海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「みんなが自分を陥れようとしている気がする」——そんな被害妄想めいた気持ちを、英語ではどう言い表すか考えたことはありますか。
そんな場面にぴったりの「out to get someone」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン9第24話、軍からのメールに過剰反応するハワードのサブプロットから、一緒に見ていきましょう。
「out to get someone」の意味とニュアンス
out to get someone
意味:(人)を陥れようとしている、〜を狙っている
be out to do something で「〜しようと躍起になっている」という意味になり、out には「外に出て行動を起こしている」という前のめりの語感があります。ここでの get someone は「手に入れる」ではなく「やっつける・捕まえる・陥れる」という敵対的な意味で、全体として「誰かに害を加えようと狙っている」を表します。They’re out to get me.(みんなが私を陥れようとしている)は、陰謀論や被害妄想を語るときの定番フレーズで、ドラマや映画でも頻出します。深刻な脅威にも、大げさに騒ぐ冗談めかした文脈にも使える、幅のある表現です。
【ここがポイント!】
- be out to do で「〜しようと躍起になっている」、get someone で「やっつける」が合わさった一言
- get の「手に入れる」ではなく敵対的な「やっつける・陥れる」の顔が出ている表現
- 本気の脅威にも、被害妄想を笑う冗談にも使える、トーンの幅が広いのが特徴
『ビッグバン★セオリー』S09E24のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。発明した誘導システムについて米空軍からメールを受け取ったハワードは、政府に監視されていると思い込み、どんどん疑心暗鬼になっていきます。バーナデットがなだめても、ハワードの被害妄想は止まりません。
Bernadette: You know what’s really happening? No one’s after you, no one’s listening to you, no one cares about you.
(本当は何が起きてるか分かる? 誰もあなたを追ってないし、聞いてもいないし、気にもしてないの)Howard: I’m telling you, I’m not on drugs. The government’s out to get me.
(言っとくけど、ドラッグなんてやってない。政府が俺を狙ってるんだ)The Big Bang Theory Season9 Episode24(The Convergence Convergence)
シーン解説と心理考察
バーナデットが no one’s after you(誰もあなたを追ってない)と現実を突きつけても、ハワードは The government’s out to get me と返し、まったく聞く耳を持ちません。after(追っている)と out to get(陥れようと狙っている)が同じやり取りの中で対比的に使われており、後者のほうが「能動的に害を加えに来る」という強い被害妄想を帯びていることが、文脈から浮かび上がります。冷静なバーナデットと、思い込みを募らせるハワードの温度差が、このサブプロットの笑いの核です。out to get someone が、客観的な事実というより話し手の主観的な恐怖を映す表現であることが伝わってきます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
out(外へ)+ to get(捕まえに)と分解すると、誰かが家の外に飛び出して、こちらを捕まえようと走ってくる絵が浮かびます。その「わざわざ外に出て、こちらを狙ってくる」という前のめりの動きが、out to get someone の不穏さの正体です。ハワードが窓の外やカメラの向こうに「敵」を感じておびえる姿を思い浮かべれば、「外から自分を狙ってくる存在」というイメージとフレーズがぴったり重なります。
例文で覚える「out to get someone」
本気の警戒から冗談まで、幅広く使えるフレーズです。3つの場面でトーンの違いを見てみましょう。
He thinks everyone at work is out to get him.
(彼は職場のみんなが自分を陥れようとしていると思い込んでいる。)
被害妄想を客観的に描写する場面。誇張気味の心理を表すのに向いています。
Relax, the referee isn’t out to get you.
(落ち着いて、審判は君を狙ってるわけじゃないんだから。)
熱くなった相手をなだめる場面。冗談めかして使う典型的な言い回しです。
A: Why does the boss keep criticizing only my reports?
B: He’s not out to get you, he just wants you to improve.
(A:なんで上司は僕の報告書ばかり批判するんだろう?)
(B:あなたを陥れようとしてるわけじゃなくて、ただ成長してほしいだけだよ。)
同僚を励ます会話。相手の被害感を否定して安心させるときに自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
be after someone
(〜を追っている、狙っている)
シーン内にも登場した表現。out to get someone より中立的で「追跡している」の語感が中心です。害意の強さは out to get のほうが上になります。
have it in for someone
(〜に恨みを持って意地悪する)
特定の相手に個人的な悪意を抱いて、ことあるごとに当たる、というニュアンス。out to get someone と近いですが、より個人的な恨みに焦点があります。
be on someone’s case
(〜にうるさく口出しする、しつこく責める)
害を加えるというより「細かく干渉してくる」の意味。被害感を表す点で out to get someone と並べて覚えると、強さの違いが整理できます。
Note|get の「やっつける」用法と、after との距離感
out to get someone の get は、英語学習者が最初に習う「手に入れる」とはずいぶん表情が違います。この get の敵対的な用法に注目してみましょう。
get は「得る」を中心に、「到着する」「理解する」「〜させる」など驚くほど多くの意味を持つ動詞ですが、その中に「やっつける・仕返しする」という顔があります。映画やドラマの脅し文句 I’ll get you for this!(このことで仕返ししてやる)や、子どもの遊びでの I’m gonna get you!(捕まえちゃうぞ)は、まさにこの用法です。out to get someone は、この「捕まえる・やっつける」の get に、be out to do(〜しようと躍起になる)を組み合わせた表現だと整理できます。一方、シーンで対比的に使われた be after someone は「追いかけている」が中心で、必ずしも害意を含みません。警察が容疑者を after しているのは職務ですが、誰かが out to get someone なら、そこには「害を加えてやろう」という能動的な悪意がにじみます。同じ「追う・狙う」でも、get と after では込められる敵意の濃さが違うわけです。
この濃淡を押さえておくと、out to get someone を聞いたときに、話し手がどれだけ強い脅威を感じているかまで読み取れるようになります。
似た表現は、強さの違いまで含めて覚えると差がつきます。
まとめ|「狙われている」感覚を英語で
out to get someone は、誰かが自分に害を加えようと能動的に狙っている、という感覚を表すフレーズです。get の「やっつける」という顔と、out の前のめりな語感が組み合わさって、独特の不穏さを生んでいます。
この表現を知っていると、本気の警戒から、被害妄想を笑い飛ばす冗談まで、幅広いトーンを英語でこなせるようになります。ハワードのように大げさに使えば、コミカルな空気も作れます。
「狙われている」という気持ちを伝えたい場面で、out to get someone を会話のレパートリーに加えてみてください。


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