海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン3 第3話の朝食シーンに登場する、似た響きの単語をめぐるやりとりです。愚痴をこぼしたペニーの一言を、シェルドンが屁理屈を交えて訂正し始める場面には、impossibleとimprobableという紛らわしい2つの英単語の違いが凝縮されています。
オートミールにこだわり続けるシェルドンをめぐる、その言い換えのやりとりを、順番に見ていきます。
「He’s impossible」―「どうしようもない人」を表す口語表現
朝食のキッチンで、オートミールにこだわり続けるシェルドンに根負けしたペニーが、思わずこうつぶやきます。
Penny: You know what, I give up. He’s impossible.
(もう知らない、降参するわ。あの人、どうしようもない人ね。)Sheldon: I can’t be impossible. I exist. I believe what you meant to say is, “I give up, he’s improbable.”
(僕がimpossible、つまり不可能であるはずがない。現に存在しているのだから。君が言いたかったのは、「降参、あの人はimprobableね」ということのはずだ。)TBBT Season3 Episode3 (The Gothowitz Deviation)
He’s impossible. は「あの人はどうしようもない」「手に負えない」と、相手に呆れたときに使う口語的な言い方です。文字通りには「不可能」を意味するimpossibleですが、日常会話では人の性格や態度へのお手上げ感を表す誇張表現として使われています。
シェルドンはこの発言を文字通りに受け取り、「自分が存在している以上、impossible(不可能)であるはずがない」と屁理屈を返し、意味がより近い単語としてimprobableを提案します。impossibleが「論理的・物理的に起こり得ない」ことを指すのに対し、improbableは「可能性は低いが、起こり得なくはない」というニュアンスの違いがあります。日常会話でうっかりimpossibleと言ってしまいがちな場面でも、正確にはimprobableの方がふさわしいことは少なくありません。
くり返される「impossible」―同じ単語の使い分けに見るオチ
この訂正のあと、レナードから「ペニーへの対応を見直すべきだ」と指摘されたシェルドンは、こう返します。
Sheldon: What am I supposed to do, eat French toast on a Monday? Now, that would be impossible.
(じゃあ僕にどうしろと?月曜日にフレンチトーストを食べろとでも言うのか。それこそimpossible、あり得ないことだ。)TBBT Season3 Episode3 (The Gothowitz Deviation)
シェルドンは月曜日を「オートミールの日」と自分で決めており、その日にフレンチトーストを食べることは、本人にとって文字通り「起こり得ないこと」、つまりimpossibleです。先ほどペニーの発言を「improbableの言い間違いだ」と正した本人が、自分の話では迷わずimpossibleを選んでいるところが、このやりとりのオチと言えます。
似た響きの2つの単語も、話し手が「本当に起こり得ない」と捉えているか「可能性は低いが起こり得る」と捉えているかによって、選ぶ単語が変わってくることが読み取れます。impossibleとimprobableはスペルも響きも近いため、リスニングや読解の際に混同しやすい組み合わせです。話し手が「絶対に起こらない」と言い切っているのか、「可能性は低いが起こり得る」と留保をつけているのかに注目すると、2つの単語の境界線を聞き分けやすくなります。
まとめ|impossibleとimprobable、境界線の引き方
He’s impossible.、he’s improbable.、that would be impossible.。似た響きの2つの単語も、話し手が何を「起こり得ない」と捉えているかによって使い分けられている場面です。impossibleとimprobableの境界線を意識しておくと、英語の言い回しの精度が上がります。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
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