「for the sake of argument」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S06E02で学ぶ英会話

「for the sake of argument」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

相手の言い分に必ずしも納得していないけれど、話を前に進めるために「まあ仮にそうだとして」と一歩譲ってみせた経験はありませんか。

そんなときに使える「for the sake of argument」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第2話の中盤、映画館でエイミーから打ち明けられたペニーの悩みを、シェルドンが理屈で検証しようとするシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「for the sake of argument」の意味とニュアンス

for the sake of argument
意味:議論のために仮に、仮にそうだとして

for the sake of argument は、自分が必ずしも同意していない前提を、議論を進めるために「いったん受け入れる」と示す前置き表現です。「これから仮定の話をしますよ」という合図として使われます。

直訳すると「議論のために」となり、for the sake of ~(~のために)という定型に argument(議論・論証)が組み合わさっています。本心では賛成していなくても、話を成り立たせるためにとりあえずその前提を土俵に上げる、という留保のニュアンスを含みます。

ディベートや議論の場で「仮にあなたが正しいとして」と一歩譲ってから反論を組み立てるときや、日常会話で「もし仮に~だったら」と思考実験を始めるときに活躍する、知的で落ち着いた響きの表現です。

【ここがポイント!】

  • for the sake of argument は「議論のために、ひとまずそう仮定して」という前置き
  • 「本心では同意していないが」という留保がにじむのが特徴
  • ディベートでも雑談の思考実験でも使える、知的で便利な一言

『ビッグバン★セオリー』S06E02のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

映画館で、エイミーから「ペニーがレナードと別れるか迷っている」と打ち明けられたシェルドン。人間の感情を「複雑」と片付けられた彼は、それを科学の複雑さと比べて一蹴しつつ、論理的に話を検証しようとします。

Amy: It’s complicated.
(複雑なのよ)

Sheldon: String theory is complicated. That’s just yucky. Don’t get any ideas. All right, for the sake of argument, let’s say that’s true. Why doesn’t Penny just end the relationship?
(複雑なのは弦理論だ。これはただ気持ち悪いだけ。変な気を起こすなよ。まあいい、仮にそれが本当だとしよう。だったらなぜペニーはさっさと関係を終わらせない?)

Amy: She’s not sure how she feels.
(自分の気持ちが分からないのよ)

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シーン解説と心理考察

人間の感情を「複雑」と表現したエイミーに対し、シェルドンが「複雑なのは弦理論だ」と返すところに、感情より論理を優先する彼の世界観が表れています。それでも話を切り捨てず、for the sake of argument と前置きして検証に入る姿勢には、彼なりの誠実さがにじみます。

このフレーズは、相手の主張をいったん受け入れる体裁を取りながら、そこから論理の穴を突こうとする構えを作ります。賛同していないことを暗に示しつつ仮定を進める、二段構えの言い回しなのです。ディベートの作法をそのまま日常会話に持ち込むあたりが、いかにもシェルドンらしい場面と言えます。

「自分の気持ちが分からない」という、彼にとって最も理解しがたい人間の状態が、この理屈っぽい前置きと噛み合わずに笑いを生んでいます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

ディベートの試合で、対戦相手の主張をいったんリングの上に引き上げてから、おもむろに論破にかかる――そんな構えを思い浮かべてみてください。for the sake of argument は、その「相手の前提を一度土俵に乗せる」身ぶりにあたります。

シェルドンが「賛成はしないが、仮に本当だとして」と前置きしてから反論を始めたように、本心はいったん脇に置き、議論のテーブルに仮の前提を差し出すイメージで覚えると定着します。手のひらで何かをそっとテーブルに置く動作と一緒に唱えると、この前置きの役割が体に残ります。

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例文で覚える「for the sake of argument」

for the sake of argument は、会議の議論から友人との雑談まで幅広く使えます。場面の異なる3つの例文で、その使い勝手をつかんでみましょう。

For the sake of argument, let’s say we double the budget. What happens then?
(仮に予算を倍にするとしよう。そうしたら何が起きる?)
会議で仮定のシナリオを検討する場面です。「もしこうなったら」と思考実験を始める、ビジネスの議論で頻出する用法になっています。

Just for the sake of argument, let’s assume the data is wrong.
(議論のためだけに、データが間違っていると仮定してみよう)
前提を疑って検証する分析の場面です。just を足すと「あくまで仮に」という留保がより強調されます。

A: There’s no way he’d quit. He loves this job.
B: For the sake of argument, what if he did?
(A:彼が辞めるわけないよ。この仕事が大好きなんだから。)
(B:仮の話だけど、もし辞めたらどうする?)
相手の断定にあえて仮定をぶつける場面です。劇中のシェルドンに近い、相手の前提を一度のんでから話を進める使い方になっています。

あわせて覚えたい関連表現

hypothetically (speaking)
(仮の話だけど、あくまで仮定として)
「仮定として」と広く前置きする副詞です。for the sake of argument が「議論を進めるために相手の前提を一旦のむ」という対話的な含みを持つのに対し、hypothetically はより中立的に仮定を示します。

let’s say (that)
(~だとしよう)
仮定を導入する軽い言い回しです。劇中でも for the sake of argument に続けて使われています。for the sake of argument にある「本心では同意していないが」という留保はなく、もっと気軽に前提を置けます。

playing devil’s advocate
(あえて反対の立場を取る)
議論を深めるために、わざと反対役を演じることを指します。for the sake of argument が「仮にこの前提で進めよう」という枠組みの設定なら、devil’s advocate は「あえて反対役を引き受ける」立場の表明にあたります。

Note|argument が「口論」ではなく「論証」を指すとき

for the sake of argument の argument は、私たちがよく知る「口げんか」の意味ではないとされます。

argument という単語を辞書で引くと、まず「口論・言い争い」という訳が目に入ります。けれども、この単語には本来「論証・議論・主張の筋道」というもう一つの意味があり、こちらが古くからの中心的な語義だったと言われています。学術や論理の世界では、今でも argument は「ある結論を導くための筋の通った主張」を指す言葉として使われます。for the sake of argument の argument は、まさにこの「論証・議論」の意味で生きているのです。つまりこの定型句は「論証を成り立たせるために」「議論を前へ進めるために」という、知的なディベート文化のなかで磨かれてきた前置きだと考えられます。日常では「口論」の意味が目立つために誤解しやすいのですが、ここでの argument に争いの響きはありません。

シェルドンがこの言葉を選んだのも、感情のもつれを「論証の対象」として扱おうとする彼の姿勢にぴたりと合っているからだと言えます。彼にとってペニーの悩みは、けんかの種ではなく、解くべき論理の問題なのです。

一つの単語が抱える二つの顔を知ると、定型句の手触りが変わってきます。

まとめ|シェルドンの「仮にそうだとして」に学ぶ

for the sake of argument は、本心はいったん脇に置き、議論を前に進めるために仮の前提を差し出す前置き表現です。賛同していないことをにじませながら仮定を進める、二段構えのニュアンスがこの一言の核にあります。

これを知っていると、相手の主張を頭ごなしに否定せず、「まあ仮にそうだとして」と一歩譲ってから自分の論を立てられるようになります。会議でも雑談でも、議論を角を立てずに前へ動かす、落ち着いた切り出し方が身につきます。

シェルドンが感情のもつれすら論証の対象にしてしまった、あの理屈っぽい構えごと、表現の幅を広げてみてください。

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