海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン4 第10話に登場する、体育館でのプロレス対決が長引いて決着がつかないまま、ハワードとラージが頭韻(同じ音で始まる単語)を踏んだ大げさな悪口を繰り出し合う場面の英語表現です。
勝敗のつかない対決を茶化し合う中で生まれる、言葉遊びとしての悪口の型を見ていきます。
「You can’t win.」「I can’t lose.」で始まる売り言葉に買い言葉
対決が長引く中、ラージはハワードに勝ち目がないと告げますが、ハワードは負けを認めず、言い換えで返します。
Raj: You realize you can’t win.
(お前に勝ち目がないの、わかってるか?)Howard: I prefer to think that I can’t lose.
(俺は、負けないと考える方を選ぶね。)Raj: You’re wrong. It’s only a matter of time before you fall into Rat-Man’s rat trap.
(それは違うね。お前がラットマンの罠にはまるのは時間の問題だよ。)TBBT Season4 Episode10 (The Alien Parasite Hypothesis)
You can’t win. という直球の指摘に対し、ハワードは I prefer to think that I can’t lose.(俺は負けないと考える方を選ぶ)と、同じ状況を別の言葉で言い換えて劣勢を認めません。ラージも It’s only a matter of time before …(〜は時間の問題だ)と自信たっぷりに畳みかけ、どちらも一歩も譲らない構えを崩さないまま、掛け合いは次の段階へと移っていきます。
頭韻を踏んで、少しずつ大げさになる悪口の応酬
決着のつかない膠着状態の中、二人は相手を罵る一言を次々と繰り出し始めます。それぞれの悪口は、同じ子音で始まる単語を組み合わせた頭韻(alliteration)になっているのが特徴です。
Howard: You pathetic fool! If there were a rat-catcher, wouldn’t it catch Rat-Man?
(哀れな愚か者め! ネズミ捕り屋がいたら、ラットマンだって捕まえるはずだろう?)Raj: Just because I didn’t express myself well doesn’t mean my underlying point was invalid! You bloviating buffoon!
(うまく言えなかったからって、僕の言い分そのものが間違っているとは限らないぞ! この大げさにまくし立てるだけの道化者め!)Howard: You narcissistic nincompoop!
(このうぬぼれ屋のうつけ者め!)Raj: You crimson coward! Oh, Leonard, wake up, you’re missing some very excellent superhero quips.
(この真っ赤な臆病者め! ああ、レナード起きろよ、最高のヒーロー気取りの決め台詞を見逃してるぞ。)TBBT Season4 Episode10 (The Alien Parasite Hypothesis)
bloviating buffoon(まくし立てる道化者)はB音、narcissistic nincompoop(うぬぼれ屋のうつけ者)はN音、crimson coward(真っ赤な臆病者)はC音と、それぞれ同じ子音で始まる単語を組み合わせています。相手が繰り出した頭韻の技をそのまま受け止め、自分も別の子音で言い返すところに、この掛け合いの面白さがあります。悪口としての意味よりも、音のそろい方を競い合う言葉遊びとしての側面が強く、ハワードとラージのどちらも決着をつけないまま、レナードへの呼びかけで幕を閉じます。
まとめ|頭韻で応酬する、決着のつかない言葉遊び
I can’t lose.、It’s only a matter of time before …、bloviating buffoon、narcissistic nincompoop、crimson coward。同じ子音で始まる大げさな単語を次々と繰り出し合うこの掛け合いには、悪口を言葉遊びに変えてしまう英語らしい応酬の型が見えてきます。
決着のつかないまま終わる二人のやり取りには、対等な友人同士だからこそ成立する軽妙さが感じられます。
同じエピソードのフレーズ記事やエピソードまとめもあわせて読むと、この夜の英語表現がより立体的に見えてきます。


コメント