海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友人やパートナーとの間で、誰が多く助けたか、誰が多く我慢したかをつい数えてしまいそうになる、そんな瞬間はありませんか。
そんな瞬間にぴったりの「keep score」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン11第12話の後半、友人たちを密かに試して付添人を選んだことをラージに問い詰められるシェルドンの場面から、一緒に見ていきましょう。
「keep score」の意味とニュアンス
keep score
意味:貸し借りや勝敗を数える
keep scoreは、もともとスポーツの試合で得点を記録し続けることを指す表現ですが、そこから転じて、人間関係における「誰が何をしてくれたか」を計算高く数える態度を表す比喩的な言い方として使われます。scoreは得点、keepは「ある状態を保ち続ける」という意味で、絶えず数え続けている様子が込められています。
友人・パートナー間で互いの貸し借りを持ち出す場面や、スポーツ以外の文脈で競争心・計算高さを戒める場面で使われることが多く、しばしばisn’t about keeping scoreのように否定形で「損得勘定ではない」という意味で使われます。
誰かの行動を好意的に評価する表現ではなく、むしろ人間関係に計算を持ち込むことへの軽い批判や注意として使われる点が特徴です。相手を責めるほど強い言葉ではなく、少し呆れながらたしなめるくらいの、柔らかい戒めの響きを持っています。
【ここがポイント!】
- 「keep score」の核は、貸し借りや勝敗をいちいち数え続けるイメージ
- 好意的な評価ではなく、計算高さへの軽い批判として使われることが多い表現
- isn’t about keeping scoreのような否定形で使われる場面が特に多い
『ビッグバン★セオリー』S11E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
結婚式の付添人を友人たちの中からひそかに選んでいたシェルドンが、結局スチュアートを選んだことにラージが納得できずにいる場面です。友人たちを裏でテストしていたことが露呈し、ハワードが割って入って助言を挟みます。データで物事を決めようとするシェルドンの理屈に、ラージたちがどう反応するのかに注目です。
Raj: You picked Stuart over one of us?
(俺たちの中の誰かじゃなくてスチュアートを選んだのか?)Sheldon: Well, I wanted to choose one of you, but you all turned against me.
(いや、君たちの中から選びたかったんだが、みんな僕に敵対したから。)Howard: Picking a best man isn’t about keeping score.
(付添人を選ぶのは点数をつけることじゃないんだぞ。)Sheldon: But you’re all my friends. I mean, if I didn’t collect data, how could I possibly choose among the three of you?
(でも、君たちはみんな僕の友達だ。つまり、データを集めなかったら、君たち3人の中からどうやって選べたと言うんだ?)Raj: Well, that’s actually kind of sweet.
(まあ、それって実はちょっといい話だな。)The Big Bang Theory Season11 Episode12 (The Matrimonial Metric)
シーン解説と心理考察
ラージから「俺たちの中の誰かじゃなくてスチュアートを選んだのか?」と不満をぶつけられたシェルドンは、「君たちの中から選びたかったんだが、みんな僕に敵対したから」と、自分の身勝手な実験が友人たちの反発を招いたことをあっさり相手の責任にすり替えて説明します。ここには、自分の行動の結果を素直に認めず、理屈で責任の所在をずらしてしまう性格がよく表れています。
ハワードが「付添人を選ぶのは点数をつけることじゃないんだぞ」とたしなめても、シェルドンは「データを集めなかったら、君たち3人の中からどうやって選べたと言うんだ?」と、あくまで自分なりの合理性を主張します。それに対してラージが「それって実はちょっといい話だな」と意外にも好意的に受け止める様子には、数値化という手段こそ間違っていたものの、友人たちを大切に思うがゆえに真剣に選ぼうとしていたという本心が友人たちにも伝わったことが感じられます。怒りをぶつけていたはずのラージが一転して態度を和らげる切り替えの早さも、この仲間たちらしい空気を物語っています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
スポーツの試合で得点板(score)に一点一点つけ続ける(keep)様子を思い浮かべてみましょう。勝ち負けをいちいち数えているイメージが、人間関係における「貸し借りを計算する」という比喩的な意味にそのままつながります。
ハワードが「点数をつけることじゃない」とシェルドンをたしなめた場面も、人間関係を得点板のように扱おうとする発想そのものへの違和感を言葉にしたものでした。友情や愛情を数字で測ろうとする態度への小さな戒めとして使われる、そのイメージを持っておくと、似た場面でこの表現がすっと浮かんでくるはずです。
例文で覚える「keep score」
人間関係の貸し借りを語る場面で使いやすいkeep scoreを、3つの例文で確認していきましょう。
In a good friendship, you shouldn’t have to keep score of favors.
