海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン6 第19話に登場する、知りたいけど知りたくないという相反する気持ちを、専門用語を借りた言い回しで説明する場面です。父からの手紙の中身を前にしたハワードのために、友人たちは一つの解決策を思いつきます。それは、物理学の考え方を借りて、あえて中身を教えないままにするというものでした。
深刻な提案を切り出す前置きの言い方から、専門用語を借りて状況を言い換える言い方まで、順番に見ていきます。
深刻な提案を切り出す前の、前置きの言い方
席を立ってクローゼットにこもったハワードのもとへ、友人たちがやって来ます。口火を切るのはレナードです。
Leonard: When you left, you weren’t sure whether or not you wanted to know what was in your dad’s letter, so we came up with kind of a cool solution.
(さっき出て行った時、君は父さんの手紙の中身を知りたいのかどうか自分でも分からない様子だった。だから、僕たちでちょっといい解決策を考えたんだ。)TBBT Season6 Episode19 (The Closet Reconfiguration)
we came up with kind of a cool solution は、これから提案する内容への期待を持たせつつ切り出す前置きの言い方です。kind of を添えることで、言い切らずに控えめな響きを残しているところが見どころです。相手が揺れ動く気持ちを抱えていることをまず確認したうえで解決策があると伝えるレナードの切り出し方は、深刻になりすぎない話の運び方として参考になります。
誰も口にしなかった話題を、専門用語で説明する言い方
シェルドンが提案の中身を説明します。
Sheldon: It’s simple, really. It occurred to me that knowing and not knowing can be achieved by creating a macroscopic example of quantum superposition. The, the principle that a physical system exists partially in all its possible states at once.
(実にシンプルな話だ。知っていると知らないを両立させるには、量子的重ね合わせの巨視的な例を作り出せばいいと思いついたんだ。つまり、物理系はあらゆる可能な状態に部分的に同時に存在しているという原理だよ。)Penny: We were all thinking it, really. It was kind of the elephant in the room, so…
(実はみんな思ってたことなんだけどね。誰も触れずにいた話題ってやつだったから……)TBBT Season6 Episode19 (The Closet Reconfiguration)
a macroscopic example of quantum superposition は、目に見えない現象を身近な規模で再現する言い回しです。ペニーの elephant in the room は、誰も触れずにいた話題を指す表現です。
専門用語で、揺れる気持ちに名前をつける言い方
シェルドンは、提案の核心をこう言い表します。
Sheldon: Anyway, um, I realized that if we each present you with an account of what your father wrote to you, only one of which is true, and then we don’t tell you which one it is, you will forever be in a state of epistemic ambivalence.
(とにかく、僕たち一人一人が君に手紙の内容を語って聞かせて、そのうちの一つだけが本当で、どれが本当かは教えないでおけば、君は永遠に認識論的な板挟みの状態でいられるって気づいたんだ。)Penny: Yeah. And I said if it wasn’t epistemic, we might as well not do it.
(そうそう。それに、認識論的じゃなかったら、やる意味がないでしょって私も言ったのよ。)TBBT Season6 Episode19 (The Closet Reconfiguration)
epistemic ambivalence は、知りたい気持ちと知りたくない気持ちの間で揺れる状態を学術的な言葉で言い換えたものです。ペニーの if it wasn’t epistemic, we might as well not do it は、その難しさ自体を茶化す返しです。
まとめ|知りたいけど知りたくない気持ちは、難しい言葉でも言い表せる
深刻な提案の前置きと、専門用語で状況を言い換える言い方を見てきました。elephant in the roomやepistemic ambivalenceは、理屈立った響きを添えたい時の参考になりそうです。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話とともに、英語表現の型を見ていきましょう。
このエピソードで登場した英語表現は、他のコラムやエピソードまとめでも異なる角度から取り上げています。


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