「that ship has sailed」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S07E24で学ぶ英会話

「that ship has sailed」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

「今さら言われても、その話はもう終わったよ」と、過ぎてしまったことにやんわり線を引きたくなる瞬間は、誰にでもあるはずです。

そんなときに使える「that ship has sailed」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第24話の中盤、レナードがペニーとの同居をシェルドンに切り出そうとして、逆にからかわれてしまうシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「that ship has sailed」の意味とニュアンス

that ship has sailed
意味:その機会はもう過ぎ去った、今さら手遅れだ

港にあった船がもう出てしまって呼び戻せない、という情景から生まれた比喩表現です。かつてそこにあったチャンスや可能性が、今となっては取り返しのつかないところへ行ってしまった、という諦めや区切りの気持ちを込めて使われます。

直訳すれば「その船は出航してしまった」ですが、実際の会話では船そのものの話をしているわけではありません。応募できたはずの募集、間に合ったはずの締め切り、やり直せたはずの関係など、「もう間に合わない」対象を the ship になぞらえています。冷たく突き放すというより、お互いに分かっているよね、という含みを持たせられるのが特徴で、皮肉にもユーモアにも転がせる柔らかさがあります。

【ここがポイント!】

  • 港を出てしまった船=取り戻せないチャンス、という映像で覚えるのが近道
  • 「もう無理」と直接言わず、区切りや諦めをやわらかく伝えられる一言
  • 皮肉にもユーモアにもなる表現なので、声のトーンで温度が変わるのを意識するのがコツ

『ビッグバン★セオリー』S07E24のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ペニーと婚約したレナードが、二人の住む場所について相談を切り出そうとします。ところがシェルドンは話の本筋を読み違え、「結婚前のペニーの純潔という神話を守りたいんだろう」と見当違いの推測を口にします。レナードがそれを否定した直後、シェルドンが放つのがこの一言です。

Leonard: I’m not.
(そんなんじゃないよ。)

Sheldon: Good, because not only has that ship sailed, if it hit an iceberg, countless men would perish.
(それはよかった。なにしろその船はとっくに出航済みだし、もし氷山にぶつかったら無数の男が命を落とすことになるからね。)

The Big Bang Theory Season7 Episode24(The Status Quo Combustion)

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シーン解説と心理考察

レナードが言いよどみながら本題に近づこうとするのに対し、シェルドンは持ち前の理屈っぽさで的外れな方向へ会話を引っ張っていきます。that ship has sailed という定番表現をそのまま使うだけでは終わらせず、氷山に衝突するタイタニックのイメージまで重ねて、ペニーの恋愛遍歴を大げさに皮肉ってみせるところに、シェルドンらしい誇張がにじむ場面です。

注目したいのは、本人にからかっている自覚が薄いことです。事実を論理的に述べているだけというすました態度が、かえって毒のある冗談として響きます。一方のレナードは、肝心の同居話をいまだ切り出せずにいて、そのもどかしさが会話の温度を少しずつ上げています。決まり文句に独自の拡張を加えて笑いに変える、このドラマの会話運びがよく表れた場面と言えます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

桟橋に立つ自分を思い描いてみてください。乗りたかった船は、もう水平線の向こう。手を伸ばしても届かず、次の便を待つしかありません。この「乗り遅れた船」の映像が that ship has sailed の核心です。

シェルドンが氷山やタイタニックまで連想を広げたのも、出航した船というイメージが強く視覚に訴えるからこそ。port を出た船は引き返せない、つまり取り戻せない好機、という一本の線でつないで覚えると、意味と情景がぴたりと重なります。

例文で覚える「that ship has sailed」

過ぎてしまった機会に区切りをつけるとき、that ship has sailed は便利な一言です。場面ごとに温度を変えながら、三つの例文で使い方の幅をつかんでみましょう。

I could have applied for that scholarship, but that ship has sailed.
(あの奨学金に応募できたのに、もうその機会は過ぎちゃった。)
締め切りを逃して後悔している場面です。「やろうと思えばできた」という心残りを、軽い諦めとともに伝えています。

If you wanted a refund, you should have asked earlier. That ship has sailed.
(返金が欲しかったなら、もっと早く言うべきでしたね。もう手遅れですよ。)
期限切れで対応できないと相手に伝える場面です。ややきっぱりした響きで、これ以上は動かせないという線引きを示しています。

A: Do you think we could still change the venue for the wedding?
B: Honestly, that ship has sailed. The contract’s already signed.
(A:結婚式の会場、まだ変えられると思う?)
(B:正直、もう手遅れだよ。契約はもう交わしちゃったし。)
夫婦やカップルの相談で使える往復のやり取りです。「変えたい気持ちは分かるけど、現実的にもう無理」という状況を、角を立てずに共有しています。

あわせて覚えたい関連表現

miss the boat
(好機を逃す)
同じ「船」のイメージを使う表現ですが、こちらはチャンスを逃す行為そのものを指します。that ship has sailed が「もう過ぎてしまった」という結果を述べるのに対し、miss the boat は「逃した」という動作に焦点があります。

it’s too late
(もう遅い)
直接的でストレートな言い方です。that ship has sailed は比喩を一枚はさむぶん、諦めや皮肉のニュアンスをにじませやすく、場の空気をやわらげながら同じ内容を伝えられます。

water under the bridge
(もう済んだこと、水に流す)
過去のいざこざを「気にしていない」と許す方向の表現です。that ship has sailed が「機会が過ぎた」点に重心を置くのに対し、こちらは「わだかまりを流す」点に重心があります。

Note|「出航した船」が手遅れを意味するようになった航海文化の背景

レナードの同居話をきっかけに飛び出した that ship has sailed ですが、この表現はそもそも、海と港のある暮らしから生まれたと考えられています。

帆船の時代、船は潮の満ち引きや風の条件に合わせて出航しました。乗客が桟橋に遅れて着いても、いったん港を離れた船を呼び戻すことはできません。次の便がいつ出るかも分からない時代には、船に乗り遅れることはそのまま、大きな機会を失うことを意味しました。こうした航海の現実が、「出航した船=取り戻せないもの」という比喩へと転じていったとされます。同じ発想から miss the boat(船に乗り遅れる=好機を逃す)という表現も生まれており、英語には港と船をチャンスになぞらえる言い回しがいくつも残っています。

この背景を知っておくと、that ship has sailed が単なる「もう遅い」以上の手触りを持っていることが見えてきます。一度出てしまった船はもう戻らない、という静かな確定の感覚が、この表現に区切りの落ち着きを与えているのです。

過ぎた好機には、惜しみつつも線を引く。その呼吸が一語に宿っています。

まとめ|レナードが切り出せなかった本題の手前で

that ship has sailed は、もう取り戻せない機会や可能性に、そっと区切りをつけるための表現です。港を出た船は呼び戻せない、というシンプルな情景が、そのまま意味になっています。

この一言を知っておくと、「もう無理」とぶつけてしまいがちな場面でも、相手と気持ちを共有しながら静かに線を引けるようになります。後悔をにじませることも、軽い皮肉に変えることもできる、表情の豊かな言葉です。

シェルドンが氷山の比喩まで広げて見せたように、出航した船のイメージは記憶に残りやすいもの。過ぎ去ったことに区切りをつけたい場面の言葉として、表現の引き出しに加えてみてくださいね。

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