海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「うちの家系はみんなこうなんだよね」と、体質や性格について話したくなったことはありませんか。
そんなときにぴったりの「run in one’s family」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン4第10話、Howard が Raj の「一番怖いもの」を当てようとする大学のカフェテリアのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「run in one’s family」の意味とニュアンス
run in one’s family
意味:(病気・性格・特徴などが)家系に多い、代々受け継がれている
ある特徴が家族の中で代々見られることを表す表現です。病気や体質はもちろん、性格、才能、髪や目の色、さらには「みんな早起き」「料理上手が多い」といった傾向まで、幅広い対象に使えます。
この run は「走る」ではなく「(ある状態が)続いて流れる・行き渡る」という意味合いです。家系という流れの中を、その特徴が脈々と通っているイメージです。one’s の部分には my / his / her / the などが入り、特に the を使った run in the family は決まり文句としてよく登場します。It runs in the family(それはうちの家系なんだ)と言えば、自分や身内の特徴を「血筋だから」と説明できます。日常会話で非常によく使われ、病気のように深刻な話題から、ちょっとした傾向の軽い話題まで、トーンを選ばず使える便利な表現です。
【ここがポイント!】
- run は「走る」ではなく「家系の中を脈々と流れる」イメージで捉えるのがコツ
- 病気・性格・才能・体質まで、対象を選ばず使える幅広さが魅力
- the を使った run in the family が決まり文句としてよく登場する一言
『ビッグバン★セオリー』S04E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
Howard が Raj に「お前が心底怖がっているもの」を当てようと迫ります。ところが Raj は質問の意図を取り違え、まったく見当違いの「家系の病気」を真剣に挙げてしまう、というすれ違いの場面です。run in one’s family が自然な流れで飛び出します。
Howard: No. Something very specific that we both know you, Rajesh Koothrappali, are terrified of.
(違う。お前ラジェッシュ・クースラパリが心底怖がってる、すごく具体的なやつだよ。)Raj: Well, type two diabetes runs in my family. The thought of losing a toe…
(えっと、2型糖尿病はうちの家系に多いんだ。足の指を失うかもって考えると…)The Big Bang Theory Season4 Episode10(The Alien Parasite Hypothesis)
シーン解説と心理考察
Howard が引き出そうとしているのは「クモ恐怖症」という具体的な弱点なのに、Raj は質問を生真面目に受け取り、家系の病気という的外れな方向へ話を進めてしまいます。この噛み合わなさが笑いの核心です。runs in my family という表現自体はごく自然で、Raj が自分の健康不安を淡々と語るリアリティを支えています。怖いものを問われて反射的に「遺伝する病気」を持ち出すあたりに、心配性で理屈っぽい Raj の人物像がにじんでいると言えます。深刻な単語(糖尿病、足の指)を並べながらも、観客には Howard の狙いとのズレが見えているため、シリアスにはならず軽妙に響きます。フレーズが会話の「ボケ」を支える土台として機能しているのが伝わってきます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
一本の川が、上流から下流へと途切れず流れていく様子を思い浮かべてみてください。その川を「家系」、流れる水を「ある特徴」と見立てると、run in one’s family の感覚がつかめます。祖父母から親へ、親から子へと、特徴が川のように流れ続けている。Raj が「糖尿病はうちの家系を流れている」と語ったのも、まさにこの流れのイメージです。run を「走る」と訳すと固いので、「血筋を流れていく」という水の動きで覚えておくと、どんな対象にも応用が利きます。
例文で覚える「run in one’s family」
病気だけでなく、性格や才能にも使えるのがこの表現の幅広さです。3つの場面で対象の広さを感じてみましょう。
High blood pressure runs in my family, so I get checked regularly.
(高血圧はうちの家系に多いので、定期的に検査を受けています。)
健康診断の文脈で体質的なリスクを説明する場面です。病気・体質について語る、最も典型的な使い方です。
Musical talent seems to run in their family.
(音楽の才能は、あの一家の血筋みたいだね。)
家族そろって音楽が得意な様子を評する場面です。才能やポジティブな特徴にも自然に使えることがわかります。
A: You’re so calm under pressure.
B: Ha, it runs in the family. My dad never panics either.
(A:君ってプレッシャーに強いよね。)
(B:はは、家系なんだ。父も全然パニックにならない人でね。)
性格について軽く語る会話です。the を使った決まり文句 run in the family の自然な用例です。
あわせて覚えたい関連表現
be hereditary
(遺伝性である)
医学的・フォーマルな文脈で「遺伝によって受け継がれる」ことを指します。run in one’s family が日常会話寄りなのに対し、be hereditary は診断書や説明書きのような硬い場面でよく使われます。
be genetic
(遺伝子による)
科学的な観点から「遺伝子に起因する」ことを述べる表現です。原因のメカニズムに踏み込む響きがあり、run in one’s family の「血筋で続いている」という素朴な言い方とは温度が異なります。
take after someone
(〜に似ている)
親や祖先に容姿・性格が似ていることを表します。家系の傾向ではなく「特定の誰かに似る」点に焦点がある表現で、run in one’s family と組み合わせて使うと家族の話に厚みが出ます。
Note|run in the family / be hereditary / be genetic の使い分け
「家系に受け継がれる」という同じ内容でも、英語には硬さの異なる言い方が複数あります。今回の run in one’s family を軸に、レジスター(言葉の硬さ)の違いを整理してみましょう。
最もくだけているのが run in one’s family です。日常会話の定番で、病気から性格、才能、ちょっとした癖まで対象を選ばず、深刻にも軽くも使えます。次に be hereditary は一段フォーマルになり、「遺伝性の」という医学寄りの響きを持ちます。This condition is hereditary(この症状は遺伝性です)のように、医師の説明や公的な文書で見かける表現です。さらに専門的なのが be genetic で、「遺伝子に起因する」という科学的なメカニズムに踏み込みます。研究や医療の議論で、原因を遺伝子レベルで語るときに選ばれます。
つまり同じ「家系の話」でも、友人とのおしゃべりなら run in the family、病院での説明なら hereditary、科学番組や論文なら genetic、と場面に応じて使い分けられているのです。今回のシーンで Raj が選んだのは、最もくだけた runs in my family でした。友人との何気ない会話だからこそ、この素朴な言い回しがぴたりとはまっています。
同じ事実でも、選ぶ言葉が会話の場を物語っているのです。
まとめ|血筋を流れる特徴を語る一言
run in one’s family は、ある特徴が家族の中を代々流れ続けている、その様子をすくい取る表現です。run を「走る」ではなく「血筋を流れていく」と捉えるのが、意味を体でつかむ近道と言えます。
病気のような深刻な話題から、才能や性格といった日常の軽い話題まで、トーンを選ばず使えるのがこの表現の強みです。自分や身内の特徴を「血筋だから」とやわらかく説明したい場面を思い浮かべながら、会話のレパートリーに加えてみてください。


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