海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン10 第18話から、「I realize it’s irrational, but」という一言を取り上げます。自分の元の部屋にラージが越してくることになったシェルドンが、エイミーとの会話で、理屈に合わないと分かっていながら割り切れない気持ちを打ち明ける場面があります。
自分でもうまく説明できない気持ちを、どんな前置きで口にすればよいのか。場面に沿って見ていきます。
「平気じゃない」と認めるまでのやり取り
舞台はアパートのロビーです。シェルドンはエイミーに、ラージが自分の元の部屋に越してくることで、people just assume I’m going to be upset(みんなが僕は動揺するものと決めつけている)のは不公平だとこぼします。
Amy: But you are, aren’t you?
(でも、動揺しているのよね?)Sheldon: Oh, I’m outraged.
(ああ、激怒している。)Amy: Talk to me. Tell me what’s going on.
(話して。何があったのか教えて。)TBBT Season10 Episode18
エイミーの But you are, aren’t you? は、付加疑問で相手の本心を言い当てる聞き方です。you are の後ろには、直前のシェルドンの言葉 going to be upset が省略されており、「決めつけも何も、実際そうでしょう」と返しています。決めつけられるのは不公平だと言った直後に、シェルドンは outraged(激怒している)という強い語であっさり認めています。否定から一転して本音が出る流れが、この場面のおかしみと言えます。
続く Talk to me. Tell me what’s going on. は、打ち明けを促す側の一言です。問い詰めるのではなく「話を聞く」と示す働きがあり、ここから本題の告白へとつながっていきます。
「I realize it’s irrational, but」で気持ちを打ち明ける
シェルドンは、レナードと出会う前から自分の部屋だったと話し、エイミーも思い出の詰まった部屋だと応じます。そのうえでシェルドンが口にするのが、次の一言です。
Sheldon: I realize it’s irrational, but with Raj moving in there, I’m feeling a bit replaced.
(非合理なのは分かっている。だが、ラージがあそこに越してくると、少し取って代わられたように感じるのだ。)Amy: Well, this isn’t an easy time for him. He’s losing his apartment, he’s in debt, he’s probably humiliated.
(でも、彼にとって楽な時期じゃないわ。アパートを失って、借金を抱えて、たぶん屈辱を感じているわ。)TBBT Season10 Episode18
I realize it’s irrational, but ~ は「理屈に合わないのは分かっているけれど」と先に断ってから気持ちを言う前置きです。自分でも筋が通らないと認めておくことで、相手に反論の手間をかけさせず、気持ちそのものを聞いてもらいやすくなります。
irrational は「理性的でない」という意味で、ここでは感情が理屈に追いつかない状態を指しています。後半の a bit(少し)も、replaced(取って代わられた)という強い言葉を和らげる働きをしています。日常では、I realize it’s irrational, but I get nervous on planes.(理屈に合わないのは分かっているけど、飛行機に乗ると緊張してしまう)のように、自分の不安や苦手を打ち明ける場面で使えます。
本人が言うか、他人が言い当てるか
別の場面、向かいの部屋での食事の席で、シェルドンはエイミーの言葉のprobablyをmustに強めて、you must be humiliated とラージに言ってしまいます。エイミーにたしなめられた後、ラージはこう返します。
Raj: You’re right, I am humiliated. Thanks for pointing it out. You’re such a jerk.
(そうだよ、屈辱だよ。わざわざ言ってくれてありがとう。君って本当に嫌なやつだな。)TBBT Season10 Episode18
Thanks for pointing it out. は、ここでは感謝ではなく皮肉です。その後、ラージ自身が My life’s a wreck.(僕の人生はめちゃくちゃだ)と口にすると、シェルドンは How come he can say it and I can’t?(なぜ彼は言ってよくて、僕はだめなのだ?)とエイミーに尋ねます。同じ気持ちでも、本人が打ち明けるのと他人が言い当てるのとでは受け取られ方がまるで違うことが分かります。
さらに別の場面では、ビバリーに How are you? と聞かれたシェルドンが、Honestly, I’ve been better. と答えています。「もっと調子のいい時もあった」と遠回しに不調を伝える、正直な近況の返し方です。
まとめ|前置きひとつで気持ちは伝わりやすくなる
今回は、理屈に合わないと自覚した気持ちを打ち明ける I realize it’s irrational, but、強い言葉を和らげる a bit、正直な近況を伝える Honestly, I’ve been better を見てきました。前置きがあると、相手が気持ちを受け止めやすくなります。
シェルドンの不器用な打ち明け方は、『ビッグバン★セオリー』の場面とあわせて観ると、言葉の選び方の面白さが見えてきます。
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