(良い友情では、恩を点数で数える必要はないはずだ)
友情について語る場面です。shouldn’t have toという言い方が、「本来そうあるべきではない」という軽い戒めのニュアンスを添えています。
Marriage isn’t about keeping score of who does more chores.
(結婚生活は、誰が家事を多くやったかを数えることじゃない)
夫婦関係について語る家庭の場面です。isn’t aboutという否定形が、keep scoreらしい使われ方の典型を示しています。
A: Didn’t I cover your shift last week?
B: Come on, let’s not keep score.
(A:先週、俺があなたのシフトを代わってあげなかった?)
(B:もういいよ、貸し借りを数えるのはやめよう。)
お互いの助け合いを話す会話です。Come onという相手をなだめる一言が、深刻になりすぎない空気を作っています。
あわせて覚えたい関連表現
hold a grudge
(恨みを抱き続ける)
keep scoreが「貸し借りを計算する」という計算高さに重点があるのに対し、hold a grudgeは「恨みという感情を持ち続ける」ことに重点がある表現です。
tit for tat
(仕返し、お返し)
tit for tatは「やられたらやり返す」という一回ごとの報復行動を指すのに対し、keep scoreは継続的に貸し借りを数える態度を指します。
give and take
(譲り合い、持ちつ持たれつ)
give and takeは健全な相互関係を表す中立的な表現で、keep scoreのような計算高さへの批判的なニュアンスはありません。
Note|得点板から人間関係へ、keep scoreという比喩の転用
keep scoreという言葉は、スポーツの得点記録から、人間関係の比喩表現へと意味の幅を広げてきました。
試合の得点板は、誰が何点取ったかを一点単位で正確に記録し続けるための道具です。この「細かく、絶えず数え続ける」という行為のイメージが、友人や夫婦といった本来数字で測るべきではない関係性に持ち込まれると、とたんに冷たく計算高い印象を与えるようになります。だからこそkeep scoreは、好意的な文脈ではほとんど使われず、isn’t about keeping scoreのように「そんな計算をするべきではない」と戒める否定形で使われることが圧倒的に多いのです。得点板という具体的な道具のイメージがあるからこそ、抽象的な「損得勘定」という感覚が、誰にとっても一瞬で伝わる比喩になっています。
シェルドンが友人たちを密かにデータで評価していた今回のエピソードも、まさに人間関係に得点板を持ち込んでしまった例でした。ハワードの「点数をつけることじゃない」という一言は、この比喩が戒めとして機能する典型的な場面だったと言えます。
数えないことの方が、時には優しさなのかもしれません。得点板を手放したときに見えてくる関係性も、きっとあるはずです。
まとめ|数えないことが、関係を守ることもある
keep scoreは、スポーツの得点記録から転じて、人間関係の貸し借りを計算高く数える態度を表す比喩表現です。
友情や夫婦関係において、損得勘定を戒める場面でよく使われ、否定形で使われることが特に多い表現です。使う場面を選べば、相手をやんわりとたしなめる便利な一言になります。
データで友人たちを評価しようとしたシェルドンの理屈っぽさも、ハワードのたしなめも、どちらも人間関係の価値を測る難しさをそれぞれの立場から言い表した場面だったと言えます。正しい答えが一つに決まらないからこそ、こうした会話そのものに意義があるのでしょう。


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