn’t help myself.
(ケーキがあまりに美味しそうで、つい食べちゃった。)
食べすぎを軽く詫びる場面です。「つい食べてしまった」という、このフレーズの最も典型的な使い方です。
She can’t help herself when it comes to shoes.
(靴のこととなると、彼女は自分を抑えられない。)
誰かの買い物の癖をからかう場面です。when it comes to(〜のこととなると)と組み合わせると、対象を絞って言えます。
A: Did you really tell your boss what you thought?
B: I know I shouldn’t have, but I couldn’t help myself.
(A:本当に上司に思ってることを言っちゃったの?)
(B:言うべきじゃなかったのは分かってる、でも抑えられなかったんだ。)
つい本音を口にしてしまった場面です。「分かっていたのに、つい」という後悔と弁解が同時に伝わる使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
can’t resist
(抗えない、我慢できない)
魅力的な誘惑に抵抗できない様子を表します。can’t help oneself と近い意味ですが、resist は直後に対象を取れる(can’t resist chocolate)点が違います。
can’t stop oneself
(自分を止められない)
行為を途中で止められないニュアンスが強い表現です。can’t help oneself が「そもそも避けられない」のに対し、こちらは「始めた行動が止まらない」感覚です。
give in to temptation
(誘惑に負ける)
誘惑に屈してしまう結果を表す言い方です。can’t help oneself よりやや文章的で、改まった場面でも使いやすい表現です。
Note|help に隠れた「避ける」の意味 ― なぜ「助けられない」が「我慢できない」になるのか
「can’t help myself」を初めて見たとき、「自分を助けられない?」と戸惑う学習者は少なくありません。この違和感の正体は、help という単語のもう一つの顔にあります。
現代英語で help は「助ける」が中心の意味ですが、古い用法には「防ぐ・避ける」という意味があったとされます。この「避ける」の help が、can’t help の形で今も生き残っています。つまり「can’t help it」は「それを避けられない」、「can’t help myself」は「自分(の行動)を避けられない=抑えられない」が成り立ちというわけです。同じ help でも、セルフサービスで料理を取る「help oneself to ~(自由に取る)」とは別系統の使い方で、ここが学習者の混乱しやすいところです。help that(避ける)、can’t help but do(〜せずにはいられない)など、「避ける」の help はいくつかの慣用表現にまとまって残っています。
この背景を知っておくと、「can’t help oneself」が「我慢できない」と訳される理由が腑に落ちます。help を「助ける」と直訳しようとせず、「避けられない」と読み替えるのが理解の近道です。
一つの単語が抱える二つの意味が、フレーズの奥行きをつくっているのですね。
まとめ|バートの「つい」から学ぶ素直な言い訳
「can’t help oneself」は、衝動を抑えようとしても抑えられない、その「つい」を表すフレーズです。help が「避ける」の意味を帯びているため、「自分を避けられない=抑えられない」という成り立ちになっています。
この一言が使えると、つい食べすぎたときも、つい余計なことを言ってしまったときも、深刻になりすぎず素直に打ち明けられます。軽い後ろめたさを、笑いに変えてくれる便利な言い回しです。
恋に浮かれて「つい」やってしまったバートのように、抑えきれない瞬間を言葉にしたいとき、会話のレパートリーに加えてみてください。


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